らぶトモ 第53話 【待つよ】
「泉水様、本日は予定通りのカーテンの交換です。よろしいですか?」
「おおそうだったな。このカーテンようやく届いたか。クローバーの柄が入ってるカーテンは人気だな」
「はいそうですね。2ヶ月ほど完売マークでしたね」
「ふむ。しかし、さくらよ。気をつけて交換してくれ」
「はい、お気遣いありがとうございます」
「まあ心配はしてないがな」
「では、この角を入れれば・・・」
「ん?どうした?」
「フックに入りづらくて・・・」
「無理はするな・・・あ!さくら!!」
【ガシャ〜〜〜〜〜〜ン・・・バリン・・・!!】
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「ほひいしゃん、ほはものいふの?」《お兄ちゃんお買い物行くの?》
「ちょっと奈々さん。物を加えながら喋るのはお行儀悪いですよ。しかもソファーに横になりながらは、
だらしないおじさん状態だぞ」
「うぐ・・・。お買い物行くの?」
「ああ。今日は何食べたい?」
「焼き餃子〜」
「お、珍しいな」
「なんか、そんな気分〜」
「はいよ。じゃあ行って来るぞ」
「行ってらっしゃ〜い」
ーー商店街ーー
「おばちゃん、豚ひき肉200gね」
「はいよ。今日は何すんの?」
「奈々が餃子食べたいって」
「へえ、珍しいね」
「そうなんだよね」
「はいよ、200gね」
「ありがとう、じゃあねおばちゃん」
「ありがとうね」
俺は買い物を済ませて、ペルシャの顔を見に行った。
「いらっしゃいませ〜、あ、お兄さん」
「お、ペルシャ今日も元気だな」
「はい。元気いっぱいです」
「ん?見たことある背中・・・」
「あ、お兄さん、そこは」
「何?だめ?」
「いえそうじゃなくて」
「やっぱり、桜庭さ・・・ん?」
「・・・・」
俺はそのあと、黙って横に座って珈琲を飲んでいた。
桜庭さんは静かに涙を流していた。
長い髪がザサっと垂れているのから、泣き顔を周りに晒すことはないが、肩がずっと震えていた。
たまに大きく深呼吸して、涙をハンカチで拭っていた。
こんな桜庭さんの状態で、雇い主の泉水ちゃんがいない・・・。
まあ何かあったよね。
落ち着くまで待つしかないよね。
ペルシャとロバートさん、透子さんは黙って見守っていたそうだ。
とりあえず、カウンターの一番奥の席とその隣の俺、と3番目の席は予約席にしてもらって、
涙が止まるまで、珈琲をおかわりしてました。
「お兄ちゃん・・・遅いな・・・」
今回はちょっと暗め展開です。
懲りずにお付き合いくださると幸いです。
ブクマ、評価よろしくお願いします。