第16話:VS剣聖
(ホノカ視点)
急に剣聖が現れた。
「すまないね、授業中に」
「「「「キャーーー」」」」
女子の黄色声援が飛ぶ。
羨ましい…
「どうして此方に?」
ナイス先生、本当にどうして?
「実は学園長室でトーカ君の戦いぶりを見ていたんだよ。そしたら居ても立っていられなくてね」
俺と戦いたいってこと?
「やぁ…トーカ君。いや『黒刀』殿」
「どうも」
「前置きはもう無しだ…僕と戦ってくれないか?」
やっぱり。
「俺は別に良いですけど…」
オーレンいいの?お、頷いてるって事は良いんだ。
「じゃあお受けします」
「受けてくれてありがとう。だが、私はこの後予定があってね。空いている日はもう学園長殿に伝えている、君と学園長で日を決めてくれ」
コイツ…自分で挑んだくせに他人任せだな…
「かしこまりました」
「それでは」
帰っていきやがった。
「ごめんよ。彼は受けないとずっと付き纏うから…」
オーレンが申しわけなさそうに、俺に謝ってくる。
「なんかそういう感じするよ…」
「国王より脳筋でね。しかも戦闘狂で強い人を見つけると戦いを挑む悪癖があるんだ。」
最悪だな。
「最悪だな」
おっと声にだしてしまったー(棒)
「僕もそう思うよ」
同意するほど面倒くさい奴なんだな…
(学園長室)
「申し訳ないね…トーカ君。私が観戦していたら彼が別件で訪ねてきてね…彼は鼻が聞くんだ。あそこで見せないと君達のクラスだけでなく他のクラスの授業の邪魔される可能性が高かったんだよ」
「学園長が謝る必要ないですよ」
いやマジで。
「そう言ってくれる助かるよ。さて日取りなのだが三日後で構わないか?」
「はい。お任せします」
てかこっちに決定権ないだろ?
「私の方から剣聖殿にその旨を伝えておくよ。
次は錬金学の授業だろ?早く行きなさい」
「そうでしたね、では」
◇
(廊下)
女子生徒3人が会話をしていた。
「聞いた?聞いた?」
「何?何?」
「剣聖様と野蛮人が決闘するだって!」
「本当?!」
「殺されちゃえばいいのにね?」
「「「ねー」」」
(1年二級の教室)
二級の男子生徒が談笑していた。
「剣聖の話聞いたか?」
「あぁ、剣聖が変わった方だって聞いたぞ」
「そうらしいな…何でも相手が自身と戦わないと相手の女家族と寝て、戦うように仕向けたとか…」
「違う違う。国王だか公爵に無理言って王命とかで無理矢理に戦わせたんだよ」
「いや俺は…」
生徒達は剣聖の悪い噂を話すが、これ全てが真実である事は剣聖しか知らない。
「ニルビはどう思う?」
「僕は良い武器が観れればいいかな…」
ニルビはニキビは相変わらずだが、スリムになってイケメンになっていた。
「だよなーS級冒険者と剣聖の武器って一体どんなの使うんだろうな?」
「俺ら二級の生徒の楽しみはそこしかないもんなー」
(教師)
「もしかしたらトーカ君の本気を観れるかもしれませんね」
「何を言うかと思えば流石のS級といえどまだ幼い、経験豊富な剣聖殿には敵わないでしょう」
「S級の『黒刀』といえば他国王子でS級『宝剣』を打ち負かした話を知らないのですかな?」
ホビットの教師は身を乗り出して話す。
「落ち着いてください…子供じゃないだから…」
「これは失礼…」
「ですが男と男の戦い子供に戻ってしまうのも致し方ないですよ」
「確かに」
「「「「ハッハッハ」」」」
普通の教師陣はホノカと剣聖の戦いを楽しみにしていた。
(教員室の横の給湯室)
光神教の教師達が隠れて話していた。
「剣聖様には感謝ですね。我らと同じ光神教の恩寵を授かりし者、利害が一致しましたね」
剣聖が学園長が観戦しているタイミングで来た理由は彼らが、剣聖をそう唆したからだ。
「剣聖様が負けることはまず無いでしょう」
「えぇ、もっと言えばあの野蛮人を再起不能にしていただきたいですね」
「確かに」
「「「「ハッハッハ」」」」
三日後
学園の闘技場は生徒や教師だけなくその親も来て満員状態になっている。
ホノカは依然と同じ装備を、セルーラは戦闘用の装備をしてきていた。
「観客いるんかい」ボソ
「気になるかい?」
ホノカの独り言にセルーラが反応する。
「五月蝿いのは嫌いなんでね」
「私も人に注目されるのは苦手だよ」
(「コイツ嘘ついてんな…」)
ホノカの“嘘感知”が起動していた反応した。
カッコつけているが、セルーラは人に注目される事が闘う事と同じくらい好きだ。
(「一応“鑑定”と」)
氏名セルーラ・セイバー
所属 ペンドラゴン王国
種族 人族
Lv.115
第一職業 剣聖
第二職業 聖騎士
称号 名誉伯爵
(「盾も持ってないのに…無駄な事してるな…」)
剣聖とは剣士、騎士等の高位職にあたる。剣王をよりも成り易いが、その分剣技スキルのダメージ補正が低い。
これは「ミソクリ」やこの世界でも同じ事だ。
騎士は剣、槍、盾が適正装備だが、最初魔剣士だったセルーラは盾や槍の戦い方が出来ないが、カッコいいので成っている。
セルーラは本来は騎士爵家だったが、彼が魔剣使いだったため名誉伯爵を授かっている。
因みにこの学園の三級クラス出身である。
「剣聖様こっち見て!」
「剣聖様!そんな奴殺ちゃって!!」
「野蛮人に貴族の誇りをみせてやれ!」
「頑張れよ!一年坊」
「寝取られた兄貴の仇を取ってくれ!」
生徒達は野次が飛び交う。以外にもホノカへの声援もある。
(「あのガキ、顔覚えたからな」)
ホノカは自身に罵声を浴びせる奴の顔を一人残らず覚えていた。
数人の生徒、教師がこの後下痢になり、一日中トイレから出れなくなった。
「両者前へ……礼!」
「楽しみにしてたよ」
「…」
ホノカはセルーラの挨拶を無視をする。
セルーラは無視された事で少しだけ眉間に皺がよる。
「はじめ!」
「我が力よ
聖なる力を武器に纏わせよ!
