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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
前章:勇者進撃
20/131

エルフ族女王、クローディナ

エルフとダークエルフの、全面戦争に巻き込まれに行ったジェット。

我先にと敵の軍を掻き分け、女王の前に立つ。

戦乱の中で両者は向かい合い、激突するのだった……

「うぉおおっ!!」

「はーっ!!」

剣と槍が猛烈なスピードでぶつかり合い、激しく攻防する。

火花を散らしながら、超スピードのバトルを繰り広げているのだ。

それはどんどんと加速して、熾烈なものとなっていった……

「せぇいっ!!」

ジェットが剣を振りかぶり、薙ぎ払う。

「避けよっ!」

クローディナは馬を跳ばせ、斬撃を避けた。

距離をとり、弓を取り出す。

「散れっ!!」

そのまんま、矢を連射してきた。

無数の矢が、ジェットに集中砲火される。

「アイスウォール。」

ジェットは氷魔法を使い、目の前に防御壁を作る。

それは、見事に矢を受け止める。しかし……

「これは受け止められるか……!?トリプルファング!!」

クローディナは、あの三発同時撃ちの矢を放ってきた。

それは物凄い威力で、ジェットの防御壁を突き破る。

「こっちだ!!」

「!!」

ジェットは既に背後に回り込んでおり、馬の後ろ足を切り落とした。

「うぁあっ!?」

バランスを崩し、クローディナも揺らぐ。

ジェットは容赦なく、手に魔力を纏い……

「フリーズバースト!!」

馬に放って、凍結させた。

クローディナはすんでの所で跳び避け、着地する。

そして、ジェットの方に向き直した。

「ぐ……よくも、私の愛馬を……!!」

「ちぇいっ!!」

怒りに震えるクローディナに、容赦なく顎への蹴り上げを叩き込む。

「!!」

「オラオラオラオラオラァ!!!」

体に拳を連打して、腹にとてつもなく重い一撃を埋める。

「っぐはぁあ……!!?」

「おらぁああっ!!」

頬を思いっきりぶん殴り、ぶっ飛ばした。

「ッッッ!!!」

ぶっ飛んでる最中に体勢を整え、バク転する。

そして、矢を放った。

「っ!」

油断していたジェットは、肩に矢を受けてしまう。

「痛……!!」

その矢を引き抜き、そこらに捨てる。

「どこを見ている!?」

クローディナは目の前に迫っており、槍で猛攻してきた。

「ちっ!」

ジェットは次々に迫る槍を、剣で防御する。

刃と刃がぶつかり合い、火花が散る。

「だぁあっ!!」

「っ!!」

一撃を受け止めて、鍔迫り合いとなった。

クローディナが力を込めて、ジェットを押す。

「ぐぐぐ……!!」

「ふんっ!」

ジェットが、クローディナの足を踏んだ。

「いっ!?」

突然のダメージに驚き、揺らぐ。

「スキありぃっ!」

その隙に突き飛ばして、剣でクローディナを斬る。

「うぐっ!」

「おらぁあっ!!」

ジェットが、もう一撃しようと剣を振る。

しかし、その一撃はすり抜けてしまった。

「っ!?」

「はぁあっ!!」

クローディナは、戸惑うジェットを背後から蹴り飛ばした。

「ぐはぁっ!」

「その状態では避けれまい……フォースエナジー!!」

クローディナは、一度に四発の矢を放ってきた。

一本は炎を纏い、一本は雷を宿し、一本は風の如く、一本は水の奔流を込めて。

そんな四本が、同時にジェットに直撃する。

「ぐぁあああああっ!!!」

4つのエネルギーが混ざり合い、大爆発した。

衝撃で、旋風が巻き起こる。

「……フン、"四"だけで済んだか……呆気ないものよ……」

その旋風を受け、髪をなびかせながらクローディナはそう言う。

辺りに、爆煙が舞う……

「おらぁあああっ!!」

その爆煙を突き破り、ジェットが飛び出してきた。

「ふぁっ!?」

「くらえっ!!」

ジェットは、クローディナの顔面にドロップキックした。

直撃して、思いっきりぶっ飛ばす。

「ぐはぁ……!」

「い、いでででで……!!ま、マジで死んだかと思った……!!今のは気をつけねぇとな……」

上半身の服が焼けてボロボロの状態で、ジェットは言う。

そして、中途半端に残った服を破き捨てた。

