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ニッコニッコ会議

世間一般で言うゴールデンウィーク初日。

春とは言え早朝はひんやりとした空気が肌を通り過ぎる。

先の見えない長い行列の中時間ばかりが気になりキャリーケースに寄りかかりながらスマホばかりをいじってしまう。


「わくわくするなー。てか。もっと早く出れたんじゃないのか?嶺二がギリギリまで渋ってるから出発が遅くなったんだぜ。なぁー、あの子可愛くない?何のコスするのが楽しみだな?お前もそう思うだろう?」


ボクの隣にいる高志は気持ちの高まりが抑えられないようで機関銃のように話してる。

その内容は問い掛けのようだが基本応えは求めていないからボクはボクでライン画面を開き、今日の事を心音ちゃんに話すべきかどうしようかと数日前から考えていたものの何も言えず今日まできてしまった。

今日心音ちゃんがこの会場に来ている事はTwitterを見て知っていた。

せっかくLINEで繋がったのにLINEする勇気が無くやってる事は以前と変わらないTwitterのエゴサーチ。

ボク何やってるんだろう?

何て思いながらも心音ちゃんがどこかにいると思うと胸をぎゅっと掴まれたような感覚になりそわそわしてしまう。

まぁ、こんな風に気持ちがうずいているのは心音ちゃんの事だけでは無いが…。

今日は記念すべきコスプレデビュー。

デビューと言っていいのだろうか?

ただただキャラの服を着るだけのボクはレイヤーとは違う。

それでも。

人前でこんな事をしようと決めただけ一歩を踏み出せた気がする。



------------------


着替え終わり外に出る頃には暖かくなっていてナイトさまの衣装のタキシード姿だと少し暑かった。

ズボンの丈もう少し上げれば良かったかな?

ネットで頼んだ衣装はサイズが少し…いやかなり長すぎるズボンが届いた。

コスプレの衣装の裾上げを母親に頼む事もできずに生まれて始めてミシンを使って自分でやってみたところ、左右若干違う丈のズボンになってしまった。

が。

まぁ、履いてみてさほど目立つ程では無かったのでそのまま来たものの…。

完璧なナイトさまのレイヤーとかを見ると自分の姿が悲しくなる。

何でボクこんなに身長が低いんだろう?

体型だってワガママボディ…。

数日前に食事をいくらか抜いたかぐらいじゃ体型なんて変わらないよな

そりゃー、あそこのレイヤーみたいにあんな太ってる訳じゃないけど…。

柱に寄りかかりながら過ぎ行く人達を流し目で見ているレイヤーは。

…て……うん?あれ?あれって和喰(わく)じゃないか?


「なぁ、あれ和喰だよな?」


今日は何を思ったのか分からないが有名RPGに出てくる牧師になりきり、ほとんど身動きせず十字架を握ったままの手を組んだままの高志がボソッと言ってきた。


「う…ん、和喰だよな?」


確かに今日来るとは言っていたけど。

まさか。あれって…。

アイドルと恋をする事のできる乙女ゲームの中でも人気の高いキャラ、十文字ツカサでは無いか!

赤みかかったオレンジ色の癖のある長い髪の毛。

オレンジ色の大きな二重の瞳。

そして彼の得意楽器サックスを手にしたその姿は正しくツカサを意識しているものの…。

残念なのはそのぽっちゃりとした体形。

名刺とかだと加工修正できたけど、やはりリアルだとあれが精一杯だよな…。


「ちょっと行ってみるか」


誰かに写真撮られる事を期待しているのか常に人の流れを目で追っている和喰の元へと向かった。

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