らぶトモ 第10話 【大胆です、ドキドキします】
本日2回目の投稿です。
結局奈々は、何も言わないまま、食事を終えてしまった。
「はい、ごちそうさま」
「ごちそうさま〜・・・」
ふにゅう、結局あ〜んできなっかった・・・。でも、まだここで終わらないよ。
「さてこの後どうする?ねこねこちゃんと、もう少し遊ぶか?」
「だいたい周ったし、今日ね、もう一ついきたいところがあるの、いいかな?」
「構わないぞ、どこだ?」
奈々が次ぎにいきたがったのは、俺たちが住む県の県庁。古くなった県庁をリニューアルし、
地上65階の屋上には、レストランや展望台が新設され、観光名所の一つになっているところだ。
「ここからの眺め最高だよお兄ちゃん、うわ!双眼鏡で見るとすっごく近いよ〜」
「100円の双眼鏡って子供とき以来だな。県庁ってこんなに大きかったんだな」
「昔見たTVヒーローの助っ人に県庁出てきたね」
「なんだっけそれ?」
「1度やっつけたはずの怪獣が、悪の幹部の呪文で大きくなってしまったから、ヒーローが県庁をロボット化して、
やっつけるの」
「昔の県庁はそんなことさせられてのか」
「そ!
怪獣が現れたら、がしょんがしょんって、変形して、
頭とか腕とか、どうやってビルが変形したんだ〜!みたいな感じ」
「今考えるとすごい設定だな」
「面白いよね〜」
俺たちは、昔話をして県庁を楽しんでいた。
一方で、
「お姉さん、この県庁記念のチョウチンおくれ〜」
「は、は〜いただいま〜500円になります〜・・・ありがとうございました〜」
ちっ!こうもお客が来ると、監視に差し障りがあるな。
奈々のやつめ、完全にここに来た目的を忘れて普通に兄上と思い出話に花を咲かせておる。
私がこうやって見張っていないと、ただの兄妹散歩になってしまうぞ。奈々め、忘れておらんだろうな。
そろそろ夕日が落ちることだ。あの目的を達成するのだ!
「お姉さん、このジグソウパズルおくれ〜」
「は、は〜いただいま〜」
「あ、時間そろそろだ・・ねえお兄ちゃん。ちょっとつき合って」
「ん?どこいくんだ?」
「このフロアにね、素敵なレストランができたの。行ってみようよ」
「はいよ。どこでも付き合うぞ」
「うん」
泉水ちゃん、ついにこのときが来たよ。奈々頑張るよ!
「いらっしゃいませ〜。当店ではお客様に素敵なドリームをお持ち帰りしていただくために、
エブリデイ営業しております〜」
「あの今日予約してる木村ですけど」
「YE〜〜S。承っておりますですよ〜。ボーイ&ガール〜こちらで〜す」
「有り難うございます。お兄ちゃんこっち来て〜」
「おう・・・うわ〜すごいな〜」
そこは、街を一望できるすばらしい夜景が広がっていた。
少し曲線を描いている室内は、ゆったりと座れるソファーを設置していて、
テーブル席、カウンター席との間隔を広く取っていて余裕のある作りになっていた。
照明もルネッサンス時代を思わせる豪華なシャンデリアや間接照明などもあって、高級感が出ている
しかし、お客に緊張させないように、所々に柔らかな色調の花を飾ってある。
めっちゃ高そうだ。
「お兄ちゃん、ここに座って」
「これペアシートじゃないか」
「奈々ね、今日のために予約したの」
「そうなのか?ここすごく高いんじゃなかったか?」
「大丈夫だよ、心配しないで」
「そっか。ありがとうな」
心配しないでと言われても、こういうとこに来るの初めてだし、しかもペアシートだし、
奈々は顔真っ赤だし、店員は変な言葉喋るし、落ち着かないぞ。
「エキスキューズしま〜す。ご注文のお菓子をどうぞ」
「ありがとうございます」
「あの、貴方さっき昼間に会ってませんか?」
「いいえ〜、本日がはじめてで〜す」
「そうですか?その話し方聞き覚えがあるんですけど」
お兄ちゃん、これとっても美味しいよ、えへへへ」
まあ奈々が喜んでるならいいか。
「それでは、あでゅー」
「俺もいただくか・・・(ごくん)うまいなこれ」
「うん・・・そうだね」
ん?急にどうしたんだ?
