らぶトモ 第58話 【着物を着るよ】
どこの神社がお願いきいてくれますかね?
「う、うぐううう。さくらさん胸苦しい!!外して〜」
奈々・・・どんなだけ大きくなったんだ・・・。
今日は元日の昼。早朝に成田山の初日の出を拝んでから数時間で、泉水ちゃんの家に集合している。
それは、女子たちが着物を桜庭さんに着付けをしてもらっているからだ。
俺と太助は、簡単なものだ。
俺のは男着物は正絹着物を用意してもらった。
ツッパリ感もなく、着心地は最高だ。着物と羽織も揃っていてぱっと見は、時代劇の商人みたいな感じだ。
色は茶色。シックな感じになったかな。
女子はやはり振袖だね。
「奈々さん。ここを乗り越えないと振袖は切れませんよ。綺麗は忍耐とお考えください」
「で、でも〜」
「サラシでは胸を潰すだけでなくて苦しいですから。そしたらサラシに近い専用ブラをご用意しますね」
「そんなのもあるんだ〜」
奈々は感心しつつ、安堵の声を出している。
あ、声だけで判断しなきゃいけないのは、部屋の外で待ってるからだ。
「奈々さんの場合はとにかくバストを小さくしなければなりません。トップを抑えて、その押さえつけて
潰れた分の胸のはみ出しを抑えることができます」
声だけだと想像でしかないが、
大体は肩紐の部分を摘んで広げて見せていると思う。
「あ、これなら苦しくない。さっきのサラシよりいいよ〜」
「サイドに収まるように工夫されています。その分気になってしまうサイドの加工ですが、
和装ブラはどんどん進化していってます。
基本3点止めの後ろホックが主流ですが、今回は奈々さん特別の5点式にしました」
「はわわわわ・・・は、入った〜すごいよ〜苦しくないよ〜」
桜庭さんの用意した和装ブラが奈々の胸の大きさと弾力に勝利した雄叫びが響いた。
「鎖骨全体で胸を抱える感じに作った肩紐の部分は、レースがほどこかされていて、一見貧弱に見えますが、
その見た目をいい意味で裏切る丈夫な作りになっています。
薄っすらと肌の色を下地にしてレース本来の可愛さを出しています。
見えてないとこにもおしゃれを追求するのは、日本人女性ならではの考え方ですね」
「おおなるほど〜」
奈々の桜庭さんへの熱いまなざしが目に浮かぶ。
「奈々よ、我は終わったぞ、部屋へ入るぞ」
「いいよ〜」
俺たちがいる反対側の部屋からスーっと障子が擦れる音がして泉水ちゃんが入ってきたみたいだ。
「うわ〜泉水ちゃん可愛い〜」
「まあこんなもんだな」
泉水ちゃん着替え終わったんだな。これから見るのが楽しみだ。
「あ、あの〜、私も来させて頂いて本当によかったのでしょうか。しかも振袖も用意してくださるなんて」
「ふむ、構わんぞ。我が皆で着物を着たかったのだ。たまの我のわがままも両親は快く承諾してくれたぞ。だから
気にせず振袖を楽しむがいい」
「はいありがとうございます泉水さん」
ペルシャにも振袖を着せてやりたいと申し出た泉水ちゃんは、ペルシャのサイズにぴったりの振袖を用意したみた
いだ。
「おおおおペルシャの振袖姿みたいですね〜」
「ロバートさんは残念がってたよ」
「仕方ありませんね。正月もお店をやるって前から告知してしまってましたし」
「まあオープンしたての喫茶店にはそれなりにやらないといけないんだろうな」
「個人経営は本当に大変ですからね」
太助は経営者だからお店の運営の大変さは誰よりも理解しているだろう。
「しかしま〜、奈々の胸は和製ブラでも目立つな。全くこの弾力と大きさは女性陣から嫉妬を受けるからな」
「ええ〜!?みんなこの胸が羨ましいの?」
「それにこれだ」
「ヒャアア、ちょっと泉水ちゃん何するの?」
ンンンン?奈々の声がエッチいぞ・・・ドキドキ
「ほら見てみろ。感度も申し分ない。大きいと肌が鈍感になるとネットなどで書いてあるが、
その例に含まれん、類まれな胸なのだ」
「うひゃはや、ちょっとやめ・・ああん」
うわうわうわ〜〜〜〜。
「よかったな兄上。奈々はしっかり大人だぞ」
「ちょっと泉水ちゃんお兄ちゃんを呼ばないでよ〜。にゃやややや、あふん、らめ〜!お、お兄ちゃん!
あっちに行ってて〜!!」
「お、おう」
「MEは残ってますね」
ぐわ!!ぴよぴよ・・・
太助にツムジチョップを食らわせて引きずって別の場所に移動した。
こいつずっと奈々の声を聞いてるつもりだったな、けしからんぞ!
奈々のやつ、あんな・・あんな・・・うっああああああ!!!
