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〜らぶ トモ〜 LOVE TOMORROW  作者: にのみやみのに
お手伝い編
99/139

らぶトモ 第95話 【ドキドキパニックだよ】

 泉水の宿はすごく寛げる。

 深夜2時30分。俺はみんなに内緒で貸切温泉を予約していた。

 

「ここの貸切温泉は、優雅に景色を堪能できる作りらしいな〜。夜間のライトアップが4時まで続く・・・か」


 俺はパンフレットでこれを見つけたときは心が踊った。

 1人で絶景を見ながら、ゆったり足を伸ばして、独り占め。

 なんという贅沢だろうか。


「ふふふふふ」


 ついほころぶ。

 こんな時、酒が飲めたらより雰囲気最高なのだと思う。

 それはこれからの楽しみになるな。


 奈々と泉水の友情もずっと続いていくと思う。

 歳を重ねていく中で、友情や愛情を深めていく。

 すごく幸せな環境だと思う。


「さ、到着したぞ〜!」


 さあ、貸切露天!

 輝かしいライトが宝石のように夜景を演出している。

 温泉の水温もちょうどいい。

 全身で浮くような体制で温泉の効能を堪能する。


「サイコーーーーー」


 つい口についてしまう。


 がら!


「え?」


 だ、誰?ちょ、ドユコト?貸切予約ですよ。誰もきちゃダメですよ。

 おきまりの貸切中とかの札もちゃんと確認しましたよ。

 着替える時、女子の下着がないかちゃんと見回りしましたよ。【←なにしてんの?(天の声)】

 漫画的、アニメ的な展開は前以て確認しているはずなのだが・・・。


 ガラガラ・・・。


「あ、あの入ってますよ?間違えではないですか?」

「・・・・」

「あの、どなた?・・・って奈々!!!」

「お兄ちゃん来ちゃった」

「来ちゃったって・・・」


 そこに現れた奈々。

 みなさん可愛い妹がよ・・・、体を隠しきれない大きさのタオルをね・・・。

 胸を腕で潰しながら抑えているわけですよ・・・。

 恥ずかしいから目線は絶対に合わせないし、目があったらすぐ逸らす仕草とかたまらんでしょ?

 しかも背が高い妹、スタイル抜群・・・恥ずかしがる表情・・・。

 妹世界選手権で一位でしょ。


「な、なななナナナナ、なんでなんで?」

「お兄ちゃん奈々の名前ひらがなカタカナになってるよ」

「だって、お前のその格好といい、このシチュですよ奈々さん」

「お、お兄ちゃん寒いからお風呂入りたいんだけどいいかな?」

「あ、ああそうか露天だもんな・・・いいけど・・・、何処に・・・」

「お兄ちゃん向こう向いて」

「お、おう!俺で少し歩いて」

「おう」

「はい中央でストップ」

「はい」


 チャプ・・・。

 うわ〜見えない分想像しちゃうですよ。

 片足から湯船に入る奈々。

 ゆっくり緊張した面持ちで入る。


 これはさすがに男子の・・・男子の・・・奴が・・・。


「お兄ちゃん・・・」

「奈々、めっちゃ近い」


 色々考えてたら後ろすぐに来ていた奈々に気づかんかった。


「座って」

「はい」

「奈々もつかるよ」

「はい」


 しゃがむ俺・・・。

 

「ヒェ?」


 今俺は奈々に抱きつかれている・・・。

 しかもいつもの抱きつきじゃないぞ。

 湯船に浸かって、一糸も纏わぬ姿ですよ。産まれたての姿ですよ。


 そしてゆっくり体が横になってくよ?どうなのこれ?


「じっとしててね」

「・・・・」


 なんも言えん。

 フワッと背中に柔こいのがくっつきましたよ。

 最高の感触です、ありがとう!


 しかも今俺は奈々に乗っかる感じで夜空を見ている。

 浮遊しているから奈々にそれほど体重が乗ることはないが、

 起き上がることを許されない体制だし自由は奈々に奪われた。


「お兄ちゃん。今どんな気持ち?」

「ヒャ?き、気持ち?・・・気持ちいいです」

「そっか・・・。奈々は・・・嬉しい」

「へ、へええ」


 奈々は・・・か。久しぶりに聞いた。

 意識の変化で、呼び名が変わった。

 それが今この時は戻っている。

 奈々・・・俺はそれが嬉しいんだ・・・。


「お兄ちゃん、前にもこんなドキドキするときあったよね」

「ああ。太助のホテルでな」

「うん・・・・奈々あの時からずっとお兄ちゃんの顔見るとドキドキしてるよ」

「そ、そうか・・・俺もだ」

「お兄ちゃんも?・・・それも嬉しいな・・・」

「へ、へえええ」


 俺、語彙力ないね・・・。それがやばいね。


 奈々の胸の感触。白い肌、細い腕。

 表情は見えないけど、鼓動が伝わるくらいドキドキしてるのが伝わってくる。

 なんなの?なんて可愛いの?お前本当に俺の妹なの?

 なんで妹なの?

 妹だから慕ってくれてる条件なのはわかるけどさ。

 犬猿の仲の兄妹もいるわけよ。

 そんな中で、ここまで慕ってくれる妹。

 お互いを変態だねと言い合ったくらいだしな。


「奈々、来てよかったって思うよ」

「そうだな、ここいいとこだな」

「ううん違う。このお風呂に来てよかった」

「そうか」


 なんで俺がここにいるのか後で聞くとして、この状況はたまらんものがある。


 ぎゅうううう。


「う、奈々・・・苦し気持ちいんだが・・・」

「だって、久しぶりにこうなれたから」

「家じゃいつも2人きりだろ?」

「そうだけど・・・家だとなんか・・・」

「そうか、そうだな」

「うん」


 なんかその気持ちわからんでもない・・・。

 実家だからな・・・。

 何かと気になる事が多いもんな。


「お兄ちゃん・・・何度も何度もごめんなさい」

「何が?」

「大・・・す・・・」


 誰にも聞こえない声で・・・。耳元で・・・・。囁く・・・か弱い奈々の声・・・。


「うん・・・」


 俺たちは時間まで一緒にいた・・・。

いかがでしたか?


貸切風呂憧れます。


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