らぶトモ 第91話 【レバーブローだよ】
「あ、お兄ちゃ〜ん」
「ふむ、兄上もあがったか」
ぱたぱたとスリッパを鳴らして小走りに近づいてくる奈々。
湯上りで熱いのだろう2人とも半纏を腕にかけている。
「もう髪の毛乾かしたのか?」
「うん。すっごいよ〜、があああああって勢い良かったよ」
「最新式のドラヤだ。イオンで髪はツヤツヤだ」
「ほんとだ、二人とも、頭に天使の輪ができてる」
「いいでしょー」
ごくり。奈々がよりよく頭を見せたがったのか、屈んで見せてくる。
ゆ、浴衣って首もと緩いよね。
頭を見るだけなのに、重力に逆らえないお胸が下にいくでしょ?屈むから、膝の上に手がのるでしょ?そしたら胸を二の腕が寄せるでしょ?
たっぷりの谷間が盛り上がってくるやん?
風呂上がりだから髪はアップにしてうなじも見えるやん。目を離せなくなるやん。俺はドキドキするやん。じーっと見るやん。
「お兄ちゃんどうしたの?」
つて、上目遣いになるの必須やん!
アワアワするやん!
なんでアワアワするか、気づくやん!
二人でドキドキやん!
二人でうつむくやん!
「てや!」
「「あ、イター」」
「二人ともお決まりの、お約束のリアクションを長くやり過ぎだ」
「だからって、脳天チョップはイタイヨー」
「いつもより重さを感じたぞ泉水!」
「二人の世界に入りすぎたといっておるのがわからんのか?」
「「すみません」」
「わかればよいのだ。
よ、余談だか、我も...その...浴衣着ておるのだぞ」
「うんわかってるけど...」
あ、なんかいつも無表情だから感情が読み取れないけど、今の泉水は、わかりやすいな。
顔を紅くして胸の前できゅっと手を結び、なにか言いたそうだ。
「風呂上がりだからなのかな。大人っぽく見えるな、泉水も」
「ふん。今頃誉めてもダメだ。ダメダメの兄上だ、奈々、行くぞ」
「あ、待って~。もっとお兄ちゃんに誉めてもらおうよー」
「大吾様、デリカシーないですよ」
「う!」
鋭い突っこみ...というかレバーブローを喰らったような感覚だ。
「レバーブロー入れましたから」
「り、リアルレバーブローでしたか...」
ぱたり...俺は...女子の気持ちの痛みを体で教えられたのだった。
女子をいっぱい誉めないとね。男子は大変だ。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
まだまだ続きます。
お付きあいください。
うなじ...ちょっと無防備に感じさせちゃいますよね。