もじもじしてる・・・。
「奈々、トイレ行きたいのか?」
「え?違うよ!失礼だよ!」
「ご、ごめん」
昼間は自分から【おトイレ行きたい宣言】してたのに。
「お、お兄ちゃん今日はどうだった?楽しかった?」
「ああ、すごく楽しかったぞ。久しぶりに奈々と外で遊んだしな。まあ昔の遊び方と全然変わったけどな」
「そうだね・・・奈々今日は本当に楽しかった」
どきりとした。奈々がこちらに顔を向け、笑顔を見せる。
照明の暗さがそうさせるのか、奈々がとても色っぽく見える。
濡れたくちびる、細い首、鎖骨の見える服だから、目のやり場に困る。
本当に目の前にいるのは、妹なのか・・・。
俺は妹に、ドキドキしている・・・。
兄としてこれはまずいと思う・・・。
でも目をそらすことができない・・・。
今の奈々をずっと見ていたい・・・そんな気持ちが溢れてきていた。
もうどうしていいかわからなくしていると、
「お兄ちゃん、奈々ね。お兄ちゃんにプレゼントがあるの」
「え?プレゼント?何かの記念日だったけ?」
ら、ラッキーだ。奈々から話しかけてくれた。
俺こういうシチュエーションの経験値0だよ。
「お兄ちゃんはいつも奈々のこといっぱい考えてくれてるよね?」
「ああ」
「お兄ちゃんはいつも奈々のこと大事にしてくれてるよね?」
「当たり前だぞ」
「お兄ちゃんはいつも奈々のこと守ってきてくれたよね?」
「同然だな」
ん?なんか同じような内容を繰り返し質問されてるな。
そんなことを思っていると、奈々が大きく深呼吸をして、
「今日はそんな優しいお兄ちゃんに、奈々から、お礼です」
「は、はい」
「手を出してください」
「は、い」
奈々はそっと俺の手に触れた。
とても柔らかい奈々の指。
奈々の温かさが伝わって来る。
すごく緊張する。ドキドキする〜〜!!
「目、目を瞑ってください」
「はい」
うわ〜な、なになになに〜?
なにすんの?目の前真っ暗になると、すごくどうしようもなくなるんだけど〜〜!!
「こ、これは誰にも言っちゃダメ!これからの事は秘密ね」
「わかった・・・」
こ、これって、この流れって、よくある恋愛話の・・・や〜つ??
ふわり
ん?今手の甲に何か触れたような・・・。
「はい!おしまい!奈々のプレゼントでした」
「え?今のプレゼント?手の甲に柔っこい「ああ〜!言わないの〜!!」
言葉を被せられた。
「お兄ちゃんの心の中に留めておくだけでいいの!」
「奈々?」
「もう!恥ずかしかったんだから、もう聞かないでよ!お兄ちゃんのエッチ!!」
「え、えっち?」
一体どこがえっちだったのか全くもってわからないけど、今の俺はえっちということになるのか?
「じゃあ、じゃあ、今日はこれでおしまい!お家に帰ろうよ」
「そ、そうだな」
俺たちはゆっくり歩き出し、店を後にした。
その時、どちらともなく、自然と肩を寄せ合って、
子供の頃、公園から家に帰る時みたいに、ごく自然に、当たり前に、優し手を握りながら。
「まあ奈々の割にはよくやったと言っていいだろうな」
「そうですね〜。うまく行ったのではないですね」
「本来いならは、奈々たちの両隣には、同じようにペアシートがあるのだが、
そのシートも同時に予約して人が来ないようにしたからな」
「なんとそんなことまでしていたのですね〜。グッジョブ!と言っておきましょう。
しかし、MEも他の店員が2人のところへGOしないように、根回しは怠りませんでしたよ〜」
「貴様は従業員として潜入しておったのだから、そのくらいして当然だ。
だが、2人を案内した時もやはりバレそうであったな。貴様は他のやり方は思いつかなかったのか?」
「ボーイ&ガールを見守るには、彼らのそばにいた方が一番良かったのですよ」
「ま今回のサポートは」
「お互いに引き分けですかね〜」
「よかろう。次はこうはいかんぞ」
「もちろんで〜す」
ふふふと、お互いに微笑み合い、ある意味友情のようなものが芽生えているかもしれない。
「おいそこの2人!なにサボってる!!」
「「は、はい〜〜〜」」
2人の夜はふけていく・・・。
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