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ピッキングアウト  作者: もぶ
プロローグ
4/72

第4話 いのちのはかなさ

 『ピッキングアウト』のリスポーンは体力が尽きてから(石化等の場合は『戦闘不能』状態なので戦闘終了から)15秒経過してから体が崩れていくそうだ。

 この15秒は死体の上に表示され徐々に減っていく。これが1あれば蘇生魔法や蘇生アイテムの対象になる。0なら魔法は不発、アイテムは床に落ちる。


 そんなことを思い出しながら、俺はさっきまでと全く同じ場所にリスポーンした。


 えーっと?


 ひとまず確認から。


 最後に聞いた神の声(チュートリアルの時と同じなので女神様だろう)の通り、デスペナルティは無い。


 体力が0になったときに聞こえたのは恐らく俺が死んだことで戦闘自体が終了したからだろう。パーティメンバーが生きていれば蘇生が考慮されるけど、生憎ソロだったからな。誰も助けてくれない。


 アイテムの喪失もない。まぁ持ってないとも言うが。武器やアクセサリーも無くなってない。装備についてはビギナーズ装備の特殊な効果だ。耐久値が減らない、アイテムロストしないなんて最高過ぎる。

 アクセサリーは破壊以外ではロストしない。これはアクセサリーはずっと装備できるという意味ではなく、攻撃の被弾などで破壊されるが、『破損した○○』というアイテムになる。この状態だと装備しても一切の効果は無い。まぁ今着けている『白面(しろおもて)』は顔を隠す目的だから壊れても装備するけど。


 そしてお金。無くなってない! やったぜ!

 これもデスペナルティだからかな。本来なら半分になるらしい。


 というか、だ。


「レベルが離れすぎています? どれくらい離れているんだ?」


 10とか? 15とか? いや、それくらいなら寄生パーティだとありそうだし、さっき見たレイドモンスター相手ならレベル低いプレイヤーに爆弾持たせて特効連打、ができてしまう。


「それに始まりの町……いや、町ではないよな。

 見渡す限り森だ」


 バグ……? そんなことある? モンスターが強すぎるとかならまだしも、始まりの町すら行けないってことある!?


「とりあえず歩く、そっからだ」


 うん、歩ける……。剣も、振れる。じゃあなんとか探索できるさ。


 ざっざっざ、と本当に湿った森のなかを歩いているような音。凄いリアルだ。薄暗さも相まって恐ろしくもある。


 ざざ。木々が擦れる音。


「がっ!?」


 ものすごい勢いで藪から飛び出してきた何かに喉元に噛みつかれた! あ、体に力が……入ら……。


《レベル差が離れすぎています。デスペナルティはありません》


 またですか?





◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 またもや同じ場所。同じ景色で目を覚ます。


「首を噛まれた……傷跡からモンスターの種類分からないかな?」


 鏡とかない? 無いか……。


 何も考えずに歩いてはいけない。森は怖いところだ、理解したぜ……。

 今回は音が聞こえた。前回よりは察知しやすい相手なんだろう。となるとほぼ気づけなかった最初の相手よりは2回目のモンスターだろう。まずは見た目が知りたい。


 こういうRPGゲームっていうのは強いモンスターというものは大概見た目を細かいところまで作るものだ。ゴブリンよりもゴブリンソルジャーのほうが装備が増えていたり角や牙で差別化されていたりする。作画コストが多いほうが強い、というのが昔から変わらない真理というものだ……。


 そのためにも敵の姿を見たいんだ、まずは。その後運営に問い合わせるか考えよう。


「よし、今度は逆……。さっきどの木のほうに行ったっけ?」


 まぁいいや、右にレッツゴー!




 ざっざっざ、


 ざっざっざ、


 ざっざっざ、


 ざざ、


「来る! ぐえ!?」


 右から音がしたから振り向いたら左から噛まれた。だが見えた! おまえの、いや、お前達の姿は……!


《レベル差が離れすぎています。デスペナルティはありません》

 

 


◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 またまた同じ場所。同じ景色で目覚める。


「犬、いや猫? とりあえず四足動物だったな」


 やっぱ見えてませんでした。


 大きさは中型犬くらいというか、まぁ大きくもなく小さくもなくだった。そして少なくとも二頭だ。


「あれ、音に気を取られた相手に噛みついてるのか?」


 そうなると二頭よりは多そうだ。音を出す一頭はおとりで周りが止めを刺す。全方位警戒し続けないといけないとなると、下手すれば6人パーティでも食い尽くされかねない。モンスターの群れは何体までですか?


「今度は左に」


 なんか未知の解明って感じで楽しくなってきた。どうせアラームつけてあるしせっかくなら開拓してからご報告(クレーム)しないとな!


 ざっざっざ、


 ざっざっざ、


 ざっざパクン



《レベル差が離れすぎています。デスペナルティはありません》





◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 また同じ場所。同じ景色。目覚める。


「まさか下からとは……」


 今度はいきなり地面が割れた。下に見えたのは白い刺々とピンク色。どうやら口の上を歩いてしまったらしい。そんなピンポイントな罠張る生命体いるの?  もっと有意義に生きろよ。


「んじゃー、今度はまっすぐ」


 ざっざっざ、


 ざっざっざ、


 ざっざっざ、


 ざっパクン


「お? 真っ暗になって?」


 持ち上げられてる? え? まさか鳥とかの……丸のみ!?


「なんかぬめってしてるーーー!!!」


《レベル差が離れすぎています。デスペナルティはありません》



 とりあえず、最後がいっちばん気持ち悪い感触だった。






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