らぶトモ 第9話 【恥ずかしいものは恥ずかしいよね】
今の時代でも、こういうのは行われているのでしょうか。
というか、行われててほしい・・・。
人混みを回避して、あの変な販売員のおかげでサクッと買い物ができた。
あ・・・奈々・・・。遠くから見ても、今日の奈々は本当に綺麗だし可愛い。
少し大人っぽくなってきたというのはいいことだ。
でもなんだろう。なんとも言葉にできない気持ちが湧いてきていた。
「奈々お待たせ。だいぶ待たせてごめんな」
「気にしないでお兄ちゃん。そんなに待った感じしてないから。わ〜すごいいっぱ〜い」
「なんかリーズナブルな売店があったんだ」
「そっか〜。さすがお兄ちゃんはツイテルね。見て見てこれすごく美味しそうだよ」
「冷めないうちに早速食べよう」
「いっただきま〜す」
奈々も待たされたこと怒ってないみたいだ。一安心。食事が暗い雰囲気になるのは嫌だものな。
「うん、なかなかいけるな」
「ねえお兄ちゃん、たこ焼き美味しいよ」
「お、じゃあ一つもらおうかな」
「あ、お兄ちゃん待って!・・・あ、あの」
「ん?なんだ?」
「あの、その」
「ん?・・・何もないなら食べるぞ、あむ」
「ああ〜〜」
え?あ、奈々これが食べたかったのか?食べるように誘って、食べたらがっかり?どういうことだ?
「あ、そうだお兄ちゃん!フランクフルトも美味しいよ」
「そうか〜。じゃあ一本」
「あああああああ!」
「ん?どうした?」
「あのその、うううう」
奈々さっきからなにがしたいんだろ?ものすごくこっちを睨んでるし。やっぱり怒ってるんだろうか。
あのその・・・って言ってるけど、なにか言いたいことでもあるんだろうか。耳まで真っ赤になってるし。
ふにゅうう。お兄ちゃんにしてあげたいこと全然出来ないよ〜。ただ、あ〜んてしてあげるだけなのに〜!
そんな俺らのやり取りを監視している二人がいた。
「まったくなにをやっておるのだ?【あ〜ん】ごときで緊張していてどうする?
びしっと相手に突き出してやればいいだけの話ではないか」
「お〜う、なんて鈍感なんだ大吾〜!奈々ちゃんは、今まさに君にあ〜んをしてあげたいと、
必死に恥ずかしさを堪えてるっていうのに」
「全くこの二人、歯がゆすぎる!」
二人共見事にハモった瞬間だった。
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