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Huma Gear  作者: 近藤世界
『官房長官編』ーー終幕ーー

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21/39

6日間で世界は変わる

21話です。

遅れて申し訳ない。

「お前らがいない6日間でな……世界は静かにひっくり返った」

権蔵さんは、いつものように腕を組みながら言った。

だが、その目は笑っていない。


「まず、“穴”が公表された」

私とマギアは顔を見合わせる。

「公表……?」


その時だった。

工房の奥に置かれたテレビから、落ち着いたアナウンサーの声が流れる。


《一昨日、政府は未確認空間現象、通称“穴”の存在を正式に発表しました》


画面には、見慣れた街にぽっかりと開いた非日常が映し出されている。


《また、もう一つのヒューマ世界の存在も確認されており、現在、情報の精査を進めています》

映像が切り替わる。


そこには官房長官が映っていた。

落ち着いた声でゆっくり語りかけるように。


「未知を恐れる必要はありません。必要なのは、正しい理解と、適切な“管理”です」


――管理。


その言葉が、やけに重い。

権蔵さんがリモコンを静かに置いた。


「発表の翌日からだ。社会の空気が変わった」


――店の外のざわめき。

「お前、ヒューマじゃないだろうな?」 「自衛のためだ、仕方ない」 「ヒューマが犯罪を起こしたってニュースでやってたぞ」

ヒューマ疑惑。

通報。

監視。

買い占め。

疑い。


「たった数日で、目に見えない壁ができた」


テレビの映像が変わる。


《そして、本日、“ヒューマ管理法案”が緊急可決されました》


「ヒューマ能力の登録義務化、無登録能力行使の禁止、特定区域への立ち入り制限――」

官房長官は続ける。

「これは差別ではありません。社会の秩序を守るための措置です」


秩序。


皆の安寧と安心を得るためには必要なもの。


なんて正しい言葉だ。


間違っていない。


なのに、息が詰まる。

私は自分の腕を見る。

雷撃痕。

服で隠せる。

でも、消えない。

マギアの足も、焼けたままだ。


6日間。


たった6日。

“穴”に落ちて、知らない世界を知って、炎帝を倒して、帰ってきた、だけなのに。


世界は、もう別物だった。


「……ま、そういうわけだ」

権蔵さんの声が、少しだけいつもの調子に戻る。


「お前らがいない間に、世界は決まっちまった」


決まった。

私たち抜きで。

沈黙が落ちる。

マギアが拳を握る。

私は、立っていることしかできない。

テレビの音だけが、静かに流れる。


《新時代に向けて、我々は前に進みます》


前に。

進む。

権蔵さんが、ふっと息を吐いた。


「とにかく……」

目が、ほんの少し柔らぐ。


「おかえり」


その一言で、胸の奥がようやく緩んだ。

6日間で世界は変わった。

でも。

私たちは、まだここにいる。

この世界に存在している。

自分が納得する形にたどり着くまで時間がかかってしまいました。

文章量も少なめですが、情報は詰め込めたつもりです。

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