第14話 天誓花
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時間は17時を少し過ぎた。とりあえず高城に確認を取った内容を再確認していこう。
・職業関係なくアクセサリー・武器問わず作ることはできる。但し、クオリティーは製作者の腕次第。職業はそこに補正がかかる。
・謝罪会見の質問タイム曰く、レベルが低いからダメージが出せない、ということはない。
・質問タイム曰く、このゲームでは鱗に弾かれたとしてもダメージは発生している。レベルが離れていても同じ仕様。
高城に「これ質問したのお前だろ」と言われたけど、俺以外にもドラゴン狙いの奴がいるかもしれないじゃないか。大物狙いの総意だよ。
まぁ大半は那智さん同様、キャラリメイクするらしい。うーむ。大物狙いはいないのかね。
ただ、俺も幽霊の前で演技するだけってのは嫌だなぁ……。その幽霊が戦える相手なら分からないけど。
気を取り直して。
「アイテムボックスの状態が過重になってしまった……」
どうやら行動で消費される持久力が倍減るらしい。今持久力10しか無いんだけど。走るのは試すまでもなく無理だ。
でも当てはあるというか、ぶっちゃけ盗まれることを考慮しなくて良いなら重いアイテムは置いておけばいい。もし盗まれても拾ったアイテムだからなぁ……別にって感じだ。
風呂敷はないのでお馴染み、装備できない木の棒を並ぶように砂浜に突き刺しておく。目印にしまくってるな……。
さて、整理整理……。
鍋×3
これは貴重ですね。ええ、なんせ調理器具ですよ。キノコ鍋ができちゃうぜ。でも持ち歩くのは一個あればいいので2つはここに置いておく。ところで真水、どこ?
フライパン×1
これは大変貴重ですね。ええ、なんせ調理器具ですよ。キノコを炒めることもできちゃうぜ。一個しかないので持ち歩き決定。ところで火はどう起こせばいいの? 薪を持ってるだろって? ははは、まさか木の棒の出番?
割れたビン各種 大量
これは貴重だけど持ち歩くものじゃない気がする。投げたら武器になるかな……。ここに置いておこう。
貝殻 大量
見た目バラバラでキレイだけども。これは写真立てを彩るアイテムでは? 勝手なイメージですが。撒き菱にはなりそう。いらないし放置……というかこれ貝塚みたいにならない?
本題はここからだな。
ジンギスさんから貰ったアイテムはこちら。
【シェルドシルターの純黒真珠】 加工素材
深海に棲むシェルドシルターが作る真珠。ほとんどは白い真珠だが稀に黒い真珠を作る。堅牢貝と呼ばれる巨大なシェルドシルターは黒い真珠のみを産むという。
その真珠はあらゆる災禍を拒む。一部の地域では真珠を砕いた粉を家の前に撒くという。
シェルドシルター……一体どんな貝なのか。気になるな。この偶然黒い真珠なのかそれとも堅牢貝のやつだったり?
そしてこっちはづけづけカルビさんから貰った。
【山王狒々の髭】加工素材
深い森に棲む群れを統べる山王狒々から抜け落ちた髭。山王の名を冠する狒々は死を超越した存在とされ、寿命を持たないという。
山王狒々か……まだ見たこと無いな。深い森ってことは奥の方に行かないと遭遇しないのかな。白くて長い髭が3束。ふむ。
その他は謎の骨シリーズ。これは鑑定しても変わらなかった。多分パーツが少ないとか、元になったモンスターが分からないからだろう。そりゃ分かんないよな。
後はお馴染みフクロウの羽根がたくさん。フクロウ君さぁ……この島だと生態系ピラミッドの下のほうなの?
「俺はアクセサリーというものには詳しくないけど……ゲームとして考えると似たような効果、伝聞があるものは大概シナジーがある」
【リィン・カーネーション】 加工素材
紫の花弁、淡い水色の縁取り。闇夜に浮かぶその彩りは僅かな月明かりすらも反射する花。死神が住む冥府でさえ、この花は輝くという。
<加工先>
◇???
◇???
◇???