「だ、だ・い・・ご・・そろそろ、やめ、やめ〜〜」
「あ〜〜太助すまん!!おいしっかりしろ〜!」
俺は無意識に太助の顔をチョップしまくってたようだ。
俺ドキドキすると、チョップする癖あったんだな・・・。
ーー女子たちの部屋ーー
「もう!泉水ちゃんは!お返しだぞ!」
「おっとそうはいかん。奈々にくすぐられるほど我は鈍くはない」
「悔し〜〜〜」
「え、えい!!」
「ひあああああ、な、ペルシャ何をする!びっくりしたではないか」
「あ、あのその、声で泉水さんの位置がわかったので、ちょっと私もいたずらしたくなりました」
「こいつめ。そうしたからには覚悟はできているのだろうな?」
「ひいいいい、ごめんなさいごめんなさい」
「ペルシャ覚悟しろ!!ーーーな、何〜〜〜!?」
「あ、いや、そんな強くしないで〜」
「ペルシャ、お前・・・結構あるのか・・・」
「Dくらいです」
ばたり・・・。
「あ、泉水ちゃんが倒れた」
「なんということだ・・・ペルシャは我と同等と思っておったのに・・・」
「そうなのです。ペルシャさんはその見た目の幼さに不釣り合いな胸をお持ちです」
「泉水ちゃん大丈夫。まだ未来はあるよ」
「はい、泉水さん希望を持ちましょう」
「泉水様、私は泉水様の味方です」
「慰めはやめてくれ・・・余計惨めだ・・・」
こんなやりとりをしてたなんて男子には言えないよね。
ーー大吾と太助のいる部屋ーー
襖が引かれ振り返ると
「どうかなお兄ちゃん」
「スッゲー綺麗だ・・・」
見惚れるってこういうことだ。
色白の奈々の肌が際立つ、紅白の振袖。
蹴鞠が刺繍で縫われており、立体感があって格式が高く感じる。
顔も化粧して、普段の奈々とは別人のように見える。
髪もアップにして、簪をきらびやかに下げている。
足袋を履いて、全体的に肌を隠し、お淑やかさを放っている。
「お、お兄ちゃん見過ぎ!穴空いちゃうよ」
「お、おう、すまん、ついな」
「えへへ、最高の褒め言葉だよお兄ちゃん」
奈々がぐっと俺の腕に手を回してきた。
すごくいい匂いがする。クラクラするぞ。
「おほん。イチャイチャはその辺にして、我のはどうだ?」
「おおわんだほ〜!!ブルーの着物なんて爽やかです〜。散りばめられた桜が山縣泉水女史の可愛らしさを
引き立てて、気品に満ちでますね〜」
「オンドリャ〜〜〜!」
「ドワ〜〜〜!ナイスボディブロ〜です」
太助が気を失った。
「貴様に一言も聞いておらんだろうが!なぜに貴様が解説をするのだ。このこの!踏んでやる!」
「い、泉水ちゃんその辺にしてやって。あ、泉水ちゃんその髪飾り、スッゲー似合ってるよ」
「お、そうか?おほん。我をようやく褒めたようだな。遅いぞ兄上」
泉水ちゃんの簪は、しだれサクラを意識してのことだろう。
たくさんの桜が散りばめられているように作られ、宝石が付いている。
桜さんを意識してこの簪を決めたんだな。
彼女の桜庭さんへの思いも伝わる。
「あの、お、お兄さん、いかがですか?」
「ほほ〜、ペルシャいいじゃないか」
「えへへへ」
桜庭さんに手を添えられ入場してきたのはペルシャだ。
ペルシャはハーフだから、髪の毛の色は金に近い、まとめあげて玉を2つ乗っけてる風に編んでる。
そこに綺麗なハンカチを巻いてるように留めてある。
振袖はペルシャの持つおっとりとした雰囲気を、繊細且つ元気な雰囲気を出すデザインだ。
白を下地にしてピンク金紫など、様々な色を使って、せせらぎをイメージした刺繍の周りに、色とりどりの
花がたくさん散りばめられている。
なんとも可愛い。
「ペルシャ、可愛いぞ。御人形みたいだぞ」
「あ、ありがとうございます。照れますね、嬉しいです」
「照れることないぞ。ペルシャは元がいいんだから、自信持っていいぞ」
「は、はい・・・」
ん?俺の声のする方を向いて、なんかぽ〜っとしてる。
振袖暑いのかな?
ヒソヒソ・・・。
「全くお兄ちゃんは・・・あほ」
「ふむ、あれでこそ兄上だ」
「将来女性を泣かすのではないか心配です」
「大吾は甲斐性がないからそれは大丈夫です」
「あ、確かに」
ん?何をヒソヒソと話してんだ?
「お兄さん本当に今日はありがとうございます。泉水さんも」
「やれやれ、我はついでか。仕方ないか、ペルシャの頭の中は兄上でいっぱいだからな」
「え?泉水さん違いますよ!お兄さんのことで頭いっぱいじゃないですよ」
「ああそうか、ペルシャの頭の中に俺はいないのか」
「ええ?そういうことじゃなくて〜」
「MEのこともいないのですか?」
「あ、太助さんは全然」
「NOOOOOO」
「冗談ですよ」
「いやいや、ペルシャは即答しておったじゃないか。だから貴様は眼中にない」
「ガッデム!!」
「「「あはははははは」」」
さ、準備はできたしみんなで詣に行くぞ!
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