【36】心に強く意識する
私は気が小さいところがあります。
いつもビクビク人の目を気にして生きています。
あつ森のシールの付録が女児向け雑誌に付いていたのを欲しかった時は、『幼い姪っ子がいるおばさん』を装って人畜無害系の雑誌(無印とニトリの家具の比較が特集だったもの)と重ねてレジに出しました。
東日本の21人くらいの人から「ネットで買えばいいじゃない」と思われそうです。
私はどこに出しても恥ずかしくない立派な情弱なので、その日に本屋で偶然遭遇したのです。
『幼い姪っ子がいるおばさん』を装うと言っても、具体的に何か余計な独り言を言ったりはしません。
人畜無害系が目的ですから独り言はダメというのは完璧に理解しています。
では実際どうするのか。
──どうもしません。
「私は幼い姪っ子がいるおばさん」と、心に強く意識を持つ、それだけです。
想像でしかありませんが、世の中の美人さんは自身が美人だとある程度解っていると思っています。
『私は美人だ』←この意識を心に持つことで、美人さんの振るまいができるのでしょう。
意識をしているからこそ、電車で膝頭をしっかりくっつけて座ったり、クリームソーダのブロック氷の隙間に落ちて行ったバニラアイスをストローの先でほじくり出したりせずに諦めているのだと思います。
私は諦めませんけれども。
ですから私もレジに女児向け雑誌と人畜無害系雑誌を重ねて出すまでの数歩を、『私は幼い姪っ子がいるおばさん』と意識しながら歩きました。
本棚の本の手前にちゃちゃまるグッズを並べていて、ゲームの中の自宅を全室ちゃちゃまる推しハウスにしているような素振りは見せません。
その時は無事に女児向け付録雑誌を買うことができました。
気が小さいので、心を強く持つことを常に意識しています。
気が小さいので、4人掛けのテーブルに案内されたら生きた心地がしません。
まずは2人掛けのテーブルもしくはカウンターが空いているか尋ねて、空いていればそちらを希望します。
4人掛けを1人で使う精神力がありません。
『友人2人と待ち合わせをしているのにすっぽかされた人』と心に強く意識すればいいのか悩むところです。
友人2人はたぶん来ないけれど、水を飲んでしまったし注文した料理を素早く食べて立つ予定ですのでよろしくお願いしたくなります。
心に強く何かを意識するよりも、気を確かにするのが先という気がしないこともありません。




