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〜らぶ トモ〜 LOVE TOMORROW  作者: にのみやみのに
学園生活編
17/139

らぶトモ 第15話 【スパルタ 特訓】

奈々がお料理がんばります。


私も・・・頑張る・・・苦手です

「このアホ! 何度言ったらわかるのだ。玉ねぎはみじん切りだ。そして前へスライドさせて切るのだ!

 上から下へ押したら、玉ねぎは丸いのだから、どっかに飛んでくに決まっておろうが!」

「ふえええ〜!ごめんなさい〜」


 お兄ちゃんがクラスメイトの太助さんと遊びに行ってる間に、奈々は泉水ちゃんの家に来てます。

 何をしてるのかというと、お聞きの通り、料理の練習です。

 今回の泉水ちゃんが考えてくれたお兄ちゃんに1人の女性として意識してもらうための計画は、

 奈々が手料理を覚えて、お兄ちゃんの胃袋から気持ちを掴み取ろうってことみたいです。

 確かに私がお料理できるようになると、お兄ちゃんの負担も減るし、お互いにお料理の出し合いっこして

 今より仲良しになれると思うんだけど・・・。


「ふいいいい〜。お料理難しいよ〜」

「はああ。ため息がたっぷり出てしまうぞ。何なのだろうな。大抵のことは数回で熟す奈々が、料理がこれほど

 身につかんとはな」

「奈々自身も、自分にはてなマーク出まくりだよ〜」

「しかしこれまでも、料理にはトライをして来たのだろ?」

「うん、おかし作りとか」

「まあ王道の入り口だな。どうせバレンタインのチョコあたりであろう?」

「そう。よくわかったね」

「あんなもの、チョコブロック買って湯煎で溶かして型に流し込むだけではないか。どこに困難な作業が

 あるのだ?」

「うう・・・。それはお料理できる人の意見だよ〜。奈々にはすごく、【湯煎で溶かす】作業が難しいの」

「そうか?一体どうのように溶かしておるのだ?」

「大きなお鍋にお湯を沸かして、そのお湯に耐熱ボールを浮かせて、チョコをボールに入れる」

「それでどこが失敗するのだ?」

「なんか、どんどん焦げてくるの?」

「なに?焦げるだと?今の話だと、ガスコンロであれ、電気調理器であれ、焦げないだろ?」

「じーっと見てると焦げるよ」


 スパ〜ン!!


「痛い〜〜!!」

「あ、すまん。つい」

「何そのハリセン。どこから出したの?」

「護身用だ」

「本当に?それ私に使うつもりで用意してたんじゃないの?」

「だから護身用だ。奈々の何気ないボケ発言の被害に合わないようにな」

「奈々用じゃない〜!泉水ちゃんひどい〜〜」

「まあそれは置いといて」

「置かれちゃうんだ・・・」

「じっと見てたら焦げるに決まっとるだろ!かき混ぜんかい!」

「あ、そっか」

「わかってなかったのか・・・。重症すぎる」

「だってね、あのチョコがふつふつしてくるじゃない。あれが見てると楽しいの」

「ほほお?それがいいわけかね?」

「いつも以上のジト目・・・怖い・・・」

「まあ今日はハンバーグだから、とにかく正しく作れるよう、努力することだ。今回の計画は、

 できなかったものを克服することで、妹の成長を兄上に感じ取ってもらうのが目的だ。

 しかも料理が苦手な奈々が自分のためにハンバーグを作るのだ。感動しないわけがない」

「うん!話を聞いてすっごくやり甲斐ある計画だと思うよ。でも・・・お料理のハードルが高すぎる〜」

「弱音を吐いても構わんが、手だけは動かせよ。こういうのは、根気よく何度もやることが大事なのだ」

「ふにゅううううう。泉水ちゃんスパルタだ」

「奈々。想像してみるがいい。兄上が奈々の手作りハンバーグを見たときのことを」

「お兄ちゃんが・・・奈々のハンバーグを食べるところか〜・・・」


ーーポワンポワンと私の頭の中に白い煙が出てきて、お兄ちゃんと私がリビングにいるところか・・・ーー


「お、お兄ちゃん、はい!これ食べて!」

「これ・・・奈々お前が作ったのか?」

「う、うん・・・、お兄ちゃんに食べてもらいたくって頑張ったよ」

「奈々・・・素敵なプレゼントありがとう。お前は本当にできのいい妹だな。奈々お前を俺の嫁にしたい」

「お、お兄ちゃん・・・心の準備が・・・」

「もう我慢できない」

「お兄ちゃん・・・」


 解説:皆さんはすでにお解りだろう。奈々の頭の中の大吾のイメージを。

    奈々の妄想の大吾は、大好きフィルターが何重にもかかっているのだ。

    その容姿は美しく、声もいつも以上にセクシーなのだ。

    奈々の脳内補正により、チートスキルも取得している大吾が登場するのだ。

    恋する乙女のテンプレートはいつの時代も変わらないのだ。


 スパ〜ン!!


「あ痛た〜。脳細胞がなくなっちゃうよ〜」

「いつまで自分の世界で兄上とイチャイチャしているつもりだ?ほれ!早く玉ねぎをみじん切りにするのだ」

「うん頑張るよ」


 こんなやりとり何回も繰り返して、やっと出来たのがあのハンバーグってことなの。

 お兄ちゃんは思ってた以上に喜んでくれて、その顔見たら安心したし、

 指の絆創膏のことも気づいてくれて、私のこといつも見てくれてるって、側にいてもいいんだって

 思わせてくれて嬉しい。

 

 ハンバーグも残さず食べてくれて、頭も撫でてくれて・・・もう死んじゃうくらい嬉しいよ。

 でも・・・。


「うう〜〜ん、泉水ちゃんごめんなさ〜い」

「痛いよ〜!ちゃんとお肉こねこねするから許して〜」


 夢の中で、もう一回泉水ちゃんのハリセンチョップを受けてしまいました。


【そこの君、この私、山縣泉水のハリセンチョップ・・・受けて見ないか?ふふふふふ・・・】 









読んでくださってありがとうございます。


よければ、ブクマ、評価よろしくお願いいたします。

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