ep.1 発明
とある田舎町の古びた一軒家に、男がひとり住んでいた。その地下室で、男は嬉々とした表情を浮かべていた。
「天才だ……。やはりおいらは只者ではなかった……。世間がおいらのことをニートだの引きこもりだのと見下しても。この才能は唯一無二なのだよ──」
薄暗い地下室には、書籍やパソコン、工具やフラスコが無造作に置かれている。そして中央の寝台に子供がひとり、人形のようにひっそりと横たわっていた。
男がゆっくりと子供のおへそをポチッと押す。すると、システムの起動音とともに、初めて子供が目を開いた。
「旦那様、ここは……?」
「キミの家さ。今日からキミには、おいらのご奉仕役として、ここで働いてもらう」
子供はゆっくり頷いた。
「立てるかい?」
男に言われて、子供は寝台から降り立った。
「旦那様、1つ聞いてもいいですか?」
「あぁ、何でも聞いてくれ」
「どうして僕、男の子なんでしょう? 旦那様は生粋のロリコンでは?」
部屋の壁にはそれっぽい壁掛けやポスターがずらりと敷き並べてある。核心を突かれた男は驚嘆の表情を見せた。
「に、二次元だけなんだよぉ……。三次元の女の子は、怖い……」
「あ、へぇ〜」
可愛らしい容姿のアンドロイドは、目の前の天才を憐れな目で見つめた。