ファンクラブ特典で、釣り上げました
読みに来て下さって、ありがとうございます。
ヒロインのミンティアは、大人しく虐められている玉じゃありません。
前回のあらすじ
『平民の癖に私の隣の席なんて、生意気よ』と、高位貴族令嬢に難癖附けられたミンティア。聖女のお付きの神官見習いアスカレオが立ち上がるも、冷笑する令息達や令嬢達の壁は厚く鬱陶しい。
ジョルジオ殿下の側近候補2人も応援に駆け付けたが、ミンティアを虐める気満々の令嬢は上から目線で1歩も引かなかった。
ペペンペンペン。
そこへ駆け付けた私が見たものは……。
「そ、それは何でしょう」
それまで無関心で、ミンティア達のすぐ側の自分の席に座っていた眼鏡を掛けた可愛らしい令息が、皆の間に割って入った。
「こちらは、こう言ったモノでございます」
ミンティアは、私の名前入りの推しうちわをササッと掲げた。しかも、『LOVE』とか『こっち向いて』とかハートマークまで書いてある。
プラスチックはないので、紙製品なのは、致し方ないけれど、レース等も飾りで付けていて中々の力作であるのは、認めよう。
皆の目が推しうちわに釘付けになった隙に、何処かで見たような眼鏡令息がミンティアの前に躍り出た。
あれ?眼鏡、眼鏡……。
「申し遅れました。僕は、ルイゼン・バッファリと申します」
ルイゼン・バッファリ子爵令息。お金持ちのバッファリ商会の跡取り息子で、攻略対象者の1人じゃない。ここで関わってくる訳ね。
あー、ヤバい。タイミングを逃して、団扇を取り上げれなくなってしまったわ。
そこで、何故、私の名前入りうちわを作るかな。自分の推しの団扇を作れば良いのに。まあ、今日はグレイザー様は行き帰りのみしか同行されてませんけどね。
「こちらの推しうちわは、聖女様ファンクラブの特典でして、会員にのみ販売されております。因みに私は会員No.1でございます」
おい、ミンティアさん。何故、私と同じく聖女の貴女が、聖女様ファンクラブとやらに入っているのか謎なんですが。
「え!?貴女も聖女なのでは」
「聖女ですが、先輩聖女のマルガレーテ様をお慕いしていますので」
眼鏡令息ルイゼン様の前でうちわの陰に隠れてはにかみながらミンティアが答える。
「そ、そうなのね」
何故か最初に突っ掛かってきた高位貴族令嬢が慌て出す。
いや、貴女が慕っているのは私自身じゃなくて、私の作る前世の料理でしょうが。
「私など聖女と申しましても、天上の女神の如く気高く美しく優雅で賢くお優しいマルガレーテ様に比べましたら、所詮は太鼓持ち」
「太鼓持ち?何の事ですの?」
太鼓持ちって言ったわね。それ、全部ヨイショのお世辞って事よね。本人の前で、よくもいけしゃあしゃあと言ってくれるわ。
高位貴族令嬢が何の事か判らず聞き返したが、ミンティアは無視して話を続けた。
「因みに、こちらの団扇、カスタマイズが可能でして。宝石等をお付けする事も可能です。
但し、別途料金を頂きまして、そちらの料金は」
「料金は?」
「一部を孤児院への寄附として頂き、毎月のファンクラブの会報へ、お名前と寄附金額、カスタマイズされた団扇のデザイン画を掲載させて頂きます」
「そんな、高々、会報に載せた所で、誰が見ると言うのよ」
高位貴族令嬢は、訝しげな顔をしてミンティアを睨む。
「先ずは、私だな」
悠々とドアから登場したのは、ジョルジオ殿下。そして、その手には団扇が握られていた。
ピンクの宝石でキラッキラ、中央にはレースやら青いリボンで飾られた私の似顔絵……。ちょっと美化しすぎかも。
そして、『我が最愛』の文字。
ちょっとやり過ぎじゃないでしょうか?
「ああ、マルガレーテ。照れている顔も、可愛いな。愛らしい顔が赤くなっているぞ」
照れているんじゃなくて、恥ずかしいんですけど!?
「マルガレーテの瞳の色のピンクの宝石と、私の瞳の青いリボンで飾ってみた。因みに、私は会員No.0番だ」
「残念ながら、私は会員No.2番です。実の兄なのに」
ササッとジョルジオ殿下の隣にお兄様が、同じく推しうちわを持って並んだ。
こちらも、私の似顔絵にピンクとお兄様の瞳の色の濃いピンクの宝石を散らし、蜂蜜色のリボンで飾ってある。
文字は『我が半身』。
いや、確かに、双子なんだから半身なんですけど~。ちょっと違う気がする。
2人共、これをどうするのか。いつ、使うのか。ちょっと怖い。
「会員には、既に、私の母上も孤児院への寄附と共に手を上げている。他には、宰相、大神官、枢機卿が名乗りを上げているな」
止めて~!!私の似顔絵入り団扇だの名前入り団扇だのを、氾濫させないでちょうだい。聖女の顔使って、商売してるんじゃないわよ。
「詳しくは、我が修道院まで。よろしくお願いします」
ミンティアはニッコリ笑って、呆気に取られているクラスの皆さんに団扇を大きく振って見せた。クラスメイトの中には、真剣な顔をして悩み出す者や、周りの者の反応を観察する者もいる。
ミンティアを意地の悪い顔で見ていた令息達や令嬢達もご同様。
「あー、お取り込み中申し訳ないが、席に着いてくれ。皆も知っての通り、『成績順』にな」
クラス担任であろう先生が、何処かで事の起こりから聞いていたのか、『成績順』と言う言葉を強調して、皆に言った。
「ミンティア~よくもやってくれたわね」
「大修道女様から、キチンと許可は頂いております。キッパリ!」
「自分の名前と顔で、やりなさいよー。きぃーっ!」
「公爵令嬢の方が、お金を集めやすいのよ。派手な顔立ちだし」
「大体、推しうちわなんて、いつ使うわけ」
「体育とか、魔術の授業の応援とか、後、女神様のお祭りで聖女が壇上に上がった時?」
「どれも、嫌~っ( ;∀;)」
さあ、取り敢えず。学園生活始めよっか。
ほれ、座れ (゜o゜)\(-_-)




