らぶトモ 第22話 【訪問者】
いつも読んでくださってありがとうございます。
俺たちの学校には、順位公開のなんともひどい発表がある。
「サイドチェスト!サイドチェスト!!オリバー!!・・・と見せかけて、やっぱりオリバーポーズ!!!
というわけで、帰りのLHRでは、この前行った実力テストの結果を渡す!!
学年順位は、生徒会室横の掲示板に張り出されているから、確認しておけ!
中等部のやつらにも見られるから、覚悟を決めておけよ!?
それでは、愛のモストマスキュラーで終了だ〜!!」
相変わらず暑苦しいLHRをして帰っていく角田教諭。
普通に出来なのだろうか。
「大吾〜。君も見に行くか〜い?」
「はあ・・・気が重い」
ここ最近、いろんな事がありすぎて、全然勉強できなかったからな。
といっても、もともと勉強できる方じゃないけど・・・。
掲示板の前の生徒達がわいわい言いながら集まっている。やった〜順位あがった〜!とか、
あ〜あ、お前に負けた〜とか。順位が悪い奴からしたら拷問だ。
あ、あいつこの間最下位のやつだ、とか指差される。まあそうならないように勉強しろということなのだが。
「ふむふむ、ツエンティスリー。23位ね。ま、いつもの順位ね。さて〜、HEYだ〜〜〜い、ご?」
「はあああああああ」
「なんという、ダークなため息・・・いったい何位だったんですか?・・・・
太助の背後に神からの雷が落ちるかの如く衝撃が襲う。
「し、下から数えて2番目・・・・どゆこと?大吾こんなに頭悪かったっけ?」
「中間の下ぐらいの点数だったのに・・・なんでこんな時に、みんな平均点いいんだ〜〜〜?」
「そうだったのですね。それなりに点数いいのに、下から数えた方が早いなんて。アンビリーバブル!
個人の合計点数は前より上がってるのに、それ以上に周りが上がってるってことですか?なんていう不運」
「お兄ちゃんどうしたのそんな廊下の隅っこに膝ついて」
「おお、奈々ちゃん」
「あ、太助さんこんにちは〜」
「うう、、ううう」
「お、お兄ちゃん?泣いてるの?」
「いいかい奈々ちゃん。心をしっかり保ったまま順位を見てください」
「その言い方・・・まさか!?
ああああ〜!お兄ちゃんブービー賞だ〜!!」
「ああああああああ」
「あ、魂がぬけた」
「お兄ちゃんしっかり〜!!」
もう俺、立ち直れない。この学校ってそんなに頭いいやつ揃ってたっけ?
「さあ、生徒諸君どきたまえ!生徒会長がお通りになる!」
「ほら、さっさとどきなさいよ」
「あ、生徒会長だ」「霧ヶ峰先輩よ〜」「きゃ〜、霞せんぱ〜い」「まじ美人だよな〜」
「え?霧ヶ峰先輩?」
「太助さんこの人高等部の生徒会長さん?」
「YES! 彼女はまぎれも無く、生徒会長ね〜」
俺は、霧ヶ峰先輩に顔を向けた。周りの生徒たちは十戒の海見たく2つに別れて道を譲っていた。
「木村君、立ちなさい」
「は、はい!すぐ立ちます!今立ちます!」
おいあいつ生徒会長に話しかけられてるぞ。何もんだ?さっきブービー賞とか言われてなかった?
君たち聞こえる声で言わないでくれる?
俺の前で立ち止まった霧ヶ峰先輩が俺を見下す。
「あなた・・・」
「はい」
「無様ね」
「ふああああ」
「おおう!単刀直入なボディブロー!これは効いてますね!!」
俺はまたバタリと倒れた。
「お兄ちゃんになんてこと「NO〜!ことを大きくしてはいけませ〜ん」
奈々の言葉を口を押さえて遮る太助。ジタバタともがく奈々だが、同じくらいの背丈の太助を
振り払えないでいた。
「あなた、なんとかしたいと思っていますか?」
「はい・・・なんとかしたいです」
「わかりました。ではこれで」
聞くだけ聞いて、そのまま振り返り行ってしまった。
なんの質問なの?それ?
「ふう、よかったです。大吾が前向きな答えを言ってくれて。これで後ろ向きな答えだったら〜・・・
私の予想短編ストーリースタート〜!」
ここからは私のモノマネでお送りします。
霞「あなた、最低です!みなのもの!こやつはこの学校の恥です。鍛え直してあげなさい!!」
生徒会委員達「えいえいおおおお!」
大吾「うああああ助けて〜〜。こんな怪しげな大人の世界のロープの縛り方やめて恥ずかしすぎる〜」
「短編ストーリー終了!
とまあ、こんな感じだったでしょうね〜」
「もう太助さん!一言ぐらいあの生徒会長に言っても良かったんじゃないの?」
「怒る気持ちも分かるけど、大吾の立場を考えてあげてください〜。
生徒会長以外の周りの生徒まで、大吾を血祭りに上げようとしてしまうでしょ?わかる?
