早苗の力
対して早苗達は二人協力しての結界を維持し続け、濁流が収まるまで耐え続ける。そして‥一瞬とも永遠とも思える時間が過ぎるとようやく濁流が弱まり川幅が徐々に元の幅へと戻り始める。
それを見た早苗は結界を解き、農民を連れて川を渡る。そしてそんな早苗の側にエラミーが張り付き、どこで何が起きてもいいように守る。そうして二人は最後の農民も無事助け、嵐達とも合流出来た。
「‥‥た、助かった‥‥」
「‥‥でも、この雨はいつまで降り続くんだ‥‥」
「‥‥やっぱりこの雨は雨神様の崇りなんだ‥‥」
農民たちは自分たちが助かったことに安堵しながらも、いまだ降り止まない雨に肩を落とす。だが、そこに‥‥
「大丈夫です!なぜならわたしたちが必ずやその雨神様を鎮めますから!」
と、早苗が大げさな格好をつけて断言する、と。
「本当ですか!巫女様!」
「もちろんです!」
「おお!噂どおりだ!」
「よかった~!これで助かる!」
自信たっぷりな早苗の断言を聞いた農民達の間から歓声が沸き起こる。
「ええ!‥‥ですから皆さんは安心して里に戻ってください!」
「‥わ、わかりました」
「必ず神様を鎮めてください」
そう懇願する農民達に対し早苗は‥‥
「もちろんです!お任せください!」
そう自信満々に胸を張ってそう言い切る。と、
『おお~!』
その様を見た農民たちの間から更なるどよめきが起き、中には早苗の姿を拝む者まで現れる始末。
対してそれを見た嵐は‥‥
「‥あ~あ‥‥全くこっちの苦労も知らないであんな安請け合いをして‥知らないわよ」
そう突き放した言い回しをしながらもわずかに口元をほころばせていた。
「‥いいではないですか。それをさせるために私どもがいるわけですから」
「‥‥まあ、そうなんだけどね」
「‥‥それに東風谷様のああした振る舞いもまた『人々に希望を与える』という意味では大事な事。それにああしたことは到底『私どもには出来ない』事ですからな」
「分かってるって」
嵐と風がそうしたやり取りをしていると、そこに農民の一人がやって来て‥‥
 




