第29話:恥
ホノカ達は無事にイグラシア国内に入り、イグラシアの門で入国手続きをしていた。
しかし…
「確かにペンドラゴンの貴族が来る事になっているが、お前らなぞ知らん。
帰れ!」
門番と揉めていた。
既にこの門で1時間以上待たされている。
「そんな筈ありません!上の者を出してください!貴方では話になりません!」
ショウリは門番を怒鳴るが…
「思い通りにならないとすぐそうやって上司を呼ぼうとする」
門番はショウリを煽る。
馬車の中のホノカ達とショウリと門番の見ていた。
「ショウリさん怒ってます…」
馬車にいるマイナはショウリと門番のやり取りを見て不安になっていた。
「あの門番…俺たちの事を知っていてワザと煽ってるな…」
(「恐らくコイツらに改革派の貴族が手を回している…」)
ホノカはスキルで門番が嘘をついている事に気づいていた。
「そうなんですか?どうしましょう…」
マイナは不満になる。
「少し手を貸してやるか」
「ホ…ヴィクトル様!此処は他国ですよ!問題を起こしてはいけません!」
ホノカはヴィクトルとして留学することになっていた。
「安心しろ…」ニヤ
ホノカは悪い笑みを浮かべ、姿が消え去る。
「え!?ちょっ!ヴィクトル様!?」
姿が消えたホノカを場所中を手探りをし始めるが、ホノカはもうその場にはいない。
「わかったならさっさと消え…」
ズル
門番のズボンが脱げる。パンツごと…
「「「なっ!」」」
「え!?」
ショウリと門番達は不測の事態に声を上げる。
「くっ!」
門番は急いでズボンを上げようとして、前屈みになるが鎧の重みに耐えられずに顔面から地面に激突する。
「ぐえ!」
ゴキ
門番は立ち上がろうとするが、急いで立ち上がろうとしたため、腰に負担がかかりギックリ腰になってしまう。
しかも痛みのあまりに声が出ない。
「「「ぷっ…」」」
ショウリと門番達は転けた門番の滑稽な姿につい笑ってしまう。
「くぅぅぅ…」
転けた門番は唸りながら、まるで芋虫のようにズボンを履いていく。
「貴様ら助けろ!」
門番はズボンを履き終えると部下に助けるように怒鳴りつける。
「は、はい!」
部下は手を貸すために近寄ろうとするが…
ツルン
「ごふ」
何故か足を滑らせて転倒してしまう。
「おい!何をしている!?」
門番はマヌケな姿で部下を怒鳴る。
「す、すみません」
部下は謝罪し立ち上がろうとするが、足が滑って立てない。
それを見た他の門番達が彼らを助けようするが…
ズルン、ズルン、ズルン
全員が足を滑らせて立てなくなる。
「おい、一体何をしているんだ?」
馬車に戻ったホノカが知らぬ顔で頭を出す。
ショウリは笑いを堪えながら、ホノカに説明する。
「ヴィクトリ様。それがこの方達が…ぷっ、足を滑らせて…」
「そうか…ならば我々は先に行こうか」
ホノカは先に行こうとする。
「お、おい!待て!」
門番は這いずりながらホノカ達を止める。
「勝手なことをするな!貴様らを入れる訳には行かない!」
「安心しろ、近く衛兵を呼んでやる」
「それは駄目だ!」
「?、何故衛兵を呼ぶのが駄目なんだ?この王国を守る同じ兵士だろ?」
「そ、それは…」
門番は言い淀む。
(「衛兵は改革派の手が回っていないのか…」)
ホノカは門番の様子で推測を立てる。
「俺たちに言えないなら、仲間に話せ、ショウリ馬車に戻れ、学園へ向かうぞ」
ホノカは門番を放置してイグラシアへと入国する。
「おい!待て!待て!待てと言っているだろ!頼む!待ってくれー!」
門番はとうとう懇願するが、ホノカ達はそれを無視して馬を進める。
「もしかしてあれはヴィクトル様が?」
ショウリは真剣な表情でホノカに質問をする。
「ん?何の事だ?」
ホノカはショウリにも知らん顔する。
マイナは詳しくわかっていないがホノカがやったことは知っているため、ホノカに合わせて頑張って真顔で黙っている。
「はぁ…わかりました…」
ホノカとマイナの様子を見て、ショウリは諦めた。
こうしてホノカ達はイグラシアのエストゥディアル学園の貴族寮へと向かっていく。
(エストゥディアルの受付口)
受付の爆乳黒人女性がホノカを舐めるように見つめる。
ホノカはその目線に困っていたがショウリは黒人女性に見惚れいた。
マイナは綺麗な女性にタジタジな二人に呆れていた。
ホノカは耐え切れず話を進める。
「手続きが済んだのなら寮に行きたいんだが…」
「かしこまりました。ではわたくしが寮まで案内致します…」
「え?」
ホノカはまさかの展開に声が出てしまう。
「何か問題でも?」
受付嬢はホノカに微笑み質問する。
「い、いいえ、お願いします」
ホノカは受付嬢に押し負けて案内をお願いします。
(「ポーラがいなくてよかった…」)
ホノカは自然とポーラがいない事に安堵する。
ホノカはそう考えながらも、受付から出てきた受付嬢の胸ではなくお尻を見てしまう。
「ふふ」
受付嬢はホノカの目線に気付き微笑する。
「うっ」
笑われていることに気づいたホノカは無意識にお尻を見た事に気づき、急いで目線を逸らす。
「此方へどうぞ」
受付嬢はお尻を見たことを注意せずに寮までの道のりを案内する。
ホノカはマイナと目が合って気まずくなる。
マイナは男性のこういうのに理解があるが、ホノカの英雄譚を知っているため、少なからずガッカリしていた。
ショウリは相変わらず受付嬢に見惚れていた。
そして寮に着き受付嬢が説明する。
「此方が明日のクラス決めまで滞在することが出来る貴族寮となります」
「わかりました。ご案内助かりました…」
マイナが頼りない二人に変わり挨拶をする。
「それでは」
受付嬢を会釈をして、受付に戻っていく。
「す、すまない…」
ホノカはマイナに謝る。
「いいんです!魅力的な女性でしたし、男性がああゆう女性に弱いのは理解がありますから…それより…ショウリさん!」
バシン
「痛!」
マイナは受付嬢が去ったにも関わらず惚け続いていたショウリの頬をビンタする。
「な、何するするんですか!?」
ショウリはビンタされた事により漸く正気に戻る。
「全くお仕事もせずに女性にデレデレしちゃって!」
荷物はマイナとホノカが運び、惚けていたショウリは何もしていなかった。
「え?、此処は寮じゃないですか!?」
ショウリは寮に居ることに気づいていなかった。
「…」
マイナは呆れて言葉も出なかった。
「ホノカ様、私は隣の部屋に居ますので御用がありましたら、お呼びください」
「あ、あぁ…」
「失礼致します」
マイナは一人だけ執事用の部屋と行く。
「ちょっとマイナさん…」
ショウリはマイナを呼び止めようとしたが、マイナはショウリを無視して部屋と入り…
ガチャ
鍵を閉められる…
ホノカはそんなショウリの肩を叩いて励ます。
いいね、感想、Twitterフォロー、ブックマーク登録、誤字報告などより良い作品を作る為、活動の原動力になるのでご協力お願いします。
Twitter▶︎@inuboshi_fatowl
お待たせして大変申し訳ございません。
そして今回から三章が終わるまで1週間ごとに投稿致します。