らぶトモ 第23話 【言い返せないこと】
今回は少しシリアスです。
前回、実力テストでブービー賞を取ったお兄ちゃんに家庭教師をするということで,
うちにやってきた生徒会長 霧ヶ峰霞先輩。
いくら、お兄ちゃんに借りがあるからって・・・
いくら、実力テストが下の方だって・・・
お兄ちゃんの部屋で2人きりだなんて許せない!
ここは奈々の家でもあるんだから!!
先輩が万が一お兄ちゃんに変なことしないように私もお兄ちゃんの部屋にいようっと。
「それはいけません。
せっかくまじめに勉強をする兄を妹が邪魔をしては、家族の風上にもおけませんよ?」
「うぐ」
「ご理解していただけましたね?」
「はい・・・」
「では・・・」
パタンと静かにお兄ちゃんに部屋のドアを閉められたよ〜。
「ふにゅううう、悔しい〜」
先輩は目を閉じながら、机の前に座り、
「お座りなさい」
「すでに座っていますが・・・」
「口ごたえを?」
「い、いえ、座りました」
「よろしい・・・」
俺の勉強は、威圧感とともに始まった。最後まで体力は持つだろうか。
その頃奈々は、
時計の秒針の音がやけに耳に入ってくるよ〜。こんなに時計の音ってうるさかったけ?
「ふにゅうう、今お兄ちゃんたちは2人っきり〜!!なにしてるのか気になるよ〜。
お兄ちゃんかっこいいからすぐ誘惑されちゃうかも〜」
「かっこいい?大吾様がですか?」
「あ、エイジェント小百合さんも居たんだよね。
そうだよ〜。お兄ちゃん優しい、あのぎゅ〜ってやりたくなる表情が母性をくすぐるっていうか〜」
「あ、それわかります」
「うわ!わかっちゃうの?奈々だけかと思ってたのに」
「それよりも、奈々様はどうしてお兄様が他の女性と一緒にいることにそんなにも危険を感じるのですか?
失礼ですが、お兄様はお世辞にもかっこいいというより、女性にとっては、安全パイ・・・
すなわち、甲斐性なし・・・はたまた、オタク?それに」
エイジェント小百合さん妹の前でお兄ちゃんの悪口言うなんてひどいよ〜。
強く否定できないけど・・・。
「ああ、そんなに言わないでよ〜。確かにそういう雰囲気はあるけど、知ってますか?
天空寺澪さんだって認めたお兄ちゃんなんですよ?
かっこ悪いわけないじゃないですか?
それにみんなは知らないだけで、お兄ちゃんはやっぱりいつまでもかっこいいお兄ちゃんだもん」
「あの、一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「なんですか?」
「大吾様をそこまで思われているのは、家族だから?」
そ、そんなに睨まないでよ〜怖い〜。
「と、当然じゃないですか?なにかおかしいですか?」
「そのわりには、異常なまでの大吾様への執着・・・粘着質・・・ブラコンという生半可な言葉では
収まりきれていないと感じます。私にも兄がいるが、奈々様のように思った事は一度もありません。
確かに家族として大切な存在ではあるが、兄が嫁を取ったときも、嬉しさは感じたが、
それ以外の感情は湧いてこなかったです」
「そ、それは人それぞれじゃないですか?」
「奈々様はもしかして、兄妹という間柄以上に大吾様を?」
「え、あ、その・・・」
「なるほど、そういうことですか・・・しかし奈々様、実際日本では」
「わかってる!わかってるもん!!そんなこと言う小百合さん嫌いです!!もうあっちいってください!」
奈々すごくすごく寂しい気持ちになって、泣きそうだよ!
泣きべそなんか見せられないよ!
「奈々様・・・」
ソファーのクッションに顔を当てて、絶対顔を見られないようにしました。
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