らぶトモ 第40話 【我慢だよ】
寒い季節になりました。
木枯らしが強く吹いている秋と冬の間の季節。
耳も手も悴むのが苦手だ。
「おい奈々。いくらなんでもその格好は薄着じゃないか?」
「平気だよ~、奈々元気いっぱい!」
ほんとかな?今日は、天気予報で朝は10度を下回るって
言ってたし、夕方はもっと冷え込むって言ってたぞ。
「そんなに心配しなくて大丈夫!奈々は、元気溌剌だから!」
「すげえな。俺は寒くて着込んだのに」
「うふふふふー見直した?」
「そんなことないは、ない」
「ひどい~、溜めて、ない!って言った」
「さて、学校いくぞ」
「あ、待ってよー」
登校中に、声をかけてきたのは、
「おはよう、兄上、奈々」
「おはよう泉水ちゃん」
「おはよう」
「奈々よ、コートも無しに寒くないのか?」
「平気だよ」
「無断せぬようにな」
「心配してくれてありがとう」
「泉水ちゃんは、しっかり防寒具だな」
「コート、セーター、タイツと、女子高生冬の神器は完璧だ」
「まだ中学生じゃないか」
「中学高校一貫校なのだから、変わらんだろ」
「なんかお兄ちゃんと一緒に通ってるから、高校生になった
気分の時たまにあるよ」
「そうなのか?」
「わからんでもないな、進級しても行くところ変わらんからな」
「それもそうか」
たまたま自分の家の近くの学校が一貫校だったのは
正直ラッキーだ。
クラスの通ってるやつからの話だと、毎度毎度ラッシュに揉まれ
るのは、嫌になると言っていた。
確かに、通学の時間に苦労するのは1日過ごすモチベーションを
削がれそうだ。
「じゃあお兄ちゃん、また放課後ね」
「ああ、またな」
「行っちゃったね」
「ああ」
「泉水ちゃん~」
「おわ!急に抱きつくな」
「だって寒いのー」
「やはりやせ我慢だったか。まったく何故にコートも着ないのだ?」
「だって...コート着て、厚着して...太って見えるんだもん」
「では素足なのはなぜだ?」
「可愛さは、我慢って...女子力アップに欠かせない心構えって、今月号のルンルンに書いてあった」
「まだその雑誌を読んでおるのか」
「今の女子中学生高校生に人気の雑誌だよ?お兄ちゃんにもっと好きになってもらうのに必要だよー」
「戯けたことを。そのようなものに左右されていては、いくら兄上に好かれようとしても、失敗に繋がるのが落ちだぞ」
「でもでも、資料は多くあった方がよくない?」
「あればよいわけではなかろう?この季節に風邪を引いて、兄上に心配させる方がマイナスではないか?」
「それも一理ある...」
「今日も厚着したほうがよいと促されたのだろ?」
「うん」
「それこそ、ここで風邪をひいてみろ?呆れられるのは目に見えておるぞ」
「ううう、頑張ってるのに~」
「自分で頑張ってるって言うのと愚か者の所業だぞ」
「見も蓋もごさいません」
「それなら、明日から防寒具を用意するのだぞ」
「はーい」
うーん、大分言い過ぎたか?すごく落ち込んでいるな。
論破しすぎたな。
しかし、兄上が心配するのだから仕方なかろう。我がホローして
やらねば、奈々が暴走しかねん。
世話が焼ける...。
恋する女子は、体をはって、好きな人へアピールするのだ。
男冥利につきるけど、風邪はひかないでほしいよね。
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是非
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