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〜らぶ トモ〜 LOVE TOMORROW  作者: にのみやみのに
入学・進学編
84/139

らぶトモ 第80話 【花火が飛ぶよ】

「ペルシャの方がお兄さんのこと大好きだもん」

「うんにゃ!うちん方がお兄しゃんのこと好いとー!」

「「グヌヌヌぬぬ〜!」」


 ふむ、ペルシャと園子が何故に睨みあっているのかというとだな・・・。

 まあ正確には、園子の方がペルシャに突っかかっているのだが。


 学校帰りにマルシェに行こうと誘ってみたのだ。

 奈々と兄上は、今日は海老マヨの日ということで帰った。

 平等院は丁重にお断りした。


ーー放課後ーー


「山縣泉水女史〜!大吾が今日は奈々ちゃんと帰っちゃったから遊びましょう〜!」

「ほほう、貴様、兄上が遊んでくれんから仕方なく我を誘ったのか?」

「あ、家、その・・・そんなことありませんよ〜」

「我は大事な用があるのだ。貴様などと放課後を過ごすわけがなかろう」

「お、おかしいです〜。ぼ、僕の方が随分と背が高いはずなのに、山縣泉水女史の方が大きく見える・・・。

 こ、怖い・・・」


ーーーーーーー


ーーその後ーー


「泉水さん、そのマルシェってお店はみなさんの行きつけなんですよね?」

「ああ。初めは兄上が買い物の時に見つけてな。皆を誘ってくれたのだ。そこは個人店でイギリス出身の

 オーナーが営んでおるのだ。なかなか個性的な従業員がおるから楽しめるぞ」

「そうなんですね」

「ふむ。その従業員には目が不自由な娘がおる。だが気にするな。本人はとても気さくで明るい娘だからな」

「そ、そうなんですね・・・わかりました。緊張しますけど、仲良しになれたらいいですね」

「ああ、友達になってやってくれ。我は好きだぞ」

「はい」


 園子は引っ込み思案なところがあるから、前もって情報を与えておけば心の準備をするからいらん心配を

 しなくて済むからな。


「あ、そこですね。うわ〜外観がすごい素敵ですね」

「外装はレンガと緑に色付けした柱。金の立体文字の看板埋め込み。晴れてればエントランスでもコーヒーを

 楽しめるぞ」

「イギリスって外でもコーヒーって感じですよね」


 もうこの扉も開け慣れたな。


「ふむ、来たぞ」

「あ、声は泉水さんいらっしゃいませ」

「おうペルシャ。元気か?」

「はい。変わり無く。ん?今日はどなたとご一緒ですか?」

「おお、ペルシャさすがだな。今日はクラスメイトを連れて来たぞ」

「まあ嬉しい、どうぞカウンターいつもの席空いてますよ」

「ふむ。園子、今日はいつも奈々が座ってる席を使うがいい」

「はい。うわ〜店内もイギリスをイメージできる作りですね。見やすいメニュー。黒板を使った丁寧ね文字」

「OHHH!嬉しいところを褒めてくれるね」

「あ、あ、あの初めまして・・・あのその・・・」

「お父さん急にカウンターに出て来たら驚くでしょ?」

「やはははすまんね。私はこの店のオーナーでペルシャの父のロバートです。泉水ちゃんや大吾くんたちに

 よくしてもらってますよ」


 ふむ。相変わらずのキャラの濃さはロバートさんならではだな。さすがに園子は緊張しているだろう。


「ロバートさん園子とは高校でクラスメイトになったのだ。今日はこの店を紹介しに来たのだ。

 うまいコーヒーをいつも通り頼むぞ」

「YESお待ちを」

「ペルシャちゃんこっちにメニュー持って来てー」

「は〜い。あ、ちょっと行って来ますね、お父さんがコーヒー持って来ますのでお待ちください」


 園子はペルシャの背中をずっと見ていた。なんかあるのか?


