らぶトモ 第46話 【マルシェに行ったよ】
喫茶店好きなんです
さて、授業も終わったし、晩御飯の買い出しに行くか。
「おう大吾〜。今日も静が出ますね」
「精もなにも、当たり前のことだからな」
「仕事ではなく、当たり前・・・。素敵なお兄様ですね〜。大吾に私の執事&秘書を依頼させていただきますよ〜」
「なんだそれは?俺が将来どこにも就職できないみたいじゃないか」
「なんと!私との仕事をブラック的に感じるとは!!有能なお兄様に見合った報酬を用意しますよ〜」
「お兄様いうな!!ま、本当に就職できなかった時に頼むは。じゃあな」
「は〜いではまた明日・・・。結構本気なのですがね」
俺はいつもの商店街に来て、スーパー、個人商店の各種見てまわる。
「おばちゃん、今日は豚バラ200gね」
「はいよ。大ちゃん今日はなにするの?」
「豚バラボール。うるち米と野菜を巻いて甘辛く味付けするやつ。あ、ついでに牛も100gね」
「相変わらず凝ってるね。それでよく奈々ちゃん太らないね。美味しくって食べ過ぎちまうだろうに。
はいよ、豚バラ200g、牛100gお待ちどう」
「サンキュウおばちゃん。じゃあまたね」
「ありがとう」
小さい頃からこの商店街は庭なようなものだ。
忙しい両親の代わりに奈々の世話を焼いていたことは、買い物先のおばちゃんたちは事情を知っていて、
優しく接してくれていた。そんなおばちゃんたちに、奈々の笑顔。俺はそれだけで幸せだった。
ん?
ここ・・・。初めて見る店だ。
【マルシェ】シャレてるな。時間は・・・。うん、ちょっとくらいイイよな。
ドアは軽めで、貴族のベル呼び出しみたいなのが、ドアについて気持ちいい音色が店内に響く。
その内装は、ベルの音にふさわしくイギリス王朝を思わせる作りだった。
壁紙に細かい花。床はモダンな色調と石畳のようなデザイン。カウンターは背もたれは無いが、腰のところは少し
寄りかかれるようになっている。荷物も入るようにカウンター下は斜めに深くなっている。
サイフォンが置かれ、本物の珈琲を淹れてくれるのは目に見てわかる。
お客さんも年齢の高めな人たちが数名いた。この雰囲気最高だ。
そして、そこに立っているのは、
いかにもな、イケメンのおじさまと、可愛いウエイトレス。それに、
「あ」
「いらっしゃいませ。こちらカウンターへどうぞ」
「お客様は初めてですね。ようこそ、マルシェへ。私はここのオーナーのロバート・冴島・フォートランドです」
「ようこそ青少年。私はオルタナティブから召喚されてきた、闇の眷属東田透子だ。
ククク、存分に寛ぐがいい」
「これ透子くん、それはやめてって言ってるだろ?失礼しました。この子アニメゲームが大好きでして」
「いえいえ全然ありですよ。それよりその」
「ああ、ご紹介遅れました。この子は私の娘の、ペルシャ。さ、ご挨拶して」
「あ、あの、初めまして、ペルシャ・冴島・フォートランドです。あのその声はあの時の?」
「やっぱり。ショッピングモールで会った子か。まさかここの娘さんとは思わなかったよ」
「あの時は本当にありがとうございました」
「すみません〜注文いいですか?」
「あ、は〜い!オーナー私行ってきますね」
「ああ、すまないね。
そうか、貴方がペルシャを助けてくれた優しいお兄さんか」
「え?そんな、優しいだなんて。当然のことしたまでですよ」
「もうお父さんも、恥ずかしいからそういうことご本人の前で言わないでよ」
頬を紅くして俯いてしまった。儚げで可愛いな。
「あははすまんすまん。じゃあ私は仕事に戻るよ。あ、貴方のお名前を教えてもらえませんか?」
「俺は木村大吾です」
「大吾くんか。これからよろしくお願いしますね。娘と仲良くしてやってください」
「こちらこそ。あ、俺コーヒー好きなんです。ラテを1つお願いします」
「かしこまりました。ペルシャ、お客様のお相手頼んだぞ」
「もう!お父さん!」
「あはは」
「ご、ごめんなさい」
「いいっていいって。それよりまた会えて嬉しいよ」
「う嬉しい?・・・迷惑かけたのに」
「迷惑なんて思ってないって。だから気にしないでくれ、気になるから」
「はいありがとうございます」
「ここの店最近できたの?」
「はい。1週間前にオープンしました。こっちの国に引っ越してきました」
「そうなんだ。帰国子女か。なんかかっこいいな」
「女の子にかっこいいは褒め言葉じゃ無いですよ〜」
「あははごめんごめん。つい妹みたいに感じちゃって」
「妹?」
「そう。一緒にいたでしょ?」
「ああ。もうひと方の声を聞きました」
「そう。あいつは、俺の妹で木村奈々。14歳だ」
「私と同じ年です」
「そうなんだ。じゃあ今度ここへ連れてくるよ。よかったら仲良くしてやってよ」
「はい。あ、でも・・・」
「ん?」
「私は・・・。こんななので・・・ご迷惑だと思うんです」
そうか。ペルシャは目が見えないから・・・。
でも迷惑だ、なんていうは・・・。
「ペルシャ。自分のことを【迷惑な人間】って思ってるの?」
「そ、それは・・・」
「まだ2回しか会ってないのにこんなこと言うのはどうかと思うけど。
君は、迷惑な人間じゃない。少なくても、俺はペルシャと会えて嬉しいと思ってるよ。
迷惑どころか、逆に迷惑なことを俺は君に頼もうとしてる」
「え?」
「これからもっと仲良く、それで友達になれたら嬉しいな」
「う・・・」
あ、言い過ぎたな。それに調子に乗って、握手求めちゃったよ。
「本当に優しいんですね・・・」
「ん?」
「あ、ありがとうございます」
あ、握手してくれた。
「これからよろしくね、ペルシャ」
「はい、よろしくお願いします。お、お兄さん」
「はい?」
読んでくれてありがとうございます。
新たな【妹】が登場でした。
是非可愛がってください。