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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第三章 邪神始動編
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第26話:緊急会議

ホノカは誕生日パーティーを終えて、

イグラシアへ向かう打ち合わせをする為に、王宮の執務室でオーレン達と話し合うことになっていた。


この打ち合わせにはオーレン、ブレン、ガルルグ、ゴルロージが参加していた。

そしてガルルグだが今回の件の不安から体調を崩して以前の筋骨隆々な姿はそこになかった。


今はブレンがイグラシアの情勢を説明していた。


「イグラシアは現在…他国に侵攻する予定はないようです…ですが、情勢が不安定になっています。今迄制御下にあった闇ギルドが暴走、治安が悪化しています」


侵略国家のイグラシアには正規の冒険者連合ギルドがない。その変わりに複数の闇ギルドが存在していて、イグラシアは闇ギルドに上納金を納める事である程度のことは目を瞑っている。そして上納金を納めれない場合は国軍で討伐して見せしめにしている。

しかし、ここ最近でのその仕組みが機能しなくなっていた…


「それは恐らく…」


「教団が関わっているだろうな」


「英雄殿、それは本当なのですか?」

不安で今にも吐いて倒れそうなガルルグはホノカに質問する。


「あぁ…詳しい事は俺にもわからないが教団の幹部がイグラシアに関わっているのは間違いだろう…」


「そんな…」


ガタン


ガルルグはショックのあまりに椅子に座っているのにも関わらず倒れてしまう。


「叔父上!」

オーレン達はガルルグを介抱しようとするが…


「すまない…大丈夫だ。話の続きをしよう…」

ガルルグは皆の手を払い退け、這いずる様に椅子に座る。


「サンダーボトル公爵…コルナ嬢の事は心配する気持ちはわかりますが…お休みにならないとお身体が保ちません…」

ブレンがガルルグの体調に気を使うが…


「…、無理だ。君も知っているだろう…?あの子は私の大切な愛娘…だから…休んでいらないないよ…」

やっとガルルグは無理に椅子に座る事ができ、会議を続けようとする。


カクン


「え?叔父上!?」

オーレン達はガルルグに近づくと…


「zzzzzzz」

ガルルグは眠っていた。


「寝ている…?」


「悪い…見ていらなかったから魔法で眠らせた…」


「いや、助かったよ…」

オーレンはホノカに感謝する。


「イグラシアの情勢が悪くなってから…この調子みたいなんだ…」


騎士が入ってきて、担架にガルルグを載せて拘束する。


「サンダーボルト公爵を医務室へ、暫く寝させて、3時間以内に起きるようなら取り押さえて王宮医務官に麻酔薬を打たせなさい」

ブレンが騎士達に指示をする。


「「「はっ!」」」


騎士達は担架を持ち上げてガルルグを連れていく。


「娘を大事にしてたんだな…」

ホノカは率直な意見をつい口に出してしまう。


「あぁ…無理もない…今は亡き義叔母上の忘れ形見だからね…」

オーレンが悲しそうに語り始める。


「奥さんが死んでたのか…?」


「あぁ…コルナ嬢を産んだ5年後にね…」


「そうか…」

(「それは余計に残酷的だな…」)


「二人は貴族では珍しい恋愛結婚でね…でも義叔母上は身体が悪くて…子供は望めなかったんだ…でもご本人は子供を望んでいたんだ…

コルナ嬢を産む時はだいぶ難産だったらしくてね。

そして子供をお産みになってから月日をかせるね事にお身体が悪化してそのままお亡くなりに…」


ホノカはオーレンから聞いた話とは別に疑問に思う。

「ちょっと待て護衛とかはいないのか?」


「それが…」


少し言い淀んでいたオーレンの代わりにブレンが語り出す。

「実は裏切り者が出てたのです。

メイド1名と執事1名がコルナ嬢に毒を盛ろうとしました。しかもメイドはコルナ嬢の幼い頃からの専属メイドで執事はサンダーボトル家の執事長の孫だったんです」


「なんでそんな二人は裏切ったんだ?」


「わかりません…食事に毒を盛っているところを現行犯で捕らえたその場で自害したのです…」


「そうか…主犯は解らず終いってわけか…」


「それは検討がついております。」

ブレンは情報網と間者で主犯の検討がついていた。


「そうなのか?」


「恐らくではありますが、イグラシアの改革派だと思われます」


「改革派…?」


「はい…イグラシアは現在…今迄通り他国を侵略する王の守旧派、他国と友好を結びたい有力貴族の改革派が対立しているのです。

その改革派がコルナ嬢を殺して、それを守旧派に濡れ衣を着せて我が国とその同盟に守旧派を潰させようとした…という情報が上がっています」


「何…!?」

ホノカはブレンが聞かされた内容に驚愕する。

(「アリゲトロイといえば力と知恵で国を完全に牛耳っていて…他国から暴君…自国からは仁君と呼ばれていて、そしてプレイヤーからは『相反の君主』と恐れられ人気も高いNPCだったのに…反対勢力を許すなんて…」)

