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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
前章:勇者進撃
27/131

鬼畜のローレンス

ジェットにぶっ飛ばされ、仮面の外れたローレンス。

それを見て、ジョーは不敵な笑みを浮かべた……

「……」

「ここからが、本番か……」

「ああ。」

両者は構え、向かい合う。

「……感情隠しの仮面を外した事は、褒めてやる。俺は今から、俺のやりたいように戦う……!」

「……あぁっ?」

ローレンスの喋り方に、違和感を感じた…次の瞬間、ジェットの身体中に無数の斬撃が駆け巡った。

「!!?」

「せいっ!!」

背中に寸勁が打たれ、ぶっ飛んでしまう。

「っぐ!!?」

「こっちだ。」

ぶっ飛んだ先に、既に回り込まれていた。

「せりゃああああっ!!」

腕を振り、鋭い拳圧を連射してきた。

ことごとくに直撃し、なす術なくダメージだけが蓄積する。

「ぐっはぁああっ……!!」

体勢を整え、ローレンスに向かい直す。

既に正面に迫っており、拳を振りかぶっていた。

「ちっ!!」

その拳を受け止め、反撃にパンチを放つ。

しかしそれは受け止められ、二人は押し合った。

「ふんっ!!」

「!!?」

グンッと上方向に力が流れたかと思うと、既に10m辺りまで体が跳んでいた。

「そぉいっ!」

そのまんま床に向かってぶん投げられ、墜落してしまう。

「っぐは……っ!!」

「たぁっ!!」

ローレンスは回転しながら、蹴りを落としてきた。

それをギリギリで躱し、拳を振る。

しかし、拳はローレンスをすり抜けた。

「なにっ!?」

「こっちだ。」

ジェットの背中に、手刀が振り下ろされる。

「おっとぉっ!!」

見ずに手刀を受け止め、振り向きざまに拳を腹に打ち込んだ。

「っ……!!」

腹を押さえながら、後退するローレンス。

「せいやぁあっ!!」

その場で、腕を薙ぎ払ってくる。

すると、強烈な斬撃が飛んできた。

「よっ!」

ジェットは身を屈めてローリングし、避ける。

斬撃が、観客席の方へ飛んできた。

「ふんっ!」

ジョーが前に出て、デコピンでその斬撃を消した。

「あわわわわっ!バリヤー展開っ!!これは危険ですっ!!」

実況がそう言いながら、スマホを操作する。

すると、観客席にバリヤーが張られた。

「ほぉ……?魔導機械の技術も発達してんなぁ……」

ジョーは、バリヤーの外に出たまんまだった。

「ジョー選手っ!危ないですよっ!!早くバリヤーの中に!」

「いいんだよ、俺は……こんな特等席で、友人の晴れ舞台を見れンだからよ……」

ジェットとローレンスは、攻防を続けていた。

しかし、依然としてローレンスが押していた。

「く……!!」

「ふんっ!!」

ローレンスはいきなり、金的を蹴り上げてきた。

「はぅぁああっ!!?」

直撃し、腹と股を押さえて転がる。

あまりの激痛に、涙すら浮かんできた。

「落ちろ……!!」

「ふんぬぁあっ!!」

攻撃しようとするローレンスの顔面に、頭突きをかました。

「ぐぬっ!?」

見事に直撃し、揺るがせることに成功した。

何とか気合で立ち上がり、走る。

「でりゃああっ!!」

体を捻って回転し、鳩尾に肘を叩き込んだ。

「ごはっ……!!」

「だぁあっ!!」

顔面をぶん殴り、その勢いで猛攻する。

しかし手首が掴まれ、猛攻が止まった。

「なっ!?」

「ぉおおおっ!!」

腕が掴まれ、ぶん回される。

思いっきり投げられ、宙を舞った。

「ーーーっ!!!」

「はぁあ……!!」

投げられた先に、ローレンスが回り込んでくる。

「たぁあっ!!」

すかさず、切れ味を持った回し蹴りを放つ。が、その足をジェットが掴んだ。

「な……!?」

「おらぁあっ!!」

手を流血させながら握力を込めて、その体を持ち上げる。

そして、思いっきり床に叩きつけた。

「どうだ!?」

「っぐ……!!」

ローレンスは起き上がり、ジェットの顔面を蹴った。

「おうっ!?」

「はっ!!」

脱出してからすぐに接近し、拳で強烈な一撃を叩き込んできた。

「ぐうぅっ!?」

「はぁっ!」

その魔力が解放されると、ジェットに無数の斬撃が走った。

「ぐはぁあ……!」

「ふん……!!」

揺らいだジェットを前に、拳を握る。

その拳に斬撃の魔力が纏われ、回転した。

歯医者で聞くようなドリルの音が、闘技場に響く。

「斬空血裂拳!!」

拳が、ジェットの腹に叩きつけられた。

「ーーーっ!!!!」

拳が腹筋を穿ち、肉体を引き裂く。

夥しい程の血が噴き出し、観客席に悲鳴が響いた。

「きゃーっ!!」

「な、なんて技だ……!」

「ヴォエッ……」

阿鼻叫喚に包まれる観客席の前で、ジョーがニヤつきながらローレンスを見ていた。

「……あの野郎、ようやくらしくなってきたな……」

「……」

ローレンスは返り血を浴びながら、嗤う。

これで、俺の勝ちだ……!

