らぶトモ 第90話 【お風呂カミングアウトだよ】
泉水の招待で泉水がオーナーの温泉宿に泊まった俺たちは、招待は申し訳ないと手伝い申し出た。
俺は調理場、奈々は仲居さんの仕事を手伝ってひと段落したのだった。
「ねえ泉水ちゃん、ここのお宿は何て名前なの?」
「なんだ入館の時に見てなかったのか。ここは、ナムロック温泉ー泉水のお宿だ」
「シブい」
「ふむ、せっかくだから自分の名前も入れたのだ」
「いいと思うよ〜」
「ナムロックってどんな意味なんだ?」
「それは私がご説明致しましょう」
と言うさくらさんの説明によると、
この泉水のお宿は、タイのバンコクをイメージしているそうだ。
タイには【熱い滝】と呼ばれている世界的にも有名な温泉があります。
湧いている温泉がその湧いたお湯で川が出来るくらい出ていて、タイの観光スポットになっているのだそうだ。
そのたいと同じような温泉を山縣家の親戚が見つけて、宿経営を決めたんだそうだ。
タイの天然温泉は約38度Cでぬる目だが、泉水のお宿の源泉は約50度Cと高い。
それに温泉の数が多い。ドクターフィッシュのお風呂、足湯、様々なハーブを溶け込ませたお湯、薬草の湯など
女性には嬉しい施設になっているらしい。
マッサージや食事、景観を整えて長期滞在にも対応している。
よく考えられた施設だな。
泉水の几帳面な経営が従業員の教育やお客へのサービスや社員も働きやすい環境作りなども繁盛する要因になって
いると感じた。
「わ〜お!すごいお風呂だよ〜」
「ふむ、相変わらずゴージャスだ」
「ミカエルの指導が行き届いてますね」
「お兄ちゃんも見てるかな〜すごく景色がいいよ〜」
「ふむ、男性風呂からも見えているはずだ」
「そっか〜。目の前に広がる湖と山々がすごく爽快だよ〜」
「ここは水着で入れる露天です。お二人には、花柄の三角レースビキニとショーツをご用意しました。
泉水様は黒、奈々様にはピンクをご用意しました」
「このビキニ、Tバックで恥ずかしいよ〜」
「ふむ、なかなか大胆な作りだな」
「お風呂ですし、なるべく布の少ないほうが良いと考えました」
「変なところで気をまわすんだからさくらさん」
「いくら女だけだとしても露天だから恥ずいな」
「お二人ともとてもお似合いです。大吾様にお見せしたいぐらいです」
「だ、だめだよ〜。お兄ちゃんに怒られちゃうよ」
「ふ、ふむ、兄上に見てもらったらこれはだいぶやばいな・・・」
「奈々様も高校生になられたのですから、ここの温泉のお肌効果を堪能して、大吾様にお肌ツルツルになったところを
お見せすると言うのはいかがでしょうか?」
「ええ?お、お兄ちゃんに見せるの?」
「泉水様のお肌はツルツルなのは承知しておりますが、温泉によく浸かり、全身をマッサージすることで、
胸は大きく、腰はキュッと、お尻はスリムに変化を促すようにすれば大吾様の視線は胸腰お尻に集中させることが
できますよ」
「さくら、我は見て欲しいと思っておらんぞ」
「そうですか? 毎日お風呂上がりに、お胸の周りのお肉をかき集めて【大きくなあれ】と連呼されているでは
ありませんか」
「さ、さくらお前見てたのか?」
「私は泉水様直属ですからなんでも知っています」
「くううう不覚」
「い、泉水ちゃんそんなことしてたの?意外だよ」
「奈々!忘れてくれ!頼むから忘れてくれ!」
「奈々様もここ最近、トレードマークのニーハイのサイズがワンサイズ上がりましたよね」
「ハウわ!!な、なぜそれを?」
「泉水様と遊んでおられるわけですから、そのくらいわかります」
「よく見てるよ〜」
「さ、お二人とも想像してください。今起きにされているお体の部分が理想的になり、それを大吾様が
褒めてくれるんですよ?」
【奈々、お前足細くなったな。見違えたよ。こんな可愛い妹お前以外にいない。愛してる結婚してくれ】
「お、おにいヒャン、もうやだ〜恥ずかしいよ〜」
【泉水?お前ほんとに泉か?その・・・なんか目のやり場に困るな・・・そんなに育って・・・
魅力的だよ。好きだ、俺の彼女になってくれ】
「な、何を言っているのだ。あ、兄上も区、口が上手くなったな・・・ヘタレのくせに・・・」
「お二人とも何をお考えなのかよくわかります。お顔が緩いです。頰を紅く染めておりますし」
「な、何を言ってるの?」
「別に緩くないぞ」
「あ、あの景色すごい!泉水ちゃん行こう!」
「あ、ああそうだな。我は何度も見ているが、一緒に見ようじゃないか」
「お二人とも・・・。残念・・・逃しました」
ーー男湯にてーー
「う、ああああああああ・・・生き返る〜〜〜」
年寄り臭いことを言いながら、温泉を堪能する高校生1人・・・大吾その人であった。
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