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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
前章:勇者進撃
15/131

魔物盗賊団棟梁、セレスト

遂に、対面したセレストとジェット。

本気を出したジェットの前に、遂にセレストは正体を見せたのだった……

「いくぞぉおっ!!」

セレストは、斧を振り下ろして床に叩きつける。

すると、ジェットに向かって爆発が迫ってきた。

「おらぁあっ!!」

ジェットは足に魔力を集中させ、踏ん張る。

氷の魔力が床を這い、爆発を凍らせた。

「しゃああっ!!」

上空から、セレストが大斧を振り下ろしてくる。

「だぁあっ!!」

ジェットは剣で、セレストの一撃を止める。

次の瞬間、大爆発が巻き起こった。

「っぐはぁあっ……!!?」

「ふふふ……」

攻撃は止めたが、魔力による爆発に直撃してしまう。

しかも、向こうは爆発によるダメージは受けてない。

「ぐ……!!」

ジェットは食いしばり、セレストと距離を取る。

「逃げる気かっ!?」

「ち……!!」

迫ってくるセレストを前に、ジェットは剣を構える。

そして、激しく攻防した。

「……そこだぁっ!!」

隙を見て、剣を一閃させる。

しかし、手応えは無かった。

「なっ!?」

目の前を見ると、そこに奴の姿は無い。

「この体格だから誤解されがちだが、私はスピードには自信があるんだ……はぁあっ!!」

セレストは、大斧でジェットに一撃した。

一撃と共に、爆発も巻き起こる。

「ぐぁあああああっ!!!」

ジェットはぶっ飛んで、アジトの屋上から投げ出されてしまった。

「逃がさん!!」

セレストはそれを追いかけて跳び、ジェットの頭を掴んだ。

「ぐ……!!」

ジェットは空中で、上手いこと体勢を整える。

そして、セレストの後頭部を掴んで下に向けた。

「なにっ!?」

「だらぁああっ!!」

そのまんま、思いっきり地面に叩き伏せた。

あまりの威力に、大地が軋む。

「ぐぁあ……!!」

「よっ!」

ジェットは離れ、剣を構える。

何とか、ダメージを与える事は成功した。

さて、ここからだ。

「ふっふっふ……やるな……久方ぶりのダウンだ……」

セレストは立ち上がり、首をゴキゴキ鳴らす。

そして、斧を構えた。

「ゆくぞっ!!」

「あぁ……!!」

二人の一撃がぶつかり合い、大爆発した。

「ぐはぁあ……!!」

やはり、爆発でダメージを負ってしまう。

「そぉらっ!!」

セレストは斧に魔力を纏い、連続攻撃を仕掛けてくる。

全て剣で受け止められる、が……

「うぐぁああああ……!!!」

その度に爆発が起こり、体力をゴリゴリ削られてしまう。

「どうした勇者よ!?その程度か!?」

「くっそ……!!」

これ以上は、耐えられそうに無い。

ジェットはバックステップして、セレストの猛攻から逃れた。

「はぁっ……はぁっ……!!」

「うふふ……」

優位を確信して、ほくそ笑むセレスト。

ああ、あの笑顔を今すぐにぶっ飛ばしたい。

「……」

そう言えば、形態変化してからは斧が何かに当たった時に起爆していた。

床と、ガードする際の剣ぐらいではあったが……

確か、この爆発は土と火の魔力をこねくり回して巻き起こすっつってたな。

起爆方式は?斧に宿っている魔力を、なぞっている感じか?

