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Huma Gear  作者: 近藤セカイ
『官房長官編』ーー終幕ーー

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21/46

『6日間で世界は変わる』

21話です。

遅れて申し訳ない。

「お前らがいない6日間でな……世界は静かにひっくり返った」

権蔵さんは、いつものように腕を組みながら言った。

だが、その目は笑っていない。


「まず、“穴”が公表された」

私とマギアは顔を見合わせる。

「公表……?」


その時だった。

工房の奥に置かれたテレビから、落ち着いたアナウンサーの声が流れる。


《一昨日、政府は未確認空間現象、通称“穴”の存在を正式に発表しました》


画面には、見慣れた街にぽっかりと開いた非日常が映し出されている。


《また、もう一つのヒューマ世界の存在も確認されており、現在、情報の精査を進めています》

映像が切り替わる。


そこには官房長官が映っていた。

落ち着いた声でゆっくり語りかけるように。


「未知を恐れる必要はありません。必要なのは、正しい理解と、適切な“管理”です」


――管理。


その言葉が、やけに重い。

権蔵さんがリモコンを静かに置いた。


「発表の翌日からだ。社会の空気が変わった」


――店の外のざわめき。

「お前、ヒューマじゃないだろうな?」 「自衛のためだ、仕方ない」 「ヒューマが犯罪を起こしたってニュースでやってたぞ」

ヒューマ疑惑。

通報。

監視。

買い占め。

疑い。


「たった数日で、目に見えない壁ができた」


テレビの映像が変わる。


《そして、本日、“ヒューマ管理法案”が緊急可決されました》


「ヒューマ能力の登録義務化、無登録能力行使の禁止、特定区域への立ち入り制限――」

官房長官は続ける。

「これは差別ではありません。社会の秩序を守るための措置です」


秩序。


皆の安寧と安心を得るためには必要なもの。


なんて正しい言葉だ。


間違っていない。


なのに、息が詰まる。

私は自分の腕を見る。

雷撃痕。

服で隠せる。

でも、消えない。

マギアの足も、焼けたままだ。


6日間。


たった6日。

“穴”に落ちて、知らない世界を知って、炎帝を倒して、帰ってきた、だけなのに。


世界は、もう別物だった。


「……ま、そういうわけだ」

権蔵さんの声が、少しだけいつもの調子に戻る。


「お前らがいない間に、世界は決まっちまった」


決まった。

私たち抜きで。

沈黙が落ちる。

マギアが拳を握る。

私は、立っていることしかできない。

テレビの音だけが、静かに流れる。


《新時代に向けて、我々は前に進みます》


前に。

進む。

権蔵さんが、ふっと息を吐いた。


「とにかく……」

目が、ほんの少し柔らぐ。


「おかえり」


その一言で、胸の奥がようやく緩んだ。

6日間で世界は変わった。

でも。

私たちは、まだここにいる。

この世界に存在している。

自分が納得する形にたどり着くまで時間がかかってしまいました。

文章量も少なめですが、情報は詰め込めたつもりです。

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