表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第五章 英雄の師匠編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

188/188

第43話:烏

(???)


 燃え盛る邸に初老の男性が倒れていた。

男性は片目を潰され、更には手と足は切り落とされ、業火の中で身動き取れないようだ。


 そんな初老の男性に近づく男がいる。


カツン


 男は黒いスーツに黒いコート、更には黒い革靴…全身を黒で覆い、その姿はマフィアを想わせる。


カツン

 

 彼が歩く道には配下と思われる似た服装を見に纏う男達が並んでいた。

 

「これで世界最大の商会は私の物です」


「…」


 初老の男性は男の言葉を黙って聞いている。


「力で奪われないように貴方自らが鍛えた弟子達は私の配下には勝てなかった…

やっぱり貴方は正しかった。

優しさとか絆より、脅し、虐げ、隷属させる方が強くなる。

貴方が教えてくれたことだ。ドラン翁」


 倒れている初老の男性はリントの祖父にあたるドラン・バルフムだった。


「…」


 ドランは男を呼び止める。


「一つだけ聞きたい…何故父を殺した」


 男の足はすぐに止まった。

しかし、男は振り返ることなく、背中を見せたまま問いに答えていく。


「意外ですね…貴方がそんな事を気にするなんて」


「…」


「ふっ…私の母を殺しておいて、息子が殺されるのはショックでしたか?」


 男の父であり、ドランの息子…

そう、この男はリントだ。


「…あの女はお前を人質にして、国へ支援を強要しようした…」


 今日より5年前、イグラシオンはペンドラゴンに戦争に負け、多額の負債を抱えてしまった。

イグラシオンはその負債の解決のためにドランを筆頭に貴族達へ借金をしようとしたが、ドランはそれを断り、

集まった金額も焼け石の水だった。

それに業を煮やしたイグラシオンの大臣達は国王アリゲトロイの許可を取らずに暗部を動かし、ドラン達に牙を剥け、結果、暗部の3割を失うという大失敗に終わった。

その暗部の中にリントの母がいた。


「それでも私の母です…」


 リントはやっと振り返り、無表情の顔をドランに見せた。


「貴方なら、貴方ほどの賢さが、この商会の武力があったなら、


もっと早い段階に母を諦めさせことも、

国を脅し、母を任務から解き放つことも…


僕を産まさせないこともできた筈だ」


 リントは一瞬だけ声を震わせ、もう一度ドランに近づき、側に突き立てられた剣を抜き取る。

そして…


ズシャ


(ナーニャ王国 王都周辺の森)


「うわ!!!」


 リントは飛び上がるように起きた。


 リントはモンゴルのゲルのような仮設テントで寝ていた。


 看病のためにテントの中にいたヴァレットが少し驚きながらもリントの目覚めに安心して声をかける。


「起きたか?もう事は終わった。

お前は一日近く寝ていたから、安静していろ」


 リントは目覚めの悪さから状況が飲み込めず歯切れの悪い返事をしてしまう。


「…え、あ、あ…はい…」


「いま、食べ物を持ってくる…

ゆっくり休め」


 ヴァレットはそんなリントの状態を戦闘の後遺症だと考え、重大に考えずに場を少し離れた。


はぁ…はぁ…


(「あれ?何だっけ…何を見たんだっけ…何か…何か恐ろしい…信じられないものを見たような…」)


 息を切らし、酷い汗を掻いているリントは夢で何を見たのか思い出せずに困惑する。


う…「痛っ…かは…」


 リントは体調悪さから吐きそうになるが胃が空っぽだったために、食道に酷い痛みを感じ首や胸を押さえる。

そして、リントは何で自分がこんなに苦しんでいるか思いもつかずに頭を抱える。


(「何だ!?何があったんだ…

そういえば…刺されたんだ。違う…そうじゃない…

こんなに苦しいのに何も思い出せない…」)


 リントの声にならない悶え苦しむの音にヴァレットが引き返し戻ってきた。


「おい…おい!どうした!?」


「…」パクパク


 リントは「大丈夫」と言いたいが、また苦痛で声が出ない。


「すぐ直してやる」


 ヴァレットは魔法を使いリントの痛みを和らげる。


「もう少し寝ていろ」


 ヴァレットはリントを寝かせ、リントは冷や汗をかきながら瞳を閉じていく。


(盾神神殿跡地)