……

「……」

ジェットは剣をしまって、棒立ちになった。

「どぉした?降参するのか?ならば、一撃だけで済ませてやるが……」

「……」

ジェットはセレストを睨んだまんま、拳を構えた。

「……馬鹿か?この大斧を相手に、素手で挑むだと?当たれば真っ二つになって即死だぞ……?まぁ、爆発を受けない分楽には死ねるが……」

次の瞬間だった。

既に、ジェットはセレストの懐に潜り込んでいた。

「……んなっ!!?」

「シュッ!!」

ものすごいスピードで、顔面と腹と膝にパンチを叩き込んだ。

「ぐ……!!?」

セレストは踏ん張り、斧を薙ぎ払う。

しかし、ジェットはそれを避けて懐に潜り込んでいた。

「な……!!?」

「アッパーッ!!」

そして、宣言通りアッパーで顎を打ち上げた。

「ぐはぁあ……!!」

セレストは仰け反り、揺らぐ。

しかし踏ん張って、ジェットを見る。

「……こいよ。」

「後悔するなよ……!!」

斧の攻撃が、次々にジェットに迫ってくる。

「……」

目を見開いて、全ての攻撃を避けてみせた。

「なんだと……!?」

「……」

どうやら、作戦は成功したらしい。

あの斧の爆発が何かに触れて起爆するとしたら、触れさせなければいい。

ゆえに剣をしまって、剣で受けるという選択肢を無くしたのだ。

避ける事に集中するために、防御という選択肢を捨てた。

そして……

「はぁああっ!!」

「ふっ!」

斧の振り下ろしを避けて、拳を握る。

「だっ!!」

そして、腹に正拳突きを叩き込んだ。

「!!!」

……攻撃のスキを見て、カウンターをブチ込んでやればいい。

正拳突きは直撃して、ダメージを刻む事に成功した。

セレストは足を地面に擦らせながら、その体を大きく後退させた。

「ぐ……!!」

「オラァッ!!」

すぐさま、追撃に後ろ回し蹴りで顎を打ち抜く。

「がっ……!!?」

「くらえ……!!」

ジェットは拳に魔力を纏って、その顔面を打ち抜いた。

「!!!!」

セレストは大きくぶっ飛んで、ダウンした。

「よぉし!!」

「ぐぬぬぬ……!!あ、有り得ん!!剣技よりも、拳の方が得手だというのか!?」

セレストは斧を使って立ち上がり、構える。

「……まぁなっ!!」

ジェットは足元の小石を、セレストの顔面めがけて蹴り飛ばす。

「小癪っ!」

セレストはそれを避けて、ジェットに猛攻した。

「はぁあっ!」

避け続け、猛攻の中に隙を見たジェットはカウンターに正拳突きをかまそうとする。

しかし、その拳が当たる寸前にセレストの姿は消えた。

「こっちだ……おぅうっ!!?」

背後に現れたセレストの腹に、思いっきり肘打ちをかます。

そして胸ぐらと髪を掴んで、思いっきり背負投げした。

「ぐぁあっ!!」

「今のは危なかったかもな……!!」

距離をとって構え直し、軽く二度ほど跳躍する。

「ぐぬ……!!」

セレストは立ち上がって斧を持ち、地面に擦らせながら振り上げた。

爆発が、ジェットに向かって迫る。

「かぁあっ!!」

その爆発を、思いっきり気合で吹き飛ばす。

しかし、爆煙の中からセレストが迫ってきた。

「がぁあっ!!」

「!!」

顔面を掴まれ、そのまんまぶん投げられる。

ジェットは、壁に叩きつけられた。

「ぐはぁ……!!」

「消えろっ!!」

ついでに、大斧の兜割りも迫ってくる。

「!!」

転がるようにそれを避けて、セレストを見る。

「はぁあっ!!」

次は、横一文字の薙ぎ払いが迫っていた。

それを倒れるように避けて、セレストの足にローキックした。

「ぐっ!?」

「だぁっ!!」

起き上がると同時に、ボディブローを叩き込む。

そして左の拳で、その顔面を打ち抜いた。

「ぐぁ……!!」

セレストはよろめき、後退する。

「シャオラァッ!!」

