らぶトモ 第75話 【もらってよ】
「あ、あのペ、ペルシャです」
ペルシャから初めて電話をもらった。ペルシャがどんどんいろんなことができるようになっていて嬉しい。
ちょっと引っ込み思案だからな。行動力が出るのはいいことだ。
ペルシャは、2月14日に店に来てほしいという事だった。この日に呼ぶということは、義理をくれるという
事だ。優しいなペルシャは。
「こんばんは」
「あ、お兄さん、いらっしゃいませ。いつもの席空いてますよ」
「サンキュウ」
俺の席はカウンターの端から2番目。一番奥は、桜庭さんか奈々の使う席だ。
「ペルシャちゃ〜ん、こっちにも注文いいかな〜?」
「は〜い。お兄さんちょっとまた後で」
「おう構わないぞ」
おじさん連中は、
「はいどうぞ。チョコです」
「嬉しいねえ。ペルシャちゃんみたいな可愛い子にチョコもらえて」
「義理ですよ、あしからず」
「あはは」
ペルシャはおじさんたちのいじりにも慣れたみたいだ。安心だ。
「いらっしゃい大吾くん」
「ロバートさん。いただきます・・・うん相変わらずうまいコーヒーですね」
「今日はすまないね、ペルシャが大吾くんにチョコをは渡したいというからね」
「いえいえ、ぜんぜんかまいませんよ。わざわざ連絡をくれるんですから。きっと自信作なんですよ」
「まあ透子くんが手伝ったあのだがね」
「それも含めてありがたいですよ」
「闇の眷属よ。仲間として人間のイベントをお前にもしてやろう。ほらよ。チョコだ」
「あ、ありがとうございます透子さん」
「ふ、ふむ。そんなに素直にもらうのは拍子抜けだな」
「???義理なのに緊張してもしょうがないですよ」
「まあそうだが・・・。ちょっとは意識してくれても・・・」
「はい?」
「なんでもないわ、ふん」
あ、行ってしまった。なんで急に怒るの?
「お兄さんお待たせしました」
「いやいや待ってないから平気だよ。透子さん、ロバートさんが話してくれたよ」
「よかった〜」
「で?今日はバレンタインでチョコくれるって?嬉しいよペルシャ」
「はい。私の初めてをあげるね」
「「「「「「「ぶ〜〜〜〜〜〜」」」」」」
店内のおじさんたちが、コーヒーを口から噴射した。
「ペルシャその言い方は控えたほうがいいぞ、みんな勘違いしてる」
「え?どこかおかしいですか?だって、初めてお父さんの他の男性にチョコをあげるんですよ?
お兄さんには感謝してもしきれません。だから今の私ができる感謝の気持ちです。
私でよければもらってほしいんです」
「「「「「「ぶ〜〜〜〜〜〜」」」」」」
「お兄さんになら、私の気持ち全部あげられます」
「「「「「「ぶぶぶ〜〜〜」」」」」」
「お兄さんがよければ全てを受け入れてくれるって信じてますから!!」
「「「「「「す、全て〜〜〜〜」」」」」」
ペルシャそろそろやめて!恥ずかしいし、おじさんたちがコーヒー飛ばしまくってる!
「はいお兄さん。私の気持ちです。初めてをあげます」
「あ、ありがとうな」
ちらっと店内のおじさんたちを見ると・・・。
皆ワナワナしながら灰にするなっているのと同時に、俺に殺意ある視線を向けてる。
ここに長くいたら・・・。やばい!
「こんばんは〜」
「あ、いらっしゃいませ、奈々さん、泉水さん」
「いらっしゃい二人とも。大吾くんの横空いてるよ」
「ありがとうございます」
「ふむ。座ろう」
「あ、ペルシャちゃん、透子さんもうお兄ちゃんにチョコあげたんだ」
「はい。想いの全てを捧げました。全部あげました」
「そっか〜。よかったね〜」
「はい」
「しかし兄上。兄上に周囲の視線が向けられておる。しかも悪意だ」
「う、そうなんだけど気にしたら負けだ」
「じゃあはい、お兄ちゃん」
「お、ありがとう。お、今年はシェイクじゃないか。ちゅうううううう、うんうまいありがとう奈々」
「えへへへ。あ、ロバートさんごめんなさい。飲み物あげちゃった」
「あははは、今日は構わないよ」
「ありがとうございます。ロバートさん、私にキャラメルマキアートお願いします」
「かしこまりました」
「我にはショコランティを」
「私が作ろう」
「透子か頼む。兄上。我からはこれだ」
「うわ〜おっきいね」
「ふむ、色々趣向を凝らしたぞ」
「ほんとだ。めちゃくちゃ可愛い・・・しかも美味い」
「当然だ」
奈々もよくチョコシェイク作れたな。あの奈々が・・・・。成長したな。
泉水ちゃんは相変わらず料理もすごい。
「失礼ながら私からも。木村様」
「桜庭さんも?ありがとう」
「どうぞ」
「ロールケーキか、ありがとう」
「美味しそう」
「奈々にもあげてもいいかい?」
「もちろんです」
「おい奈々よ。お前作ってる時も食べただろう?」
「そうだけど何度見ても美味しそうだよ」
「奈々・・・お前って・・・」
「えへへ。成長期だから」
「太るぞ」
「明日から本気出すよ〜」
今年は本当に幸せだ。
女子からこんなにもらったの初めてだ。
「ハロハロ〜〜〜」
「いらっしゃいませ、太助さん」
「ペルシャちゃん、ロバートさん、透子女史、大吾〜こんばんは」
「揃いましたねいつものメンバーが。あははは」
「今日は大繁盛だな。よくぞ来たぞ愚民ども」
「大吾〜バレンタインのチョコだよ〜」
と言った途端、【がん!】と出入り口の柱にぶつかった音がした。
「NOOOOOOO」
「あ〜あ、太助さん大丈夫?うわ〜!おっきい箱〜」
「なんだこのデカさは」
「入れづらいぞこのアホ」
「なんてことでしょう〜。せっかく持って来たのに」
「おい太助。だいたいなんで男のお前が俺にチョコなんだよ」
「外国は男性があげるんですよ」
「ここは日本だぞ」
仕方ないので、箱を外で開けて入れることにした。
「な、何だと〜〜!フザケンナ〜〜!」
「気に入ってくれると思ったのに〜〜〜。ああああああパンチキックしないで〜〜〜!」
「何と悪趣味な」
「太助さんの等身大チョコ・・・しかも首がもげてる。お兄ちゃんが怒ってるのはこれが原因だね」
「そんなにすごいの持って来たんですか?」
「ペルシャ、あの者のチョコは興味持たんほうがいいぞ」
「そうなんですか?透子さん」
「平等院様は・・・本気なのですよね?」
「さくら。マジになるな」
そんなこんなで、人それぞれの個性あふれるチョコをもらった。
太助以外の女子に感謝だ。
「大吾〜〜〜〜私のももらってくださいよ〜〜〜」
「溶かして形を変えたとしても、絶対もらわない」
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続きます。