らぶトモ 第70話 【販売するよ】
森山、奈々、泉水ちゃん、太助、そして俺は皆んなで初めて1つのものを作り上げた。
それは、声を大にして言い・・たく・・・ない・・・。
だって、女性向けの、男同士がくんずほぐれ・・・お、おほん・・・。とにかく、漫画を完成させた。
すごい充実感だった。俺は給仕をしてただけだったけどな。
だがそれで終わったわけではなかった。
漫画は描いたら見てもらわないといけない。ということで、
「やってきましたよ〜〜〜!コミケ〜〜〜!!!」
「叫んでないで荷ほどきしやがれ!!」
「はい・・・木村くん」
この漫画を個人で売り買いできるイベントは、全国から集まるでかいイベントだ。
泉水ちゃんが連れてきてくれた前にコスプレで参加したイベントはコスプレが基本で、本とか売ってる
グループは少なかった。
「お兄ちゃん、これ持って欲しいんだけど・・・」
「はい〜。なんだこれ?」
「今回の作品のポスターです。うちのサークルは壁サークルって言って、たくさん販売できるサークルは特別に
隅っこに場所を配置されて、行列とかの迷惑をかけないようにするためなんですよ」
「そうなんですね。でも・・・。サークルって他の方はいないんですか?」
「うぐ・・・。群れは人をダメにする」
「ほほう、どうせ其方のことだ、趣味趣向を相手に押し付け、理解されず、啖呵を切ったものの、ついてくる奴は
おらず、ボッチとなりそれをステータスと強がっておるのだろ?」
「ち〜〜〜〜ん・・・・」
「ON〜!山縣泉水女史!相手の弱点を抉るようなことを〜」
「あはははは・・・」
「なんだかな〜」
バッサリ切りすられ床に顔面から倒れる森山・・・。魂が抜けようとしている。
「とにかく早くこいつを片付けちまおうぜ。量が多すぎて何が何やらわかんねよ」
「そ、そうですね。今は倒れている場合ではありませんね」
「ふむ。なかなかタフネスだな」
「泉水ちゃんやめたげて!」
「おうもう開始30分もありませんよ〜」
テーブルは会議用の長テーブルをあてがえられている。
そこに、新刊と書かれたPOP。値段、コピーされてホチキス留めをしてる本?小銭入れ、ステッカー。なんだこれ?
やけにでかいな・・・と思ったら抱き枕?うわしかも、半裸の美男子・・・。
ビイイイイイイイイ。館内に響くサイレンに似たベルの音。
「みなさんおはようございます。これよりコミッケマーケットを開催します」
ぱちぱちぱちと、館内のあちこちで拍手が起きている。
「さ、皆さん気合い入れてください。購入する方々が集まってきますよ」
「そんな大したことないだろ?」
「木村くんは恐怖しますよ」
「ん?」
ドドドドドドドと何か近づいてくる音がする。
「お兄ちゃんなんか、来るよ」
「ふむ、プレッシャーが半端ないな」
「ここはどこかのダンジョンですかね〜」
見えた!と思ったら、真っ直ぐに俺たちの方へ向かって来る。
「3本目の足先生の新刊〜〜〜くださ〜〜〜いい〜〜〜〜」
「ひいい!!」
「なんか危険を感じるぞ」
「これは盾と鎧が必要ですね」
「大丈夫か?」
「皆さんよろしくです!!」
順番にお並びくださ〜い。最後尾はこちらで〜す。
はい、新刊ですありがとうございます。
3セットですね。3000円です。
すごい勢いで買いに来た女性たち。この人数があの美男子のえっちい漫画を読んで、ハアハアしちゃうのか・・。
女性でもそういう衝動になったりするんだな・・・。世の中には男用のばっかり出回ってると思ってたけど。
女性用も市民権を得て来たのかな?
「奈々さん泉水さん交代でお昼休憩をしてください」
「了解した」
「ありがとう。でもまだいっぱい人いるよ〜」
「奈々販売は交換するぞ」
「お兄ちゃん」
「呼び込みはこの私めが担当ですぞ〜」
「貴様はもっと働け」
「そんな〜」
「というわけで行って来てください」
「じゃあすぐご飯食べて来るよ〜」
「ふむ。大変だろうがしばし待たれよ」
「行ってらっしゃ〜い」
「ゆっくりして来ていいぞ」
その後は正直キツかった。2人が抜けた分、販売速度は落ちるから仕方ない。
だが心配して奈々と泉水ちゃんがトイレとご飯だけで帰って来てくれた。
「完売で〜す!!」
「まじか?」
「すごいです〜」
「驚きだ」
「まさかあの量を売り切るとは」
「皆さん本当にありがとうございます」
「いいえ」
「ふむ、よきにはからえ」
「完売おめでとうです〜」
「ほんとすげーよ」
「はい本当に皆さんのおかげです。それで、皆さんにお礼がしたいんですけど」
「それ的には腹減ったから飯食べたいな」
「あ、お兄ちゃんわたしもそれ〜」
「ふむ、たまには世のジャンキーもよかろう」
「MEもみんなとならなんでもOK~」
「そんなのでいいんですか?完売したからなんでもいいですよ」
「じゃあ、友達になるか?」
「え?」
「お兄ちゃんナイスアイディア」
「ふむ、友達いないと言ってたしな」
「友達は学校生活の活力ですぞ〜」
「いいの?」
「まあ普通は、いつの間にかなってるものだけどさ」
「確かに、友達になろうってお願いすることでもないからな」
「そうだね。泉水ちゃんともいつの間にかずっとおしゃべりするようになったしね」
「別にいいんじゃないですか?外国では、今日から仲間だとか宣言しますよ」
「心の持ちようですかね?」
「ああそういうことだ」
「皆さんがいいなら・・・お願いします」
「よろしく」
「よろしくね」
「ふむ仕方ないな」
「welcomeですぞ」
俺たちは街に帰る途中にレストランに立ち寄って打ち上げをした。
めちゃくちゃ頼んでめっちゃ食べた。
森山はイベントが終わって安心したのか、これまで見たことないはしゃぎようだった。
「じゃあまたな」
「はいまた学校で」
「兄上、奈々、2人ともでは」
「MEは会社に戻りますよ〜」
俺たちは電車で、太助は自家用車で、泉水ちゃんも桜庭さんが迎えにきた。
ほんとに今日は疲れた。
ーー森山邸ーー
「グフフフ・・・わたしに友達・・・・グフフフしかも・・・。木村くん、平等院くんのあの息の合った行動。
奈々さん泉水さんの仲睦まじい感じ・・・グヘヘへへへへ」
その後俺たちの知らないところで、女子同士の仲良しもの、男子と男子の仲良しものを、
発刊したのだった。
「ネタをありがとう〜〜〜〜〜〜!!」
女子同士、男子同士・・・萌えました
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