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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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112/115

……だけど、本当は――

「…………ふぅ」



 12月下旬の、月曜日の朝。

 一人、深く呼吸を整える。そんな僕がいるのは、冬枯れの景色が何処となく心を惹く通学路。……ふぅ、緊張する。と言うのも……まあ、告白した日の翌朝だしね。



『――ごめん、新里にいざと! 少し……あと少しだけ待ってほしいの! 明日、必ず返事をするから!』



 昨日さくじつの夜のこと。

 公園にて、僕の告白にパシッと手を合わせ答える斎宮さいみやさん。理由は、日坂ひさかくんに対するけじめ、とのことで。その辺りに関して僕は部外者なので、詳しい事情は知らない。だけど、あの話――以前、屋上にて日坂くんが教えてくれたあの話に関することであろうことは流石に察しがついて。


 そして、もちろん異存なんてあるはずもなく。僕としては、いつまででも……それこそ、仮に死ぬまで待てと言われても待つ所存だし。……うん、流石に重いかな?



 ともあれ、高鳴る鼓動おとを携えほどなく公園へ到着。いつも待ち合わせをしている、思い出の詰まったあの公園へ。彼女が早い日も僕が早い日もあるけど、今日は僕のようで。……うん、正直ちょっと安心。情けのないことに、未だにまだ心の準備が出来ていなかったし。そういうわけで、彼女が来るまでに精神を整え――



「…………あれ?」



 ふと、ポツリと声が。と言うのも――いつもここで会うはずの少女が、暫し待ってみても今日は一向に姿を見せないから。



 そんな予想外の状況に、暫し困惑したままの僕。いったい、どうしたのだろう――


 ……いや、でも驚くこともないのかな? よくよく考えれば……いや、よくよく考えずとも、緊張しているのはきっと僕だけじゃない。なので、朝からは顔を合わせづらいから今日は先に――あるいは、別の道で登校している可能性も十分にある。ともあれ、このままでは遅刻になってしまうので再び足を進め再び校舎へと向かう。



 ……だけど、本当はあった。こう、虫の知らせと言うか……そこはかとない嫌な予感が。


 ……そう、本当は分かっていた。僕と顔を合わせづらいから、今日は公園に来れなかった――確かに、その可能性は十分にあったと思う。

 それでも、だとしたら彼女の性格上、まず間違いなく連絡をくれる。例えば、遅れるから先に行っててほしいとか……あるいは、今は顔を合わせづらいからと正直に話すかもしれない。いずれにせよ、何の連絡もないなんてことはあり得ないと断言できる。だから、予感……いや、確信していた――何か、極めて深刻な事態があったのだと。



 ――そして、それはほどなく明らかになる。覚束ない足取りで到着した二年E組の教室にて、あの時までとは全く異なる動悸を抱えた僕の耳に届いた先生の言葉――その意味を脳が認識したのは、全く覚えのない校内での時間ときを終え帰路に着いていた瞬間ときだった。



「……皆さんに、悲しいお知らせがあります。二年B組の日坂巧霧(たくむ)くんが……昨日の事故にて、現在いまも意識不明の重体に陥っています」


 




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