付与魔法エンチャント・聖」
セルーラは詠唱をして戦う準備をするが、ホノカはそれを何もせずに待っていた。
「何もしないのかい?」
「あぁ、別に」
ホノカはセルーラの目立ちたがりを知っていてわざと煽る事をした。
「そうか。後悔するなよ」
セルーラは今度はあからさまに不機嫌になり、ホノカに襲いかかる。
「“剣打”、“剣撃”、“剣爪”…“剣・絶技 剣王打”」
(“峰打ち”)
ホノカは刀でそれを受け止める。
(「ビクともしない!」)
セルーラは自身が力負けしている事に驚愕する。しかも、セルーラは両手だけ出なく脚が闘技場のコンクリに減り込むほど力を入れているのに、ホノカは片手で受け止める。
「くっ」
セルーラは一旦距離をとり体勢を整える。
「“剣打”、“剣舞”、“砲剣”…“剣・絶技 剣王連撃砲”」
(“斬波”)
ホノカは一撃で全ての攻撃を迎撃する。
「そんな…馬鹿な…」
セルーラは驚愕し身体が震える。
「嘘でしょ…」
「応援して損した。死んでほしい」
「剣聖ってそうでもないのね…」
「我々に恥をかかせるつもりか!?」
観客…生徒や教師、貴族達が剣聖にガッカリしていた。
「はぁ…雑魚どもが」
ホノカは観客の掌返しに辟易する。
「しょうがないさ、僕にはそれだけの期待がかかっているんだ。だから僕は負ける訳にはいかないんだ!」
「って言う割にはあんたS級は俺と闘うのが初めてだろ?」
「な、え?」
「知り合いの婆さんに聞いたんだ。あんたが今まで、何人のS級と戦ったか。答えは0人で意外でビックリしたよ。
オーレン…殿下とか学園の教師達はあんたは闘うのが好きだって聞いていたのに誰とも闘った事が無いなんて」
ホノカはこの三日間、自分勝手な剣聖鼻っ柱をへし折るために情報を集めていた。
セルーラはA級になったばかりの者や王国軍に入隊したばかりの期待の新人など経験の浅い者とだけ闘ってきた。
「そ、それは…」
「…あんたは勝てそうな相手だけを選んでたんだろ?」
「ち、違う!!」
セルーラは否定しながら剣技で攻撃し続ける。
「じゃあ村の期待を背負った軍の新人を怪我させたり、
他国の名高いS級冒険者との親善試合を断ったり
地方で有名なA級冒険者の妹と寝て『妹と結婚して欲しかったら戦え』って脅して戦い、ソイツの顔を傷つけた挙句、約束を守らずにいるんだ?」
ホノカは攻撃を受け止めながらホノカが調べ上げた剣聖の悪行を話続ける。
「違うと言っているだろうが!!!?!」(“剣・絶技 覇王剣”)
セルーラは真実を誤魔化す為に怒りに任せて襲いかかる。
「“峰打ち”」(“刀・超技 連続峰打ち”)
ガシャン
鼻、肩、手首、腹と他34箇所、計38ヶ所に連撃を喰らったセルーラは激痛により気絶した。
因みこの38ヶ所はホノカが調べてあげたセルーラが傷つけられた者達と同じ場所だ。
「そ、そこまで!勝者トーカ!」
「「「「「うおおおおお」」」」」
闘技場に歓声が拡がる。主に男子生徒の。
「この前の奴とそう変わらないな…」ボソ
ホノカは弱すぎた大会で戦った他国の王子と目の前で痙攣している剣聖を重ねて二人の偽物の強者に呆れる。
そしてセルーラはこの事がショックで不能症になった。
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