らぶトモ 第7話 【作戦決行の日】
皆さんは、待ち合わせの時、どんな台詞で、相手に挨拶しますか?
ちなみに私は、「あ、ど〜も〜」です。
「ママ〜楽しみだね〜」「そうねえ、ねこねこちゃんに早く会いたいね」
「今日マジで楽しむみたいな?」「そうそう。ねこねこちゃんに会いたい〜みたいな?」
家族連れ、恋人同士、友人同士、年齢の幅を限定しない人気アトラクション地に独りポツンと奈々を待っていた。
「しかし・・・まさか、ねこねこピュアランドとは・・・」
ねこねこピュアランド。
それは、日本が誇る世界の愛されしキャラクターである。
アニメ化、ぬいぐるみ化、他のコラボ商品から、細かく数えるのも大変なまでの大人気のキャラクターなのだ。
主に、ねこねこちゃんの人気は絶大で、その愛らしい表情は、見るもの全てに幸せをあげられるかのうようだ。
【前からここに来たい】って言ってたけど、男1人で待ってるのはさすがにキツくなってきた・・・。
誘われてた日の夜・・・。
「いい、お兄ちゃん。朝9時にねこねこピュアランドの入り口で待ち合わせだよ」
「え?一緒に行けばいいじゃないか」
「いいから!ね?わかった?」
「は・・・はい」
珍しく強引だったな〜。奈々のやつ。
「ごめ〜ん待った〜?」「いいや」「じゃ、行こ?」【な!腕を当たり前のように組んだ・・・ひ、肘が当たってる】
「えへへへ、お待たせ」「遅いぞこいつ〜」「ごめんなさ〜い」【あ、あれは!遅れて来た彼女のおでこにツンだ】
「ねえ、見て。まだ彼女来てないのかな?」「振られたんじゃね?」「冴えないもんね彼。うふふ」「バカ笑うなって。それこそかわいそうだろ?」【リア充め、爆発してしまえ!】
「奈々〜早く来てくれ〜」
「ふむ。兄上殿は今だいぶモヤモヤしているようだ。今が行き時だな」
泉水ちゃん、その変なコスプレなんだろう?名探偵帽子に名探偵マントって行ってたけど、すごく怪しいと思う。
でも言わないけど。あはは。
「ねえ、いづみちゃん。私のこの格好本当に変じゃない?お化粧で本当に綺麗に慣れた?」
「ここまで来てまだそのようなことを言っておるのか?何度も言うが大丈夫だ自信を持て」
「う〜そんなこと言われても〜」
「メイク、衣装と、一流のスタイリスト、メイキャップアーティストに来てもらったのだ。落ち度はない。
いいか?ここからが本番だぞ。言った通りにするのだぞ」
「本当にあの計画で行くの?奈々うまくできるか不安だよ〜」
「いいから言われた通りにせんか!ほれ行ってこい!」
「きゃ!押さないで」
泉水ちゃんが押すから茂みから出ちゃったよ〜。心の準備もできてないのに〜!
「おお〜奈々〜」
「お、お兄ちゃんお待たせ、えへへ」
「え?」
「あの・・・、あ。待った?」
「その声・・・奈々なのか?」
「うんそうだよ。そ、そんなじろじろ見ないでよ恥ずかしいよ」
「あ、ああ、ごめん。だって・・・すごく、あれで・・・見違えたよ」
うわ〜奈々すっごく可愛い!綺麗だ!女の子はこうも化粧で変わるものなのか?お、大人っぽいと言うか、
可愛さの中に女性の雰囲気があるというか。
「へ、変かな?」
「い、いや・・・その・・・綺麗で可愛いよ・・・」
「よかった〜頑張った甲斐あったよ〜」
泉水ちゃん!やったよ!お兄ちゃんがすごく褒めてくれるよ〜。じいいって見てくるよ〜!恥ずかしいけど、
嬉しいよ〜。なんか変な気持ちだけど、《嬉しい、恥ずかしい、もっと見て欲しいし、褒めて欲しい》って気持ちが
もうめちゃくちゃだよ〜!
「フヒ!」
「奈々?どうした」
「え、ううんなんでもないよ」
向こうの茂みから、ものすごく視線を感じるよ〜。泉水ちゃんに睨まれてるよ〜。
「早くことを進めるのだ〜」
うわ〜いづみちゃんの怖い視線が突き刺さるよ〜。やらなきゃあとが恐い・・・。
「あ、あの、お兄ちゃん!」
「は、はい!・・・(どうしたんだ急に大声出して)」
「あ、あのあのあの、あの、今日はこうだ〜!!」
「うわああああ!奈々が覆いかぶさってくる〜!」
「えい!」
その時、左腕の肘から肩にかけて、たいへん柔らかくて、あったかくて、けしからん膨らみが包み込んだ。
「うおおおお、奈々お前どうしたんだ?」
「お、お兄ちゃん!!いいの!今日はこのままなの!」
「へ?」
「聞き返ししないの!!今日はこのままなの〜〜〜!」
奈々の顔が、手が、紅に染まる。俺の腕をぎゅっと強く、でもそれは痛くなくて・・・。
《えへへお兄ちゃん大好き》
あ、この感じ・・・。幼い頃にも感じていた・・・。
「お兄ちゃんひどい良〜。笑うなんて〜」
「いやいや、違うんだ。今の奈々を笑ったんじゃないんだよ」
「変なお兄ちゃん」
奈々、ありがとうな。お前は本当に俺にとって・・・。
「さ、奈々行くぞ!せっかく来たんだから楽しまなきゃな!」
「う、うわ!そんなに引っ張らないでよ〜!あ、お兄ちゃんってば」
ガサガサ・・・。茂みから出た泉水は、
「ようやく行ったか。奈々の変わりように目を食らっておったが、急に何かを悟ったように表情が柔らかくなったな。
なにかの言葉がそうさせたのだろうか。ま、それは後で考察するとして、今は、追跡せねば」
「やあ、久しぶりじゃないか〜ぁ♪山縣泉水さ〜ん」
「ん?き、貴様は!!」
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