表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/80

天使

「すみません、一緒に写真撮らせてもらってもいいですか?」


普段より声を高くして十文字ツカサのキャラになりきって立っている和喰(わく)に声を掛けてみると。

満面の笑顔でパッとこちらを向いた和喰だったが声の主がボクと高志だと気付き明らかに落胆の表情に変わる。


「和喰すげーじゃん十文字ツカサ!似合ってる似合ってる」


高志が取り繕うように言うものの口角が上がったままだしうわずった声は隠していないから、和喰は口を尖らせて、


「冷やかしならよそに行けよぉ、何なんだよぉ、お前等ぁ、てか、お前等だって対したコスじゃねーじゃん。特に嶺二ぃお前なんてタキシード着てるだけじゃん」


うっ。痛いところを突かれてしまった。

ボク達三人がそんな話をしている間にも美しいレイヤー達が通り過ぎて行く。

その中にセーラーピンクもいて、心音ちゃんじゃないかと思ったが違った。

こうして見ててもやはり心音ちゃんほど完璧なセーラーピンクはいなかった。


「心音ちゃんを探してるんだろうぅ?心音ちゃんならさっき外で見かけたよぉ。今日も一番のセーラーピンクだったよぉ。でも今どこにいるか教えてあげないぃ」


さっきの仕返しと言わんばかりの言い方に少しカチンときた。


「自分で見付けるからいい」


LINEで連絡すればすぐに見付けられるけど、そんな風に彼女に会いたくない。

彼女の大好きなナイトさまのコスのまま会う勇気がないから?

確かにその気持ちも少しはある。

だけど、会うつもりがないなら初めからこのコスを選んだりしない。

心音ちゃんに見て欲しいから。

今日ボクはこのコスでここに来たんだ。

外に出ると日射しいっぱい浴びた緑色の芝生の中で写真撮影をしているレイヤー達がたくさんいた。

ファンの子達にお菓子や汗拭きシートをもらってるレイヤー達はいるものの心音ちゃんの姿は見当たらない。

反対側だったかな?

それにしても外は暑いな…。

シルクハットの中は汗で蒸れてきて仮面の下にも汗が垂れてきて視界が見辛くなる。

レイヤーってすごいな。ボクよりもっと暑そうな格好してる人たくさんいるのにそのキャラになっているからそのイメージを崩さないように表情とかポージングまで意識してる。

やっぱりボクは全然ダメだ。

昨日まであんなに意気込んでたのに。

こんなんじゃ心音ちゃんに笑われるかも…。

反対側の庭園に出て柱の影になっているとこに腰を降ろした。

このまま帰ろうかな?


「あ、のー、ナイトさまですよね?」


可愛らしい女のコの声が頭の上から降ってきたので顔を上げた瞬間春の風がさっきまでの弱い気持ちが吹き飛ばしてくれた。


「心音ちゃん?」


ボクが探していたセーラーピンクの心音ちゃんが声色を変えて心配そうにボクを見ていた。

ピンク色の艶やかな唇が開く。


「和喰さんに聞きました!嶺二さんがナイトさまのコスをして参加してるって!会えて良かったー。ナイトさま素敵です!ジュース飲みます?」


はい、と笑顔で両手で握りしめていたペットボトルをボクの前に差し出す心音ちゃんの姿に声が出てこない。

心音ちゃんがボクを探してくれた。

それだけでもすごくうれしいのに、コスまで誉めてくれて…。

感無量って言葉こう言う時のためにあるんだー。


「まさか嶺二さんがナイトさまするなんて思ってませんでしたが、嶺二さん背高いし似合いますね。本当に素敵です!」


その言い方はまるで天使のようで(天使など見た事ないが)心が浄化されるのが分かった。

ああ。心音ちゃんは何て可愛いんだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