間髪入れずに、その顔面に両足蹴りを炸裂させた。

「……っがは……!!」

今度こそ、セレストをダウンさせた。

「はぁ……はぁ……!!」

勝てる。

このまま行けば、確実に……

「……バカめ。」

セレストが不適に笑うと、ジェットの背後の壁が大爆発した。

「!?」

ジェットは背中に爆発を受け、ぶっ飛ぶ。

「がぁあっ!!」

倒れていたセレストが、両足でジェットを蹴り上げた。

「おうぅっ……!!」

ジェットは上にぶっ飛んで、宙を舞う。

「はぁああーーーっ!!」

ぶっ飛んだ先に回り込み、斧に魔力を込めてジェットに兜割りを放った。

「!!!」

そのまんま地面にまで叩き下ろされ、凄まじい爆発と共に大地にも瓦礫が立った。

「ふふふ……呆気なかったな……勇者よ……」

確かな手応えに、この威力の技を放ったのだ。

生きている筈がない……

そう思って、斧の先を見てみる。

「……!!?」

ジェットが、居ない。

痕跡すら残さず、消えてしまっているのだ。

「な、なにっ!?どこだっ!?」

斧でぶった斬ったから、消し飛んだとしてもそれなりの痕跡がある筈だ。

それすら無く、消えてしまった……

「逃げたのかっ……!?」

斧を構えて、辺りを見回す。

しかし、それなりの大きさの瓦礫が立っていて、視界が悪い。

「……はぁっ……はぁっ……!!」

ジェットは、瓦礫の陰に隠れていた。

胸から腰にかけて斬撃が入っており、血がドクドクと出ている。

「……くっ!」

傷口を凍らせて、止血はしておく。

とはいえ、このダメージだ。

これ以上の戦闘は、危険だ……

そう思っていた、次の瞬間だった。

「がぁあっ!!」

「!!!」

ジェットの真横にあった瓦礫が、爆発で吹き飛んだ。

「どこだ……!?」

「ひ、ひえぇ……!!」

マジで心臓が止まる、一歩手前だった。

しかし、ここで死ぬ訳にもいかない。

「……よし……!」

ジェットは瓦礫の陰に隠れながら移動して、セレストの背後に回った。

気付かれずに、背後を取ることに成功した……

「おらぁああっ!!」

「!!?」

セレストが、振り返る。

次の瞬間、剣が右の胸に突き刺さって、貫通した。

「ぐぁああああっ!!?」

「や、やった……」

そう思っていたが、セレストの目がこちらに向いた。

「ふんぬっ!!!」

ジェットは、思い切りアッパーでカチ上げられていた。

「ぐはぁあっ!」

「つぇえいっ!!」

剣が、ジェットに向かってぶん投げられる。

わりかしジェットは冷静だったようで、難なくそれを受け取った。

「ふふふ……バラバラになるがいい!!」

「!!」

セレストは斧を上に向けてから、扇風機のように高速回転した。

なるほど、直に受ければバラ肉になること間違い無しだ。

そう思考してる最中にも、体はあの斧のシュレッダーに落ちていく。

そして、そこに到着してしまった。

「はははははははっ!!」

「うぉおおおおおっ!!!」

ジェットは、シュレッダーに合わせて体を高速回転させた。

「な……痛っづ!!?」

セレストは斧を取り落とし、ジェットは上手く着地する。

「はぁっ……はぁっ……死ぬ寸前だった……!!」

「〜っ!!!」

セレストの手には、無数の斬撃が叩き込まれていた。

「貴様っ!あの斬撃を避けながら私の手を剣で切り裂いたと……!!?」

「ああ……」

ジェットは上半身の服を破き捨て、裸になる。

そして、剣と拳を構えた。

「はぁああ…!!」

「はぁっ……はぁっ……!!!」

息切れを起こしながら、セレストは斧を取って構える。

おそらく、これがファイナルラウンドだ。

決めるしかない。

「だっ!!」

ジェットが、セレストの懐に潜り込む。

そして、渾身の力を込めて剣を振り上げた。

「なんのっ!!」

セレストは斧で剣の斬撃を防ぐ。

案の定、爆発が巻き起こった。