ゲームのアリゲトロイを知っていたホノカにとって今のアリゲトロイの現状が信じられなかった。


オーレンは不安な顔になり話出す。

「元々そういう反対勢力はいたみたいなんだけど…僕の政策が国王の反対勢力を助長させたみたいなんだ…」

オーレンは少なからず自身の所為で他国を混乱を起こしていると思っていた。


「気にすんな…改革をするために他人の命を奪おとしたり、自分達ではなく他人を頼ろうとした奴らだ。

そんなカス野郎共に気を病む必要はない」

ホノカはホノカなりオーレンを励ます。


「ホノカ…君は相変わらず優しいね」

オーレンはホノカの言葉のお陰で少なからずではあるが肩の荷が軽くなった。


「話を戻してもいいですか?」


「あぁ」「大丈夫だよ」


「イグラシアに潜入するに当たって『黒刀』殿には頼みたい事があります。」


「頼み?」


「はい、潜入ではS級冒険者『黒刀』ではなく…変装をして貴族子息として行ってもらいたいのです。」


「…」

ホノカは未だに貴族に不快感があった。


「不快に思われるかもしれませんが…どうかお願い致します」

ブレンは深々と頭を下げてホノカに頼み込む。


「あんたがそこまでするって事はちゃんとした理由があるんだな…」


「はい『黒刀』殿の父君であらせられるクーガ・トライーガ様はイグラシアとの戦争で最も功績を残した方です…」


「成る程…イグラシアにとって父上は思い出したくもないトラウマなんだな…」

ホノカはブレンの言葉である事を察してしまう。


「はい…」


「そうか…俺が父上の子どもってことも知れられているんだな?」


「その通りです…」


「わかった…あんたの言う通りにするよ…」

ホノカは少し不安そうな顔でブレンの頼みを了承する。


「ありがとうございます…あと一つ頼みたい事が…」


こうしてホノカ達は潜入するにあたっての細かな設定や緊急事の段取りをとり決めていく。


(王宮の庭)


ポーラはヴィオラ、ミレアと庭で談笑(会議)をしていた。

ポーラの側にはウル四郎が、その上空にはカブ五郎が滞空していた。


「私、コルナお姉様に会いたい…」

ミレアは俯きながらポーラ達と自身の悲痛の思いを語る。


「ガルルグ叔父様も心配でお身体を悪くしてしまわれて…」


「ミレア殿下、お心配される気持ちはよくわかります…コルナとは私もよく遊んでいましたから…

ですが…今の私達に出来る事はありません。

一緒にイグラシアに向かうホノカ君を信じて待ちましょう…」


「グス…はい!ヴィオラお姉様!」


「安心してお兄ちゃんならきっとお姉さんを守ってくれるよ!

私もお兄ちゃんを手伝うから任せてください!」ドヤ

ポーラはミレアを励ましつつも兄を自慢して、腰に手をあてて胸を張る。


「ポーラ様も戦うことができますの?」


「うん!」


ミレアはポーラを信じることが出来ずにヴィオラの顔を見る。


「ポーラちゃんは私や陛下より強いですよ」

ヴィオラは笑顔でその疑問に答える。


「え!?、ほ、本当に…?」

ミレアはヴィオラの事を信頼していたが、信じきれずに今度はポーラ自身に聞く。


「うん!、ウルちゃん!」


「なんでしょう!」


「組手しよう!」


「わかりました!」


ポーラはミレアに自身の実力を示すためにウル四郎ととの組手をすることにまった。


「流石にそれは…」

マズイと思ったヴィオラが止めようとするが…


「いくよ!」


「はい!」

ポーラとウル四郎には聞こえていない。


「とう!」(“発勁”)


「ガァ!」(風魔法 ウインドブレス)


ボン!!!


ポーラ達の攻撃が激突により衝撃波が生み出す。

それにより城が軋む。


二人は今度は互いに距離を詰める。


「ふん!」「やぁ!」


ウル四郎の尻尾とポーラの蹴りが衝突する、その刹那…


パシ


バコン


ウル四郎の尻尾を掴まれ、ポーラの蹴りは突如出現した木壁により阻まれる。


「ポーラ様」


二人を止めたのはカブ五郎だった。


「カブちゃん、どうして止めちゃうの?」


「ポーラ様、ここは戦闘を行う場所じゃありません。このままだとホノカ様に怒られてしまいますよ?」


「そうなの…?ごめんなさい…」


「中ではきっと騒ぎなっていますよ?一緒にホノカ様に謝りに行きましょう」


「うん。ありがとうカブちゃん」


「これくらい構いません…」


ポイ


カブ五郎は掴んでいたウル四郎を捨てる。


「お前はこのお二方をお守りしろ。

勿論あとで一人で謝りに行け、馬鹿犬」


「う…うん…」

ウル四郎は怒ったカブ五郎にタジタジで返事をすることしか出来なかった。


ポーラは落ち込み悲しそうな顔でヴィオラ達の事を見る。

「ヴィオラちゃん、ミレアちゃん…今からお兄ちゃんに謝りに行ってくるね…」


「「は、はい…」」

二人はあまりの衝撃波に呆然としていたが、なんとかポーラの言葉に反応する。


ポーラはカブ五郎の手を繋ぎ、ホノカの元へと向かう。


「凄った…」


「そうですね…」


二人は暫くその場で惚けて時間が過ぎていった。

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