「泉水さん、ペルシャさん目が見えていないとは思えない動きですね」

「ああ。普段はずっとこの店にいるそうだ。店内のことはすでに把握しているのだろう。目が見えない分感覚は

 研ぎ澄まされているだろうな」

「はい。凄いです。それにあの屈託のない笑顔、素敵すぎます」

「うむ。あれで我らと同じ歳だ」

「ええ?そうなんか?・・・あ、つい」

「気にするな。ペルシャは本当にこの店が好きなんだ。振る舞いを見ればわかる」

「そうなんですね」


 しばらくするとロバートさんがコーヒーを持って来てくれた。


「どーぞ。私のイメージだと、園子さんはモカブレンドって思いましたよ。泉水さんには、いつもの

 コーヒー。特別ブレンド」

「ふむ。ありがたい」

「うわ〜いい香り。嗅いだことのない香り・・・いただきます・・・美味しか〜」

「ふむ。今日も美味い」

「お褒めに預かり光栄ですな」

「ロバートさん、日本人でもなかなか言わない言葉知ってますね」

「園子さん、私は日本大好きです」

「マスター」

「YES!ではではごゆっくり」

「はい」

「ふむ」


 ロバートさんを見送った。


「素敵な人ですね」

「個性があると言ったろ?」

「はい。いい意味での個性ですね」


 ゆっくり寛いでいるとペルシャが戻って来た。


「お二人ともゆっくりできてますか?ずっと店内騒がしかったですよね?」

「いえいえ、すごく人気のあるお店で凄いです」

「ありがとうございます」

「ペルシャ、今日は透子さんは休みか?」

「はい。今日はご実家に行ってるんですよ」

「そうか」

「もう一人いるんですか?スタッフさん」

「はい。透子さんはすごくかっこいいんですよ。また来た時会えるといいですね」

「楽しみです」

「ここではたまに、兄上もカウンターに立つことがあるぞ」

「本当に?その時は絶対来ます!」

「お兄さんのスタッフ姿か・・・二ヘラ〜」

「楽しみか?」

「もちろん、楽しみすぎるばい。お兄しゃんがスタッフ仕事しとーなんて似合いすぎるばい!」

「そ、園子さん・・・その言葉遣いは?」

「あ、・・・その・・・恥ずかしい」

「ペルシャ、園子は九州の博多育ちなのだ」

「へえ〜。博多の言葉使い初めて聞きました。素敵な言葉遣いですね」

「そうかな?変やなか?」

「はい全然。むしろ可愛いです」

「ありがとうございます」


 二人とも仲良くできそうだな。

 微笑ましいやり取りで安心だ。


「ところで園子さん、クラスメイトってことは同じ歳ですね」

「はい」

「同じ歳のお友達が増えて嬉しいです」

「私も」

「それでお聞きしたいんですけど」

「はい」


 ん?ペルシャの表情・・・なんか・・・。


「大吾さんのことお兄さんとか言ってませんでしたか?」

「はいそれが?」


 !!!こ、この流れは・・・。


「どうして大吾さんのことをお兄さんと言ってるんですか?大吾さんは許してくれたんですか?」

「はい。大吾さん笑顔でOKしてくれましたよ」

「そうなんですね・・・。私は大吾さんのことはずっと前から【お兄さん】って呼んでるんですよ」


 いかんぞ・・・お互いにコメカミがピクピクしてる・・・。


「何が言いたいんですか?」

「私はお兄さんのことが大好きだってことです。だからお兄さんのことをお兄さんって呼んでます。

 それに近しい仲って意味も込めてます。素敵でしょ?」

「へ、へえええ。仕事ぶりから見るとペルシャさんは大人っぽいって思ったけど、案外子供っぽいんですね」

「うぐ! そ、そうかしら?うふふ。でもこういうところがお兄さんは好きでいてくれてますよ」

「お兄さんがペルシャさんの子供っぽいところ好きって言ったんですか?」

「い、言われてはいないけど・・・」

「うちゃ、お兄しゃんに受験ん時からずっと思うてもろうとったけんね」

「落し物持ってからな」

「ちょ!泉水さん!!!」

「ププ・・・苦し紛れの言い訳・・・惨めね」

「な、何はなくても、うちゃ、お兄しゃんに一目惚れしとったんやけん!

 うちん方がお兄しゃんのことずっと好いとーけん!」

「私の方がお兄さんのこと好きだし!大切な人だし!」

「うちん方が好いとーし!」


 という言い合いになってしまったのだ。

 寛ぎから、戦場に・・・緊張感ハンパなくなったな。


「「泉水さんはどう思う?」」


 我に振らないでくれ!

 この後、閉店まで言い合いに付き合わされた。


 なんという日だ・・・。


大吾がモテ期チートになって来ましたね。


妹たちがいっぱい増えるの楽しいです。

お兄ちゃんを取り合うのも可愛くて好きです。


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