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七回殺された君  作者: 臥亜


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最終章『選択』『未観測の未来』

 病室の前。


 ドアの向こうに、娘がいる。


 入れば、見る。


 見れば、確定する。


 だが。


 もう、関係ない。


 選ぶべきものは、決まっている。


 ポケットから、キーホルダーを取り出す。


 小さな、安っぽいもの。


 それを、ドアの前に置いた。


「……悪いな」


 呟く。


 ドアは、開けない。


 最後まで、“見ない”。


 その代わり。


 振り返らずに、歩き出す。


 誰にも見られない場所へ。


 記録されない場所へ。


 存在しない場所へ。


 足音が、消えていく。



 記録には、何も残らなかった。


 相沢 恒一という人間は、


 最初から存在しなかったことになった。


 事件も。


 記録も。


 観測も。


 すべてが、整合性を持って再構築される。


 ただ一つを除いて。


 病院のベッドの上。


 少女が、目を開ける。


「……あれ」


 ゆっくりと、体を起こす。


 生きている。


 理由は、わからない。


 だが。


 枕元に、一つだけ。


 見覚えのないキーホルダーが置かれていた。


 それを、手に取る。


 なぜか、涙が出た。


「……誰」


 答えは、どこにもない。


 だが。


 確かに、何かがあった。


 観測されなかった、何かが。


 この世界には。


 まだ、確定していない未来がある。


 誰にも知られないまま、


 静かに、存在している未来が。


 それでも。


 それでもきっと。


 それは、消えない。


 それは、誰にも観測されなかったはずの未来だった。


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