「……まだまだ本気じゃねぇ癖に、何終わった気になってんだ!とっとと本気出してみろ!」

「……」

クローディナは立ち上がり、首をゴキゴキと鳴らす。

そして、嗤った。

「どうやら、私もそうする他は無いようだな……ふふふ……」

両の拳を握り、目を鋭くして、青筋を浮かばせる。

そして、身体中のエナジーを解放した。

「はぁああああ……!!」

エナジーが波動して、旋風が巻き起こる。

ジェットは吹き飛ばされそうになりながらも、クローディナの変身を見ていた。

「ぐ……」

「かぁあああああ……!!」

クローディナの体が変異して、背から黒い翼が生える。

悪魔のような角が生え、目が赤黒く染まり、胸の中心が裂けて目玉のようなものが出てくる。

上半身の服は吹き飛び、隠すべき場所は黒い甲殻のようなもので覆われる。

「はぁああああーーーッッッ!!!」

変異は完了したらしく、大きく咆哮した。

「はぁ……はぁ……このような禍々しき姿、好きでは無いのだがな……」

「え、エルフらしくねぇ……」

まさに、悪魔のような姿だった。

そして、その悪魔の前に勇者が一人。

なるほど、最高のシチュエーションだ。

「さぁ!始めようか!」

「ああ……!!」

二人の全力の一撃が、ぶつかり合った。

槍と剣の刃が押し合い、火花を散らせる。

「っぐぐぐぐ……!!」

「がぁああああっ!!!」

クローディナの飛躍した槍技が、ジェットの剣を弾く。

そして、連続で突きを放った。

「っぐぁあっ!」

「しゃあっ!!」

槍を振り下ろし、ジェットを袈裟切りする。

「うぐぁあっ!」

「がぁあぁあっ!!」

胸に思いっきり蹴りを入れ、蹴っ飛ばした。

ジェットは勢いよくぶっ飛んで、ゴロゴロと地面を転がる。

「っぐぅうううっ!!」

なんとか体勢を整え、指で地面をガリガリ削りながらクローディナに向かい直す。

「ふふふ……我が聖槍の一撃、ここに受けるがいい……!!」

クローディナは、槍を矢として撃ち放とうとしていた。

しかも、その槍にとてつもない稲妻の魔力を込めて……

「やべぇえっ!!」

揺れ動く稲妻の矢グングニル・カラドアロウ!!」

クローディナは、槍を撃ち放った。

とてつもない速度で、ジェットに槍が飛んでくる。

「いや、避ければいい話……いやっ!!」

いや、この角度……確認しなくても分かる。

このままこれを避けたらエルフ共も貫通して、村のどこかに突き刺さるだろう。

そうなれば、少なからず犠牲が出てしまう……

「考えやがったなこんちくしょう!!!」

ジェットは、剣にエネルギーを込める。

大きく振りかぶって、槍を打つ。

次の瞬間、稲妻のエネルギーがジェットに炸裂した。

「ぐぁああああああっ!!!」

槍は止まるが、バチバチとジェットを焼き焦がす。

「っぐぅうう……!!!」

剣を取り落とし、膝をついて息を切らす。

このままだと、やられてしまう……

「……これで終わりよな、人間の勇者よ。」

「……いや、終わらねぇ……!!」

ジェットは剣をとって、しまう。

立ち上がり、指をボキボキ鳴らし、腕を伸ばす。

軽くウォーミングアップしてから、拳を構えた。

「やっぱ、剣でダメならこれっしょ……!!」

「っははははっ!血迷ったか勇者よ!剣のない勇者など、斧の無い木こりのようなもの!!往生際よく、死ぬがよい!!」

クローディナはそう言って、トリプルファングを放ってきた。

しかし、ジェットは冷静だった。

「……だだだぁ!!」

三つの矢を、拳で粉砕させる。

「……は!?」

「ふっ!!」

地面を蹴り、一瞬で眼前まで詰める。

そして、クローディナの胸に正拳突きした。

「ッッッごはぁあっ……!!!」

胸筋が突き破られ、心臓にモロに衝撃が入る。

ブッ飛びながら血を吐いて、目を見開いた。

「このっ!!」

弓を構え、ジェットに矢を連射する。

しかし、その全てはあっけなく躱された。

「な……な……!?」

「人間とは違って、心臓にパンチした程度じゃ揺るがねぇみたいだな……」

ジェットはそう言いながら、拳を構える。

「はっ!」

クローディナは、ジェットにエネルギー波を放つ。

しかしジェットはそれを飛び避け、背後に着地する。

そして、背中を思いっきり蹴り飛ばした!

