哀しき過去、そして孤独
「‥ううう、あんたぁ‥どうして‥‥」
「かあちゃ~ん、おいらを置いてどこ行ったんだよ~」
「何で‥何でうちの子が‥‥」
それは、エラミーがこれまで糧としてきた悲しみの感情の元となった多くの人々の記憶。その多くは不幸な出来事による理不尽な別離。
ある者は妖怪に食われ、ある者は自然災害に巻き込まれ、ある者は人間同士の取るに足らぬいさかいに巻き込まれてその命を落とし、残されたもの達は哀しみにくれる。
そうした大切な存在を失った悲しみと、弔いの思いが一つの場所に集まり、その思念とその場の自然の力が合わさってエラミーは生まれた。
‥そしてそれから幾年月、エラミーは数限りなくそれを見続け、その悲しみの感情を糧にして生きてきた。だが‥‥‥それゆえに彼女は孤独でもあった‥
「‥‥ねえ!みんなどうしてあたしを仲間はずれにするのさ!」
「だってねぇ~」
「あんた、あたしたちとなんか違うし~」
「そうそう、なんか違うんだよね~なんか~一緒にいたくないって感じがする~」
妖精でありながら幽霊の特徴も持ち、悲しみを糧として生きるという特異な素性のエラミーを妖精たちは気味悪がって仲間はずれにし、決して仲良くしようとはしなかった。
その際に彼女が感じた孤独感‥辛さ‥悲しさ‥そして‥それを自分ではどうすることもできない歯がゆさ‥‥長い間、彼女はそれを抱えて生きてきた。
そんな彼女だが、アスメルと出会う事で少し変わった。例えエラミーが幻聴を聞かせて人々を不安にしようとも、時に悪戯をして、それが大きな災いになろうともアスメルの能力によって大きな不幸や悲しみが生まれることは減った。しかし‥それでもすべての不幸・悲しみを無くす事は出来なかった。
アスメルの能力で抑えられた無数の小さな不幸とそれで生まれた小さな悲しみ、アスメルの能力以上の不幸によって生まれた大きな悲しみ‥‥あるいはそんな記憶を思い出させ、糧とする事でエラミーはこれまで生きてきた。だが、ヒトの悲しみを糧として生きるということは、それだけ多くの悲しみを知り、その辛さ、苦しさを感じる事でもあり、そしてそれをヒトに見られるということでもある‥‥




