らぶトモ 第8話 【追跡 2人目の監視者】
だんだんドタバタな感じになってきました。
泉水ちゃん考案の、お兄ちゃんに奈々を1人の女性として意識してもらう作戦で、
ねこねこピュアランドに遊びにくることにしたの。
はじめは出入り口で待ち合わせ。
普段見せたことがない自分をお兄ちゃんに見せたくて、初めてお化粧して、
おろしたてのかわいい服着て。そしたらお兄ちゃん、かわいいっていってくれて、
奈々、これまで褒めてくれた中で一番嬉しかった。この調子なら最後までうまくいくよね。
ー場内ー
「わ〜い、ねこねこピュアランドだ〜!あ〜、ねこねこちゃんのお友達の【たつさん】だ〜かわいい〜!」
「たつさんって・・・龍じゃないか・・・この顔でかわいい?世の中何が人気出るか分からんな・・・」
「あ〜!」
「え?なんだ?」
「お兄ちゃん見てみて、フォックスドックの「ゴン・ザレス」だよ〜。黄色いふわふわの毛並み〜気持ちいい〜」
「奈々その辺にしてやれよ。ゴンザレスが首絞められてる状態で完全にぐったりしてるぞ」
「え?あ、ごめんなさい。強く抱きつきすぎちゃった」
【たつ】と【ゴン・ザレス】この二匹?は、ねこねこちゃんに次ぐ人気キャラクターで、子供達に大人気だ。
何か特別な思い入れでもあるのか、その肌触りのいい毛並み。中の人が動きやすくなるように気配りをしている
ような関節の造り。職人の魂がこもっている。だが、この場でそんなことは言わない。
野暮な行為や言動はご法度だ。マナーを守ってこその夢の国なのだ。
「ああ!」
「今度はなんだ?」
「新キャラクターの、がのがのとっとすだ〜。青いきれいな色〜。一見たぬきに見えるけど本当は、
レッサーパンダなんだよ〜」
「どう見てもたぬきにしか見えないが・・・」
「ふあああ!」
「どうした?」
「ちょっとおトイレ〜。お兄ちゃんそのベンチで待ってて〜」
「わかったよ」
ごにょごにょ小さい声でおトイレ宣言。ちょっと笑える。
はじめは奈々が別人に見えて緊張したけど、中身はやっぱり奈々だから、なんか安心した。
奈々があれだけはしゃいで喜んでるの久しぶりだし、俺も一緒に楽しもう。
ートイレの中ー
「ふんふんふん、ねこねこちゃん。みんなの心にねこねこパンチ♪」
「ずいぶんとお楽しみのようだな」
「はひ!? なんだ泉水ちゃんか・・・びっくりした〜急に話かけないでよ〜」
「急ではない。ずっと話をする合図を出しておったのだが、奈々が一向に気づかんからこちらから出向いたのだ。
これは大きなリスクを伴うのだぞ。兄上に見つかったらすべて水の泡だからな」
「ねえいづみちゃん」
「なんだ?話はすぐ終わるぞ」
「その前に、ほんとに一大事だからトイレいかせて」
「仕方ないな。話はトイレが済んだその後だ」
「了解しました〜!急げ〜」
「奈々遅いな」
やはりたくさん人の集まる場所は、女子はたいへんだと思う。
「お兄ちゃんお待たせ、混んでよ〜」
「こういうとこは仕方いよな。じゃあこれからどうするかな?」
「奈々お腹空いた〜」
「じゃあ、昼飯にしようか」
「うん」
泉水ちゃんから、デート中の恋人同士がやるメニューを教えてもらったの。
「よいか?恋人同士を演出するのだ。これからお昼だが、やはり恋人同士と言えばこれしかあるまい」
俺たちは、食事エリアと書かれたアーチをくぐって、どんな食べ物があるか見てまわった。
「いらっしゃいませ〜。ホットドック揚げたてですよ〜」
「ねこねこピュアランド名物、ねこっこランチいかがですか?」
「奈々、ここでいいか?丁度席2つ空いてるぞ」
「うんいいよ〜。ふう、やっと座れたね〜」
「何食べたい?いくつか見てまわったけどさ」
「奈々は、アメリカンドックとフランクフルトとたこやき〜」
「了解しました。じゃあちょっと待ってろよ」
「うん」