「花と真珠、髭……」
いや何を作ればいいんだよ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
とりあえず花を水に浸けておこう。エキスが抽出できるかなーと。
しかし、川なんて見たこと無いし、湧水なんかない。そうなると……。
顔を上げれば目の前には夕日に照らされた海が。
えーっと? 微生物はいないってことでOK? なら行けるかな。
「これより! サバイバルを開始する!」
鍋に蓋付きのが1個だけあるんだよ。そしてビンは大量にある。後は火さえ起こせればイケる……!
「取り出すのは薪数本! それを頂き物である斧で割っていく!」
こういうのは1回で割らずに段階を踏むイメージ。なんだろう、ヒビを入れる、木を叩いて食い込ませる、割く、という行程を繰り返す……。手頃な岩に叩きつけて、お? いい手応え。
コッ、コッ、コッ
ふう……何故俺はゲームで薪を割っているのか。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
薪を一本薄く割いてみた。鑑定してみたけど板にはならなかった。まぁそんなもんだろう。
そしてその板に少し切り込みみたいなところをビギナーズツインダガーで入れておく。短いから使いやすいなぁ……。そして板を作った際に余った木をダガーで削りまくる。削りカスは纏めてビンに入れておこう。
スキルなくても武器として使えるんだなぁ……。刃物ではあるからかなぁ。
さあさあさあ! サバイバル感満載だけど木の棒を取り出して、板の切り込みに擦り付ける! 周りには削った木屑を置けばなんかそれっぽい!
「うおぉぉぉお!!」
ひたすらに、ひたすらに。ただただ木の棒と板を擦り合わせる。
数分後……。
「煙キター! えっと木屑追加、そんで薪を組んでこう……!」
パチパチパチ……
「すげぇ! ほんとに着いた! あったけぇ! すげぇ!」
語彙力! いやでもすげぇ! めっちゃ感動してる!
「この火って消えるのか? ちょっと勘弁してほしいな……」
鍋に海水! そして真ん中にビンを置いて……蓋をして……? でいいんだっけ。
「これで蒸気が落ちて真水になる……」
ふう……何故俺はゲームで真水を作ってるんだ?
これってRPG? サバイバルそのものじゃない?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
中略。
あの後、鍋を見守りながら山王狒々の髭を編んだ。その結果できたのがこちら。
【山王狒々の髭紐】
強い魔力を含んだ髭を編み込んだ紐。死してなお残る魔力はある地域では霊力と呼ばれる。
そしてようやく完成した真水を別の鍋に入れてそこにリィン・カーネーションの花びらをバラバラに千切って煮込む……。焚き火を2つに分けて真水作りも続ける。
そして黒真珠……を少し大きめの石と平らな石で擂り潰す。平らな石は砂を少し掘って安定させた。そしてごりごり擂り潰して……。ビンに詰める。
【堅牢貝の真珠粉】
堅牢貝が生み出す黒真珠を擂り潰した粉。一粒一粒が強く魔力を引き付ける。
もうゴールしてもいいよね……?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
長かった……一旦ログアウトして夕食を食べて風呂にサッと入ってログイン。薪を追加したからか、火は着いたままだった。消えてたら泣いてたね。
22時まで作業を続けてようやく完成したのがこれだ。
【天誓花のミサンガ】 アクセサリー【手】
:リィン・カーネーションは夜に咲き朝には花を散らす。しかし強い魔力がある場所ではその花は散ることなく周囲の魔力を蓄え続ける。月下に美しく咲く花は日の光を浴びて怪しく微笑む。生に執着する者のみ誓いを果たす。
【効果】:装備状態で体力が0になった場合、このアイテムは消滅し、プレイヤーを蘇生することがある。
一発で蘇生アイテム作った俺、凄くない?
でも効果を見る限り、確定蘇生ではないみたいだな。確率とか分かんないかな……。10%は欲しい。
製法はリィン・カーネーションを煮込んだお湯に真珠粉を少し投入。そこに髭紐を3つ入れてさらに煮込む。
白い髭紐が紫に染まったところで取り出して真水に浸ける……。で、火の傍で乾かして結んだら完成!
これ、もう少し楽に作れるか、そもそも天誓花の融液さえあれば適当な紐でもミサンガにはなったんじゃ……。
まぁいいか。とりあえず完成したということで! ただただ作業ゲーは苦手だということを再認識した俺だった。