「ふんっ!!」

ジェットは歯を食いしばって踏ん張り、ローレンスの腕を掴んだ。

「っ!?」

「ふっ!!」

その腕を腹から引き抜いて、突き飛ばす。

「しゃおらぁあっ!!」

勢いよく踏み込んで、顔面に後ろ回し蹴りをかました。

それは直撃し、ローレンスは大きくぶっ飛ぶ。

「っくぅっ!」

「はぁ……はぁ……!!」

腹から、血がドクドク溢れ出す。

見た目ほど深い傷ではないが、これでは長期戦には向かないだろう。

「……ちっ!!」

これ以上長引かせるわけにはいかない。すぐに終わらせねぇと……!

「……ふっ!」

「いくぞっ!」

二人は拳を構え、ノーガードで殴り合った。

ドカドカと拳がぶつかり合い、血飛沫が舞う。

ローレンスの手には、まだ斬撃が纏われているのだ。

「だだだだだだだだだ……!!」

「せぇいやぁっ!!」

ローレンスの拳が腹に入り、また大量に出血する。

「っ!!おらぁあっ!!」

ジェットは拳に冷気を纏い、殴り返した。

それも凄い威力で、ローレンスは思わず後ずさりしてしまう。

「……!!」

殴られる寸前に肌が凍り、そこが拳で抉られた事によって裂傷になった。

流血しながらも床に踏ん張り、また殴り合う。

「はぁああああああっ!!!」

「オラオラオラオラっ!!!」

二人の拳に纏われた魔力が衝突を繰り返し、どんどん薄くなっていく。

そして……

「だーーーっ!!!」

「せぇえええいっ!!!」

渾身の拳がぶつかり合い、冷気と斬撃が辺りに旋風した。

それと同時に、互いの魔力にもヒビのようなものが入り、消散した。

「ぐぐぐぐ……!!!」

「ぁああああ……!!!」

二人は、もう一方の拳を振りかぶる。

その拳が互いの頬に入り、クロスカウンターとなった。

両者はぶっ飛んでから、体勢を整えて床に踏ん張る。

「いくぞっ!!」

「おおっ!!」

駆け寄って、激しく攻防する。

「ハッ!」

「……!」

ジェットはローレンスの攻撃を見切り、反撃した。

「っぐ……!?」

「せりゃあっ!!」

床を蹴って跳び、渾身の後ろ廻し蹴りを放つ。

「ふんっ!せりゃああっ!!」

しかしそれは受け止められ、床へと叩き伏せられた。

衝撃が響き渡り、床にもミシミシとヒビが入る。

「っぐ……!!」

「かっ!」

手刀が頭に振り下ろされるが、転がって避ける。

そのまま足払いを繰り出して、ローレンスをスっ転ばせた。

「っ!?」

「あちょーっ!!」

起き上がって足を天に向け、踵落としした。

確かな手応えを感じ、思わず笑みが零れた……

「甘いな。」

「なっ!?」

ローレンスは既に背後に居て、背中に拳を打ち付けた。

「せぇいっ!!」

そのまんま力を込め、寸勁でジェットをぶっ飛ばす。

ジェットはというと、ゴロゴロぶっ飛びながらも体勢を整え、座った。

そして、頭をバリバリ掻く。

「い、(いって)ぇ……あいつが忍術使えるの、完全に忘れてた……」

「そろそろ、降参したらどうだ?」

声をかけてきたのは、場外にいるジョーだった。

ジェットの前でしゃがみ座りして、ニヤニヤしている。

「バカ言うな、あと3分なら戦える。」

「無茶はするもんじゃねぇぜ……?裂傷、切り傷、脱臼、打撲、刺し傷……それに、腹には穴空いてんだ。普通の人間なら、死んでるぜ。」

「ああ、そうだな。」

ジェットの背後から、ローレンスが跳び上がってくる。

そして、切れ味のある踵落としを繰り出してきた。

「ふっ!」

踵落としはジェットをすり抜け、床を断裂させるだけに終わった。

「残像……!?」

「はぁ……はぁ……!」

ジェットは、ローレンスの後ろで立っていた。

服を破いて腹に巻き、傷を凍らせた。

「……さて、ファイナルラウンドだ。」

「ああ……」

二人は構え、向き合う。

突撃して駆け寄り、攻防した。

「ぉおおおっ!!」

「つぁああっ!!」

ジェットがローレンスの手刀を受け止め、思いっきりぶん投げた。

「っ!?」

何とか着地し、ダウンは免れる。

しかし、ジェットはダメ押しに顔面に膝蹴りした。

「ぐぅうっ!たぁあっ!!」

反撃に、手刀を薙ぎ払う。

「おぉおっ!!」

手刀を、腕でガードする。

切れ味の持った手刀だが、ジェットは腕に筋肉を込めていた。

そのおかげで、斬撃は入らなくなっていた。

「なにっ!?」

「だぁあっ!!」

反撃に頬をぶん殴り、よろけさせる。

「おぐぅうっ……!!たぁあっ!!」

ローレンスは踏ん張り、ジェットの腹を蹴り据えた。

「ぐぁあああっ!!?」

凍った部分が蹴られ、バキバキと音が鳴る。