人気の生徒会長、ただの愚民生徒。味方につくのはどちらですかね?」
「うううでも〜〜」
「応援は、自宅でしてあげればOKね」
「は〜い・・・でも悔しいな〜」
奈々には情けない兄貴を見せちゃったし、霧ヶ峰先輩には軽蔑されるし・・・最悪だ・・・
というか自業自得か。
「お兄ちゃんが凄い落ち込んでる!こんなに落ち込んだお兄ちゃん初めて・・。いつもなら・・・」
【まあ、俺の成績なんてこんなもんだよ〜。中間くらいだしないつも。あははは】
「って、ノー天気に言ってるのに・・・。やっぱり生徒会長さんにまで
(物まね)無様ね・・・
っていわれちゃったからだよ〜。
奈々、今日はお兄ちゃんに元気になってもらうために頑張るよ!!」
その日の夜〜。
ーー木村家
「お兄ちゃん、はい出来たよ〜。奈々特製餃子〜」
奈々が俺を励ますために、手作り餃子を作ってくれるらしい。一体どんなものが出てくるのか・・・。
「いただきます・・・はむはむ」
「どお??」
「うふふふ、オ、イ、シ、イ、ヨ」
「ほんと?・・・はむはむ・・・うぐぐ・・・これ甘い・・・砂糖と塩間違えたよ・・・」
「ナナ、アリガトナ・・・オイシゾ・・・アハ、アハ」
「ごめんねお兄ちゃん!」
「奈々の優しさは伝わってるから気にするな」
「じゃあ次は」
ピンポーン
「あ、誰だろ?こんな時間に。はい、木村です。あ・・・あなたは・・・え?お邪魔したい?
わかりました・・・なにしに来たんだろ?
お兄ちゃん大変だよ!」
「え?」
奈々が出迎え、リビングに人が入ってきた。
「木村様、お邪魔いたします」
誰だ?知らないな。なんで奈々入れちゃったの?
「はじめまして木村大吾様、木村奈々様。
私は、霧ヶ峰霞様の側近で護衛をしております、エイジェント小百合と申します。
このたび伺ったのは」
「それは私からご説明しましょう」
エイジェント小百合さんという人の言葉を遮り、間に入ってきたのは、
「その声は」
「そうなの生徒会長がうちに来たのお兄ちゃん!」
黒の西洋風の衣装?それ私服なの?と質問したくなる格好で現れた霧ヶ峰先輩。
この人無表情だから感情がわかりづらいな。
それはさておき、黒服の人なり、エイジェントなり、うちの学校の生徒はそんなお金持ちばっかりいたかな?
太助も金持ちだし・・・。
「このソファーに座ればいいのかしら?」
「「はい、どうぞ」」
霧ヶ峰先輩の圧倒的雰囲気から、奈々と一緒に返事してしまった。
「木村君、あなたは実力テストでブービー賞を取りましたね?」
「はい」
「あなたは、成績向上を望んでいますね?」
「さほど・・・」
「望んでいますね」
「はい・・・」
お兄ちゃんが、蛇に睨まれたカエル状態だよ〜・・奈々も口出しできない威圧感があるよ〜。
なんなのこの人。澪先輩と全然違う・・・。
「あなたは、私の仕事の手伝いをしましたね?」
「はい」
この間ノート取りに行った時会って、霧ヶ峰先輩を助けて手伝ってあげたことを奈々に説明した。
それから、先輩が話を続けた。
「よって私はあなたに借りがあります。ですので、明日から家庭教師をさせていただきます」
「ええ?いきなりなにを言ってるんですか?」
その時俺にエイジェント小百合さんが耳打ちして来た。
「大吾様、あなたは霞様の二つの胸の膨らみをもみしだきましたよね?
ここでそれを奈々様に公言してよろしいんですか?」
「ちょっと、もみしだくなんてしてません!だけど、奈々の前で言わないで!」
「ではわかりますよね?」
「奈々ごめん。俺成績上げたいから霧ヶ峰先輩に家庭教師してもらうことにしたよ」
「ええ?なんで?どういうこと?また弱み握られてるんでしょ?」
あはははははと乾いた笑いしか返せなかった。
それを見た奈々が、「またなの?」と一言。
奈々・・・すまん、こんなお兄ちゃんで、ほんとすまん!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いったいどういうこと?いきなり来てお兄ちゃんの家庭教師を無理強いして!
いくら生徒会長だからって、やっていいことと悪いことがあると思う!
お兄ちゃんが弱みを握られてるのはわかるけど、教えてくれないし。
もう!奈々に心配ばっかりかけて!
どんな時でもお兄ちゃんの味方だけど、あの先輩なにが目的なのかさっぱりわからないよ〜。
借りがある。って学校で言ってたけどお兄ちゃんがあの人を助けたってのはわかるけど・・・。
それにエイジェント小百合さんがなにか耳打ちしたらあっさり受け入れたし、
奈々に言えない何かがあるはず!
澪先輩に続き、この学校には無茶を押し通す人が多過ぎだよ〜!
いかがでしたでしょうか?
よろしければ、ブクマ、評価のほどよろしくお願いします。