 その頃、レイブンは盾神の神殿で物資を漁っていた。


「随分、継ぎ接ぎな設備だな」


 レイブンは神殿にレイエン達によって後付けされた魔導具設備を見ていた。


「なっ、オリハルコンが偏食している…」


 レイブンは儀式の核となっていたオリハルコンを見つけた。

オリハルコンは誰が見てもこれがまともな状態ではないとわかるくらいに変色して色が混在し、薄く黒みがかっていた。


「これは一体…日食のエネルギーに当てられたか?それとも主の…」


 レイブンはオリハルコンの変色した原因を推測し始めるが答えは勿論、自分が納得できる仮説も出てこない。


 レイブンは試しにオリハルコンに適当に魔法をかけると…


プシュー


 オリハルコンはまるで腐った食物のように崩れ落ちてしまった。


「はぁ…これでばリサイクルも無理だな…

もう…」


 レイブンは神殿がまた悪用されないように焼き払うとするとあるものを見つける。


「ん?これはペンダント?」


 レイブンが見つけたのはペンダントだったもので上の蓋が壊れてるうえに写真も焼けていてみることは出来ない。


「あのダークエルフの娘のか?」


 レイブンはここを利用していた人物がレイエン一人だったため、ペンダントの所持者がレイエンだと断定していた。


 レイブンは神殿を焼き払い、qるところに向かう。


「…」


 レイブンは墓標のように立っている長短のある槍に先程のペンダントをかける。

これはレイエンとその姉…いやそのクローン体の墓だ。


 レイブンは主であるホノカの敵であるレイエンの墓に手を合わせる。


「…」


 レイブンは拝むこと止めると哀れむ表情を墓に向けて何も言わずにその場を去っていく。


 また戻ってナーニャ王国の森ではなく街道…

リントは…ホノカ達と少し離れていた所にいた…

ビジネスバックのような鞄を持って…


「リント」


 リントが歩みを進めた方向から声がした。


「!?」


 リントはその人物の顔を見て驚愕すした。


「お祖父様…」


 何とリントの目の前には現れたのはリントの祖父ドラン・バルフムだった。


「何で此処に…?」


「まぁ、いろいろとな…少し座るか」


 ドランはリントを連れ、また少し離れた場所で腰を落ち着かせる。


「戻ってくるつもりか?」


「もう…いいじゃないですか。

十分ホノカのことは知れましたし、恩も売れたと思います…

だからもう帰らせてください…」


 リントは祖父に目も合わせずにただ自分の要望を出した。


「…」


 祖父であるドランはそんなリントの横顔を黙って聞いていた。

リントが言い終わると小さなため息を吐き語り出す。


「イグラシオンは今、変わっていってる。

今までの形態差別が無くなり始め、戦い向きじゃないと揶揄されてきた「兎」や「鼠」の小型の獣人が正当な評価を受けれるようになってきた。

それと私を含め、3人しかいなかった人族の貴族が今では全体の3割まで増えた…

今まで同じ獣人の国からすら敬遠されてきたイグラシオンも国交が増え始めている…

その分、アリゲトロイの小僧は悪戦苦闘しているようだがな」


 ドランのイグラシオンの近況を聞いているリントはまだ苦しそうな顔をしていた。


「何が言いたいんですか?

僕に戻って来いって言ってるんですか?

それとも帰って来るなって言ってるんですか?」


「それはお前の好きにしたらいい」


「え?」


 祖父の意外な顔にリントは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で初めて祖父の顔見続けた。


 ドランはそれに気づいていながらの話を続ける。


「お前はこの旅に何を見て、聞きいていたのか。

世界が荒れる中、弱いままの自分でいるのも、

自らの成長を止めるのもお前の勝手だ」


 祖父の言葉にリントは苛立つ。


「僕が手紙に書けたのは本の一部です!

お祖父様は教団のことを何もわかっていない!」


「そうか」


「僕も強くなった!幹部じゃないけど教団の奴らとも戦えるようになった!」


「そうか」


 リントは祖父の態度に業を煮やし、我慢が出来なくなり、祖父に自身の実力を見せようと襲いかかる。


バン、ガシ


 しかし、ドランは一瞬でリントを組み伏せ鎮圧させた。


「お前はあの方に促成栽培されたに過ぎない。

お前の戦闘技術は昔のままだ」


ドラン・バルフム(学龍の加護)

レベル2,700


 ドランはリントを解放した。しかしリントは起き上がらない。


「リント、あの方といればお前の身は安全だ。生き続けたいならそうしなさい

だが私ではお前のことは守れない…

戻ってくるならそれを理解して戻ってきさなさい」


 ドランはリントの側に紙を置いてその場を去っていく。


 そして、またところ変わってナーニャの森ではポーラはリントよりも早くに回復し、ホノカの手料理をイズモと一緒に頬張っていた。


 ポーラはすぐに目を覚まし、体調もステータスにも異常はない。

イズモも疲労から睡眠時間が長っただけで異常はない。


 しかし、ホノカは一人悪戦苦闘していた。


「はぁ…駄目だ…」


 ホノカは今回壊してしまった刀と前回壊してしまった槍の修復を試みたが、失敗してしまっていた。


「20回目だぞ…」


 形を直すという意味では修復は成功しているのだが、レア度が下がってしまい神級は疎か、龍級までに格を落としてしまっていた。


「このままじゃ素材が半分切るぞ…」


 ホノカは仲間との共有財産である資金とアイテムは使用してもすぐに補填するようにしていたが、星級装備の素材ともなると補填も難しいため手を出さないようにしていた。


 しかし、教団との戦いが激化していく中で装備自体がなくなることを懸念して修復を試みてしまった。


「やっぱ設備も簡易のものだし、そもそもDDじゃないと駄目だ…」


 ホノカは前世の仲間に思いを馳せて頭を悩ませ、頭を掻きむしる。


「素材集めに伊の大陸に行ってみるか…?」

いいね、感想、Twitterフォロー、ブックマーク登録、誤字報告などより良い作品を作る為、活動の原動力になるのでご協力お願いします。


Twitter▶︎@inuboshi_fatowl

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