「ぐぁあーっ!!」

それなりにぶっ飛ぶが、クローディナは体勢を整える。

地面に転がった槍を取って、突進した。

「はぁあああっ!」

連続で突きを放つが、ジェットはその全てを見切って避ける。

「なにっ!?」

「おるらぁあっ!!」

クローディナの腹に、重い拳が入った。

「おぅううっ……!!」

「だぁあっ!!」

思いっきり蹴り飛ばし、距離を取る。

「っぐ……!!ば、馬鹿な……貴様、素手の方が強いのか……!?」

「さぁな……相性の問題じゃねぇか?」

とにかく、同じぐらいの体力には持ち込めただろう。

何はともあれ、ここからが本番だ。

お互い全力を出しての、バトルが始まる。

「いくぜ……!!」

「人間如きが……!!」

クローディナは、矢を放つ。

しかしジェットは避けて踏み込み、顎に膝蹴りをする。

「っぐ……!!」

クローディナは踏ん張り、槍を薙ぎ払う。

「ふっ!」

しゃがむように避けて、足払いする。

「くっ!?」

「どらぁあっ!」

踵落としを放つが、避けられる。

「しゃあっ!」

槍で、肩を刺し貫かれる。

(いづ)ぁあっ!?」

「たぁあっ!」

更に、矢が連射される。

「っぐ……!!」

右の拳で矢を弾き飛ばし、槍を引き抜く。

そして、無造作に腹を蹴った。

「っがはぁあっ!」

「っでぇええ……っ!!!」

肩を手で抑え、傷口を凍らせて止血する。

しかし、矢で刺し貫かれるのとは訳が違う。

左腕を動かす度に、肩に激痛が走る。

あと、指が数本動かせない。

「くっ!」

クローディナは、矢の弾数を確認する。

残りは9本。

「……ふふふ……勝利の一手は、私にあったようだ!!」

クローディナは、おもむろに9本の矢を抜く。

そして、弓に構えた。

「お、おい……マジか……!!」

「滅びろぉおっ!!ナインフォーセス!!」

一本は炎、一本は氷、一本は草、一本は水、一本は雷、一本は鋼、一本は風、一本は闇、一本は光。

そんな力を纏った矢たちが、一斉にジェットに襲いかかった!

「ぐぁああぁあぁぁあああ!!!」

全身に矢が刺さり、魔力が光る。

その魔力が混ざりあって、大爆発した!

「……ふふ、これで今度こそおしまいだな……」

もくもくと、爆煙が晴れる。

そこにあったのは、無惨な姿になったエルフだった。

「……なっ!!?」

「んぇえっ!?」

クローディナとジェットの、驚く声が響いた。

ジェットは、エルフの死体の横でローレンスに抱えられてた。

「いや、俺今完全に死んだかと思ったし……いや、お前生きてたのか!?」

空蝉(うつせみ)の術だ。」

ローレンスはジェットを下ろし、肩を叩く。

「これで、奴の弓矢を恐れる必要は無い。存分にやってこい!」

「あ、ああ!」

「な……そ、そんな……!!」

クローディナは槍を構え、ジェットに向く。

そのまんま二人はぶつかり合い、激しい攻防を繰り広げた。

槍と拳が超スピードでぶつかり合い、どんどんと加速する。

「うぉおおっ!!」

クローディナの槍が、ジェットの腹を突こうとする。

しかしジェットはそれをいなして背後に回る。

手にエネルギーを溜めてクローディナの背中を爆破した。

「ぐぁあ……っ!!」

クローディナは踏ん張り、ジェットの顔面を槍の石突で打突する。

「っ!!」

鼻血を垂らしながら、顔を抑えて退いた。

「そこだっ!!」

クローディナは振り返り、ジェットに槍を振り下ろす。

「かかったな……!!」

しかし、ジェットはクローディナの手を蹴り上げ、槍を打ち上げた。

「っ!!?ば、馬鹿な……!!?」

これで、奴は丸腰になった。

予想外のことをされたみたいで、硬直している。

このまんま、決めるしかない!

「ででででででいっ!!」

胸に、蹴りを連打する。

「っぐはぁっ……!!」

「しゃあっ!!」

脇腹に蹴りを叩き込み、揺るがせた。

「おうぅっ!!」

「だぁあーっ!!」

痛む左腕に力を込めて、腹に拳を埋めた。

拳が腹筋を突き破り、内臓に直接ダメージを与える。

「っぐはぁああ……!!!」

クローディナはドバッと吐血して、膝をつく。

ジェットはジャンプして、先程打ち上げた槍を掴んだ。

「これで……終わりだぁああっ!!!」

「!!!」

クローディナの胸に、槍が深々と突き刺さった。

「がっ……はぁあ……っ!!」

大量に吐血して、ガクガクと痙攣する。

その痙攣も収まり、白眼を剥いて倒れた。

「っはぁー……はぁー……!!」

色々あったが、何とか勝利する事が出来たらしい。

今までに無いほどの強さだったが、なんとか超えてみせた。

「……っふぅ!」

ジェットは膝を崩して、座り込む。

これで、この戦いも終わるだろう……

そう思い、空に拳を掲げ、勝ち名乗りをあげた。

勇者は激戦の末に、エルフの女王を倒したのだった……

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