やっぱり昼時はどこも席が空いてなかったな。20分くらい食事エリアをうろついてしまった。
なんとか奈々を休ませることができてよかったけど、
「やきそば5個にコーラ5本ね」「ねえさっき頼んだたこ焼き3人分まだ?」「こっちのフランクフルトまだかよ?」
「うわ、すっごい混んでる。これじゃいつ買えるかわからないぞ。奈々も待ってるし、他にないのかな?」
「HEYそこの迷えるお兄さ〜ん、お困り?」
「え?だ、誰?」
「MEは、迷えるお客さんに舞い降りた、売店の天使。特別に速攻で買えるようにしますよ〜。しかも〜・・・
お値段もリーズナブル、如何ですか?」
「そうなの?じゃあお願いしようかな。あ、あの一つ聞いてもいいですか?」
「はい?」
「店員さん、どっかで会ったことありませんか?」
「NO、NO、NO、NO、いいえ〜、はじめてで〜すよ〜」
「その話し方にすごく似てるクラスメイトがいるんです」
「おう、世界には3人の似てる自分がいるっていいますからね、は〜い、到着で〜す」
本当にすっごく似てるんだよな、太助に。あんな変やつ世界に3人もいたらそれはそれで、仰天世界のニュースだ。
「連れてきてもらってありがとうございます。本当に人少ないですね。っていうか、俺しかいない」
「では、ご希望のはい、これとこれとこれ!」
「え?あの、こんなに頼んでないですよ。しかも、よくフランクフルトとアメリカンドックとたこやきって、
わかりましたね。それに焼きぞば、チュロス、カレーライスまで」
「YESYES。私のような何年も販売員をやっていると、お客さまが求めているのが、手に取るようにわかりま〜す。
まあ細かいことはnothing、お好み焼きとやきとり10本はサービスで〜す」
「ほほお〜、これはいい店を見つけた。私にも売ってくれないかね。
あ、そこの青年。そんなに買って誰か待たせておるのかね?」
「そうだった、奈々怒ってるかも。はい、お代。お兄さんありがとうございます。俺もう行きますね」
「BOY!サンキューベリーマッチー」
「・・・・」「・・・・」
「行ったか」
「ふ〜、危なかったですね〜。大吾は変なところで冴えてるところがありますからね〜。そこが魅力だけど〜」
「おい貴様!あの二人の邪魔をするなと言ったはずだが!?」
「NO!MEは、むしろ助けようとしてるですよ〜」
「どう見ても邪魔してるうようにしか見えんが?今もバレそうだったではないか」
「ですが、あの混みようで食べ物買おうものなら、随分と奈々ちゃんを待たせてしまって、イメージ悪いランチに
なってしまったとは、思いませんか?アンダスタ〜ン?」
「そうかも知れんが、そんなことで奈々が兄上の印象を悪くするとは思えんがな」
「そうかも知れませんが、山縣泉水さんの計画には、落ち度がある」
「なんだと?何を根拠にそのようなデタラメを」
「クエスチョン!あなた奈々ちゃんの為って言ってましたね。でもこれは、大吾の為でもあるのではないですか?」
「!!」
「お判り頂けましたか?大吾をサポートして、よりカッコイイお兄ちゃんにしてあげることも、自然と奈々ちゃんの
為ではありませんか? あっは〜ン?」
「まあ、貴様の言うことも一理あるか・・・」
「ふふん、その素直に相手の意見を理解し受け入れる頭の良さ。さすがは山縣家と言ったところでしょうかね」
「ふん!貴様に褒められても何も嬉しくはないぞ。だが、貴様が、兄上のことを考えての行動ということはわかった」
「では〜。ここは一時休戦して、2人のサポートに徹して協力する。いかが?」
「仕方あるまい、奈々のためだ。その誘い乗ろうではないか、我が山縣家の宿敵、平等院太助」
2人は、固い握手を交わしたのだった。
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