らぶトモ 第79話 【呼ばれ方って重要だよね】
学校から帰宅し俺はソファーの上で正座している。柔らかいから足は痛くなりづらい。
なのだが、睨み貫かれそうな視線を浴びているわけだけど・・・。
「お兄ちゃん、なんで正座って言ったかわかる?」
「全く身に覚えがない」
「ふむ。兄上、もう少し女心に関心を持つべきだぞ」
「だからなんなの?」
「園子ちゃんと仲良しになったよね?」
「ああ」
「あやつの表情はどうだった?」
「紅くなって照れていたように見えた」
「ということは?」
「だから照れてただけだろ?」
「兄上・・・。いいか?兄上は素直にあやつに謝った。それで終わらず仲良くなることで友達にもなってやった」
「普通の流れだな」
「それはいいことなの!だけど〜!」
「だけど?」
「あやつをなんと呼ぶことになった?」
「園子」
「そうでしょ? ほらこれで私たちがプンプンしてるのわかるでしょ?」
「全然わからん」
「兄上のあほ」
「ひどい・・・」
「ひどいのはお兄ちゃんだよ〜」
「ん??」
「兄上はどうしようもないな。
いいか?あやつは仲良くなって友達になったことが嬉しいだけで、顔を紅くしてハニカムか?ということだ」
「コミュニケーションが苦手なら、なりそうだけど」
「あのねえお兄ちゃん。園子ちゃんは別にコミュニケーション苦手じゃないよ。言葉遣いに気を配ってたって
言ってたでしょ」
「そ、そっか」
「そんなわけで、兄上はまた余計なことをしたのだ」
「余計なこと?」
「もうまだわかんないの?ペルシャちゃんに続いて、園子ちゃんにも好意を寄せられてたってこと!」
「ええええええ?」
「あ、兄上・・・そのリアクション・・・本気で、気づいてなかったのか?」
「うん・・・すまん」
「もう!お兄ちゃんのバカ〜〜〜〜!!」
俺にはハードル高すぎだよ二人とも。女心に気を配るなんて・・・。
難しすぎる。
というか、ペルシャのことまで出てくるとは思わなかった。
ペルシャは俺のことを兄貴みたいに思っていると思うんだけどな・・・。それは園子も変わらないような気がするのだが・・・。
「だいたい、園子もペルシャも変わらなくないか?」
解らないので問いかけることにした。
「そんなことないよ!私のこと、奈々って呼ぶでしょ?」
「そうだな」
「それはなぜだ?」
「妹だし、ちゃん付けとか兄貴が変だろ?」
「それはわかったるんだね」
「じゃあ、なぜペルシャは呼び捨てなのだ?」
あれ?泉水ちゃん表情変わらないけど怒り心頭な雰囲気だな。そんなに怒ることなのか?
「ペルシャは、ちゃん付けな感じしなくない?か?見た目は幼いけどしっかりさんな感じするんだよな。だから、呼び捨てがいいと思うんだよな」
「園子ちゃんは?」
「なんかほっとけないタイプに感じないか?」
「なるほど、確かに一理ある。そう感じているのは、我もだ。ほっとけない妹のようだな。同じ年なのになんか守りたくなるタイプに感じる」
「奈々はどうだ?ペルシャのことどう感じる?」
「奈々は、そういった感じしない。なんか同じポジションに感じるけど」
「妹キャラということか?」
「そうだな。強いて言うならそんな感じだ」
「で、では本題だ」
「え?今の振りなの?」
「なぜ我はちゃん付なのだ?」
なんか照れてるようにそっぽを向きながらなぜだと聞いてきた泉水ちゃん。
そうか、そういうことか。
「正直に言うよ。泉水ちゃんのことは、可愛いと思ってる。けど、しっかりさんなところが多いから、ちゃんを付けないと泉水ちゃんに失礼かなって思ってたんだよな」
「な、なんだと?」
「そういう感じを受けてたんだ~!?」
二人とも驚いた表情を向かい合わせに目をぱちくりさせる奈々。表情わからないけど言葉だけは驚いた単語が出てくるのでなんとかわかる。
「しっかり見えるから、ちゃん付...意味はわからんが...」
「さっきも言ったけど、しっかりしてる泉水ちゃんを呼び捨てにしないのは、名前をちゃん付すると周りも取っつき安いかなって思って。それと奈々から紹介受けたときから泉水ちゃんだったからそのままってのもあるかな」
「そうだったんだ」
「ふむ。わかった。では、我としては、今後は呼び捨てでよいぞ」
「え?まじで?なんか改めて名前で呼ぶのは、緊張するんだけど」
「わ、我とて同じだ」
泉水ちゃんが紅くなってら。
名前ってけっこう重要だったんだな。
意識して切り替えるのは恥ずかしいな。
「い、いくぞ」
「よしこい!」
「ふたりとも、シコふんでるよー」
深呼吸のあと、
「い、ず、ひぃ」
「なんだと?」
「お兄ちゃん大事なときに噛むとかなしだよ」
「あ、いやこれはその...」
「あーにーうえー」
やばい!太助をやっつけたあの技を繰り出されたら夕ヒぬ!
「ご、ごめんなさいー」
「あ、兄上、逃げるとは卑怯なり!」
「待てお兄ちゃん!」
俺はダッシュで、外に逃げた!
「「まてー」」
と、夕方に響く二人の声だった。
「助けてー」
あ、俺の声もだ...。
女の子は名前の表現ひとつでも、気になるってことですよ。
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