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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
中章:激震魔大陸
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魔物の砦

レシアの情報通りに進み、魔物の砦が見える所に来た三人。相当遠くから見てるので、あちらから発見される心配は無いはずである。

「……」

三人の(いず)れもまずは黙り、その砦を見ていた。

中規模な砦ではあるが、立派なものだった。中には食料とか風呂とかもあるだろう。

「……さぁ、どうする?どうやって攻める?」

「真正面からブチ抜けばいい。」

「落ち着け。」

「早まるな。」

飛び出そうとするジョーを、二人は押さえた。真剣勝負なので、力任せに動かれると困るのだ。

「さぁ、どうしようか。どう攻めようか。」

ジェットが言いながら、レシアの方を向く。しかし、彼女はそっぽを向いた。

「フン、私はあくまで君達の敵よ。そこまで教える義理なんか無いわ。」

「あ、そう……」

「レシアもサキュバスという手前、我らと行動している事がバレたら不味いだろう。それに、勇者が魔物から魔物の拠点の落とし方を聞くものではない。」

「あっ、そっかぁ……」

「……ンで、どうすんだっけ?」

ジョーが言って、改めて皆は向かい合う。あらかじめ、用意しておいた作戦があるので、それの確認をしようとしてるのだ。

「二人が正面から攻め込み、我が死角から潜入し、連中を暗殺するという方式のハズだ。」

「あァ、忍者だったテメェならではの作戦だ。」

「うん、一言で纏められたな。あと、中で一回ぐらいは合流しとこうぜ。生存確認も兼ねてさ。」

そう言うジェットに、二人は頷く。

「それでは、二人とも……頼むぞ。」

ローレンスは、フッと消える。二人も砦に向き、ボキボキと指を鳴らした。

「なんか、ローレンスにばっか単独行動させて悪いな。」

「元々アイツはそういう奴だった。群れるのは好みじゃねぇさ……俺達と同じようにな。」

「……ああ。」

二人は、改めて魔物の砦を見る。その背後で、レシアは呆れ顔で溜息をついていた。

「作戦は纏まったようね……それじゃあ、無様に殺されてきなさい。墓ぐらいは用意しておくわ。」

「用意するだけ無駄だぜ?ヒャハハ!」

「よーし、行くぞーっ!」

二人は、砦の前にまで歩いて向かう。レシアはその背後に、ゆっくりついて行った……

「……」

せめて、最期ぐらいは見届けてあげるわ……


「……?」

双眼鏡を覗いていたデーモンが、何かを確認する。それは人型をしていて、二人の男で、こちらに向かって高速で迫っているようだ。

「おらァアアアッッッ!!!」

「あちょーッッ!!!」

二人は真正面から猛ダッシュし、砦の扉を蹴り飛ばした。魔物達の視線が、そこに殺到する。

「敵襲ッッ!!敵襲ッッ!!」

「まさか、真正面から突っ込んでくるとは……!」

「シャアァアッ!!」

砦には、デーモンやサキュバス以外にも様々なモンスターが居た。バーサーカーやドラゴンソルジャーに、また見ない顔がある。

「ガァアアアッ!!」

骨だけの体に鎧を着込み、チェンソーらしき武器を掲げながらこちらに突っ込んでくる敵が居た。

「何かすげー奴来たぞ!!」

「オラァアッ!!」

ジョーがそいつの顔面をぶん殴り、ぶっ飛ばす。ぶっ飛んだ方向には魔物の群れが居て、ボーリングのピンのように倒れ込んだ。

「オラオラオラオラオラァ!!」

その場でパンチを連打し、拳圧を飛ばす。拳圧に直撃した敵達は、次々に潰されていった。

「ガァアアアッ!!」

しかし、例の骨の魔物が飛び上がってきた。チェンソーを構え、こちらに突っ込んでくる。

「ぬぉっ!?」

それを腕で受け止め、押し合う。回転する刃に、ガリガリと腕が切られそうにはなるが……

「ヒャハハハ、この程度かァアッ!!」

もう一方の拳で顎にアッパーし、頭を粉砕した。腕は僅かに出血しているものの、大事には至らなかったようだ。

「しゃあっ、おらぁっ!消えろっ!」

ジェットの剣が乱舞し、かかってくる敵を次々に切り伏せる。

「おらぁあっ!」

正面から来た敵の胸に、剣を突き刺す。

「っぐはぁあっ!」

「くそぉっ!」

背後から、敵が迫ってくる。剣から手を離してそちらに向き、腹に手刀を刺した。

「!!!」

「はい、モツ抜き一丁!」

