らぶトモ 第65話 【くっ付いちゃったよ】
奈々のドキドキジャグジーをなんとか乗り越えて、朝食の場所へ行こうとしていた。
「あ、ちょっと奈々?歩きづらいのだが」
「いいの〜。今のうちだけだもん」
「そ、そうか?いつでもできるのでは?」
「邪魔されないでずっとくっ付いていられるのも、うわ〜!」
「げ!ちょ奈々!」
俺はとっさに奈々を庇うように下敷きになった。くっ付きすぎて奈々が俺の足を大外刈する形になった。
「う、イテテテ。奈々大丈夫か」
「う、うんイタタ、大丈夫ちょっと手を打っただけだよ」
「そっか良かった」
奈々は無事だったようだ。良かった。
「奈々起き上がれるか?」
「うん、今起きるね」
「うお!!奈々〜!」
「え?どうしたのお兄ちゃん」
こ、この体制は〜。
ヒソヒソ・・・。
「お、おいあの2人こんなところで・・・」
「女が男の・・・あんな場所に女の子座りで・・・」
言葉はわからないが白い目で見られていることはわかる!!
絶対怪しい2人に思われてる!!
「奈々!早くどいてくれ!周りの視線が痛いぞ!」
「うんすぐ退くよ、ヒア!!お兄ちゃん動かないで〜」
「奈々早く〜!」
俺はこれまでの人生で初の視線の刃に切り刻まれた・・。恥ずかしいです・・・お母さん。
「お、お待たせしました太助さん」
「おはよう太助」
「あらららら?どうしたのですか?大吾めちゃくちゃ嬉しそうな顔してるのに灰になってますよ」
「太助さん・・あの実は・・・」
ーーかくかくしかじか・・・ーー
「なるほど。それは確かに男子としては随分とラッキーすけべ発動ですね」
「ら、ラッキーすけべ?」
「まあ数分で復活しますからそこに置いときましょう」
「大丈夫なのかな?」
「大丈夫ですよ。向こうで朝食を食べてれば復活します」
「はい。お兄ちゃんこのソファで休んでてね」
お兄ちゃんをソファに寝かせて、朝ごはんを食べてたら、太助さんのいった通りになった。
朝食は夕飯を食べたときのVIP専用のお部屋。
シェフも同じ人だった。
「おはよう、みんな」
「お兄ちゃん良かった〜灰になってたから心配したよ」
「おう。ようやく正気に戻った。幸せからの復活だ」
「お、お兄ちゃん?さっきのが幸せなの?」
「奈々、ごちそうさまでした」
「奈々意味わかんないよ〜。でもなんかものすごく恥ずかしいこと言われてるのはわかるよ〜」
「のほほほ〜。仲睦まじいのはいいことですね」
「はい左様にございますね、太助様」
そんなこんなで、奈々との心の距離が縮まったようなそうでないような感じで
正月のリゾートバカンスは終わりを遂げた。
のだが、飛行機に乗るまで奈々はこっちをチラチラ見るだけで、ちょっとしか話してくれなかった。ひと言、
「お兄ちゃんのえっち」
と、100t爆弾を投げつけて黙ってしまった。
あの朝の出来事は俺だけが悪いわけじゃないのに...。
しかし、空港に着いてお土産コーナーに行ったとたんに、
「見てみてお兄ちゃん!アメリカンなお菓子とかいっぱいだよー」
と、大はしゃぎで機嫌が直った。奈々、お前マジで優しいやつだな。お兄ちゃん嬉しい。
「大吾出発まで少し時間ありますから、ちょっとチャレンジしませんか?」
「なにを?」
「アメリカはホットドッグ世界一を決める大会があること知ってますか?」
「ああ、日本人の人が一番なやつな」
「そうです。世界一と名のつく競技に日本人が名を連ねる。なんと誇りある栄誉でしょうか」
「確かに。で、俺たちもやってみようと?」
「YES!いかがですか?思い出に」
「そうだな。ちょっとやってみるか」
「お兄ちゃんなにするの?」
「これからホットドッグ大食いチャレンジするぞ」
「おお!頑張ってお兄ちゃん!」
「おう!」
空港ゲートのフロアには、飲食、売店が点在している。日本の空港も、搭乗ゲートのフロアにたくさんの店が連なっている。
かくして、俺と太助はチャレンジ開始。
5分で俺は3本。太助は2本。ぜんぜんダメダメだった。
「うっふ。苦しい」
「以外と入らないな」
「お兄ちゃん太助お疲れ様、十分食べてるよ」
「そうか?」
「うん!凄かったよ!お兄ちゃんの真剣な顔カッコ良かったよ」
「ありがと奈々」
「えへへ」
「はあ、負けました。大吾は強いですね」
「大したことないぞ」
「じゃ店主さん、参加賞お願いしまーす」
太助は店主に英語で話、頷いた店主が景品を持ってきた。
それは、小さなパワーストーンの付いたピンキーリングだった。
ピンキーとは、小指にはめる指輪をさす。
それを参加賞にしているのだそうだ。
「じゃあ奈々、参加賞にピンキーリングくれるそうだから、選んでいいぞ」
「ほんと?じゃあ、これ!」
「ああ、じゃあこれください」
そしてそれを奈々に手渡す。が...。
「お、お兄ちゃんにはめてほしい」
「奈々...」
「はめて...くれる?」
すごく照れている奈々が愛しく思えた。
「ああ、わかった」
「はい。お兄ちゃん」
「じゃあはめるぞ」
「ありがと」
な、なんだかな...。
ピンキーリングでドキドキする。
「奈々似合ってる」
「うん」
奈々すっと、俺に近づき、
な、なな、な~!
頬に柔らかでちょっとあったかで、優しい唇が触れた。
「ふあ!」
「あ...ああ...ご、ごめんなさいお兄ちゃん、なんか自然に、体が勝手に...む、無意識に~!」
奈々も今の行動が理解できなかったようで混乱を極めている。
太助はニヤニヤしてる。店主もニヤニヤしてる。
晒し者だよこれ!なんの羞恥プレイ?
最後の最後でこんなことになるなんて!
俺はまた、灰になってしまうのだった。
もう二人のラブラブが止まりません。
最後まで読んでくれてありがとございます。
また次回も読んでくださいね。