この試合一番の痛みだったが、耐えた。

「おぉおおっ!!」

「やぁああっ!!」

二人は、何度も一撃をぶつけ合った。

殴り、蹴り、斬り、穿ち……

どの一撃も強烈だが、一歩も譲らずにぶつかり合う。

「……」

戦いのさなか、ローレンスは脅威を感じていた。

この男……戦いの中で俺の僅かな動きのパターンや癖を読み取っている……

そしてあまつさえそれに対応し、反撃も繰り出せるようになっている……!

「おらぁあっ!!」

「……!」

ローレンスの顎に、一撃が入った。

顎……まずいっ!!

「つぁあっ!!」

ジェットの膝蹴りが、腹に叩き込まれる。

顎を打たれたことで脳震盪が起こり、反応が遅れたのだ。

「あだだだだだだだだだだだーーーっ!!!!」

揺らいだローレンスに、怒涛の拳のラッシュを決めた。

ミスブロー無しの、一発一発に全力を込めたパンチだった。

「っがはっ……!!」

ローレンスは揺らぎ、よろめく。

そして、確信した。

ジェットは、正真正銘、本物の天才であった……

「おらぁあああああーーーっ!!!」

ジェットの拳が、ローレンスの顔面に叩き込まれる。

それはまさに会心の一撃で、とてつもない威力だった。

およそ人の顔面を叩いたとは思えない音が鳴り響き、衝撃が発生する。

ローレンスは水平にぶっ飛び、観客席のバリアに叩きつけられ、場外に倒れ付した……

「はぁ……はぁ……!!」

「じ……場外ッッッ!!!」

審判の声で、ジェットは勝ち名乗りを上げた。

「なんという事でしょう!!目にも留まらぬ超スピードバトルから、血を血で洗う凄惨なバトル、そして拳と拳がぶつかり合う極限のバトル!!この御二方は、色々なバトルを我々に見せてくれました!!その勝者は、ジェット選手!!皆様、拍手を!!」

観客席は沸き上がり、ジェットに黄色い声援を送った。

否、ジェットだけではない。ローレンスにも声援は送られていた。

「よく頑張ったーっ!」

「忍者の方も、凄かったぞー!」

「すごく素敵ーっ!」

「二人とも、かっこよかったぞーっ!」

ローレンスが起き上がり、ジェットの横につく。

「ローレンス。」

「……ああ。悔しいが、正真正銘お前の勝ちだ。」

二人は握手して、礼をする。

そして、退場した……


「あ゛〜いでぇえっ!!」

休憩室に来るなり、ジェットは倒れ込んだ。

腹を押さえて、悶絶する。

「む、むぅ……す、すまない……死なない程度にはしたが、やはりダメージも大きいか。」

仮面を着け直したローレンスが寄ってきて、肩を貸す。

「とりあえず、座らせてくれない?めっちゃ痛い。」

「あ、ああ……」

二人ともボロボロのまんま、用意されている椅子に座る。

そこに、医者風の魔術師がやってきた。

「あ〜、こりゃ酷いのう……腹に穴がぽっかりと。」

「いでででで……」

「むぅ……」

ボロボロの二人……

ローレンスはいいが、ジェットは次の試合に出れそうにない。

さぁ、どうしたものか……

「いや、問題ない。その時こそこれじゃ。」

魔術師がそう言いながら取り出したのは、液体の入った瓶だった。

それも、二個取り出してきた。

「飲むがいい、病気は無理でも傷は一瞬で治るぞい。」

「ああ……」

「本当に、こんなものが……?」

ジェットは促されるままに、ローレンスは半信半疑で液体を飲む。

すると……

「!」

「っ!?」

二人の傷が一瞬で癒え、体力も元通りになった。

「っおっしゃーっ!!完全回復!!」

「これは……!?」

ローレンスは、魔術師に聞いてみる。

魔術師も、笑いながら答えてくれた。

「ヒヒヒ、とある泉から取れる魔法水じゃ。これさえあれば、例え手足が千切れても再生出来るぞい。ヒッヒッヒ!」

「とある泉か……どこだ?」

「西の世界さ!ヒヒヒヒッ!」

「西の世界か……むむむ……」

「ああ……」

……西の世界は、殆ど魔物に制圧されてしまっていると聞く。

何か、別の方法がないものか……

そう悩む二人を、魔術師は見かねた。

「なんだい、この水が欲しいのかい?」

「ああ……一応旅してるから、いろいろ便利かなって。」

「これさえあれば、怖いもの無しだ。」

「なら、そこらの商人が持ってる時があるよ。今は、買い繋いどきな。」

「そうか……」

有益な情報が、手に入ったぞ。

とにかく、傷も癒えたので次の試合には出れるようになった。

次は、決勝戦だ。

まぁ、誰が相手なのかは予想できる。

果たして、生きて帰れるのか……

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