そのまま臓物を掴んで、引っこ抜いた。その魔物は吐血し、倒れる。

また別の方向から、ドラゴンソルジャーが来る。

「おらぁっ!!」

その顔に、臓物をぶん投げた。

「っ!?」

そのせいで、僅かに硬直する。その隙に、剣を強奪した。

「おらぁっ!」

その剣を振り下ろし、縦に真っ二つにした。

自分の剣も引っこ抜き、二刀流で構える。

「グォオオオーッッ!!!」

「なんだ?」

咆哮が響いた方を向くと、鎧を着込んだ、いかにもパワータイプの魔物が居た。両手は回転する丸鋸になっており、殺傷力も凄まじそうだ。

「オォオオーーッ!!!」

ソイツは猛回転する丸鋸の両手を突き出しながら、ジェットに突進してきた。

「チッ!!」

舌打ちをしながら剣をクロスして、突進する。思いっきりぶつかり合い、辺りに火花が散った。

「うぉおおおお……!!」

「スキあり……!」

背後から、敵が迫る。しかしジョーが、その敵の顔面に飛び蹴りした。

「油断すんなァアアアッッッ!!!」

「分かってらァぁああアッッ!!!」

ジェットは力を込めて、目の前の敵をパワーで押す。

「ォオオッ……!?」

「ッだぁあああッッ!!!」

懐にまで迫ってから足を振りかぶり、腹に、背中まで貫くような膝蹴りを叩き込んだ。敵は目を見開き、悶絶する。

「あよいしょおッッ!!!」

その敵の脳天に、思いっきりスレッジハンマーした。頭は胴体の奥にまでめり込んで、背骨が粉砕した。そして、そのまま倒れて絶命した。

「しゃおらァアアッ!!!」

だいたい片付いた所で、ジョーが敵の一体を蹴り飛ばし、扉に叩きつける。

「ぐはっ……!」

「よっこいせェッ!!」

その敵に両足蹴りし、扉もろともぶっ飛ばした。扉の先には既にバーサーカーの銃隊が構えていた。

「え、マジで。」

「オォッ?」

次の瞬間、二人に銃撃が集中砲火された。銃は当然魔導銃で、威力ならば普通の銃のそれを遥かに超える。

「うぉおああああッッ!!」

しかしジョーが、被弾しながらも敵に突っ込んだ。被弾したところからは僅かに血が滲むだけで、大したダメージにもなっていないようだ。

「死に晒せェエエエッッ!!」

一体の顔面を掴み、前衛の敵をソイツで薙ぎ払った。遠心力で、掴んでいた敵の胴体が千切れる。それを投げ捨てて、次々に敵を倒していった。

「ひゅ〜……」

ジェットは虫のように天井に張り付いており、ジョーの戦いを見ていた。そんな彼にも、銃口が向けられる。

「っちゃあッッ!!」

天井を蹴り、引き金を引かせる暇もなく敵の首をハネた。剣から血を払い、回転斬りして周囲の敵も薙ぎ払った。

「っよしっ!!」

「ブチ抜けェエエッ!!」

二人は大暴れしながら、魔物の砦を進撃した……


「……」

ローレンスはと言うと、誰にも気付かれる事無く敵を暗殺して回っていた。

別の部屋から、二人の大暴れする音が聞こえる。二人は二人で、頑張っているらしい。

「……ここか。」

最奥の部屋の扉の前に立った。その扉の鍵は、固く閉ざされている。

「フンッ!」

扉のカギを手刀で斬り、開ける。

「……?」

その部屋は、ボスの部屋というよりは監視カメラの映像を見る部屋という印象だった。モニターが壁に並び、この砦の様子を映し出している。

「……」

ここのボスは、既にジェットの所に迎撃へ……?

思いながら部屋を見回すと、資料の束が目に付いた。それを手に取り、一枚一枚見ていく。

「……」

内容は、人間の男を改造して造り出したモンスター一覧(いちらん)という感じのものだった。ゴブリンやドラゴンソルジャーやバーサーカー、チェンソーを持った骨の魔物の"スラッシャー"、両腕が丸鋸になったパワータイプの魔物の"ブッチャー"、他にも色々な魔物が居た。何にせよ悪趣味なものではあるが、有用な情報なので懐にしまっておいた。

「……」

ふと、一つのモニターに目がいった。外の、巨大樹方面を映したもののようだが……

「……!!」

目を疑った。なんと、凄まじい数のハーピーがここへ向かってくるではないか。

「まずいッッ!!」

「何がマズイんだ?」

「ッッ!!」

背後から、声が聞こえた。振り向くと、そこに居たのは……

「……貴様が、ボニーを倒した男か……ふふふ。」

四魔姫の一人にして、ハーピー族最強戦士。ジェットが冒険に出て最初に不覚をとった、超強敵。

そう、ハルピュイアが居たのだった……

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