「ぐ……!!」

「死ね……!!」

ジェットの頭に向かって、斧の薙ぎ払いが迫る。

ジェットはしゃがんで避けて、セレストに足払いする。

「ぐ……!?」

すっ転ばせたが、すぐさまセレストは立ち上がって突っ込んできた。

「せいやっ!!」

その顎を、ハイキックで蹴り上げる。

「!!」

直撃して、揺るがせた。

しかし……

「ふんっ!!」

セレストは、斧を思いっきり振り下ろしてくる。

しかし、ジェットは分かっていたかのように笑った。

「……っそこだよ!」

剣を持ち直し、峰の方で斧に向かってフルスイングした。

ホームラン級の打撃が斧に炸裂して、粉砕してしまった。

「な……何ぃいいっ!!?き、貴様……!!!」

「……触れたら爆発するお前の斧、無意味に斬撃する訳がねぇだろ。」

「……!!!」

ぶつかり合った時の、あの渾身の一撃……

あの一撃が、斧に脆弱性を付与していたのだ。

「さぁ、反撃開始だ!!」

「ま、待っ……!!くっ!!」

ジェットとセレストは素手のまんまぶつかり合って、殴りあった。

「このっ!」

セレストの拳が、ジェットの顔面を打つ。

「しゃあっ!!」

反撃と言わんばかりに、ジェットの拳がセレストの頬を打ち抜いていた。

「か……!!このクソガキ……!!」

セレストは血を吐きながら、ジェットにパンチを放つ。

「ふっ!おらぁあっ!!」

ジェットはそれを避けて、セレストの顎をアッパーした。

「あがっ……!!しゃああっ!!」

強靭な足での、蹴りが迫ってくる。

「よっ!」

その足に肘打ちして、止めた。

セレストの足が、悲鳴を上げる。

「おぅうっ……!!?」

一歩下がり、悲鳴を上げる足で踏ん張る。

そして、ジェットを見据えた。

「かぁっ!!」

腕を振るように、拳がなぎ払われる。

「そこだっ!」

ジェットは懐に入るように避けて、脇腹に拳を叩き込んだ。

「あがっ……!!!」

今の一撃が、見事にクリティカルヒットしたらしい。

セレストは、吐血しながら震えて、白眼を剥きかけていた。

「ば……か……な……!!に、人間ごとき……に……!!こ、拳で負けるなど……!!」

「拳で負けんのが癪なら、ケリ(・・)をつけてやる!!」

ジェットはそう言いながら、まずセレストの顔面に足刀した。

「が……!!?」

「だだだだだだぁっ!!」

体に蹴りを何度も叩き込んで、脇腹に思いっきり回し蹴りする。

「おぅうっ……!!」

「ででぃっ!!」

次に、両の膝を足尖(つまさき)蹴りで打ち抜いた。

「!!!」

膝を砕かれて、足から崩れるセレスト。

「しゃああっ!!」

その顔面を掴んで持ち上げ、顎に膝蹴りを叩き込む。

「がっ……は……!!?」

セレストは、完全に崩れた。

ダメージにダメージを重ねて、ようやく弱みを見せてきたのだ。

ならば、あとはその弱みをフルパワーでぶっ壊せばいい!

そう……これは……いわゆる……

……勝機っ!!

「これで終わりだ!!」

ジェットは飛んで、体を回転させる。

その回転が最高速度に達した瞬間に、足にフルパワーを込めた。

「だぁらぁあああーーーっ!!!」

「!!!!」

フルパワーを込めた最高威力の蹴りが、セレストの顔面に直撃する。

セレストはものすごいスピードで、ぶっ飛んだ。

10mぐらいぶっ飛んで、ようやく止まる。

その顔面は、口から上が完全に潰れていた……

「か……!!む、無念……魔王……さ……ま…………!!」

セレストはガクッと倒れ、戦闘不能になった……

これで、勝敗は付いた。

「……よぉおっし!!」

ジェットは、見事にセレストを撃破する事が出来た。

こうして、勇者は魔物盗賊団のボスを打ち倒したのだった……

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