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Code_Sakuya/レイラインの軌跡  作者: 阿僧祇瑛佑
第10章 生死存亡の先に観えたもの

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第10章 生死存亡の先に観えたもの

◆~不変のない日常の崩壊~

(処は……どこ? あっ・・・俺がいる

 ここは草原?荒野? でも現実じゃない

リアルは感触があるに見えて夢の中か・・・


辺りを見回せばなだらかな斜面に

路とは呼べないほど起伏が続いている

処其処に点在する岩塊と窪み

なぜ?窪みに身を潜めて空をうかがう?


怖い…襲われている・・・いや・・・狙われている

周囲には火の粉の雨 いや 砲弾?違う レーザーか

このままじゃ死ぬ・・・

何で俯瞰する自分がいる……怖い)


椅子に深く身を涼めて転寝していた京一だったが

無意識の挙動が机を揺すった。


その振動でモニターのスリープモードが解除され

行後よくお座りを決め込んだ阿摩那が映った。


同時にチャット開始の電子音がピン♪と鳴り

チャット欄に文字がタイプされた


《予定時間より38分経過しています》

《御気分分いかがですか》

《今日は何から調べしますが》


選択:A)今日の天気

    B)今日のトピックス》


阿摩那はルーチン通りタイプすると

小首をかしげてニコリと笑って見せた


「・・・・・ 阿摩那か

相変わらずの愛想笑いだな」

笑えるなら……いっそ

しゃべるくらいの粋を見せてみな」

「……AIに愚痴ってもしゃべらんよな 阿摩那」

夢見が悪かったのか

寝起き早々不機嫌モード全開だった。


「さて、今日は何処から探るか・・・」


「迷ったときは阿摩那に聞いた方が早いか……」


【阿摩那!

国内ピラミッドと噂のある場所を

Web上から可能な限り検索

出来れば山の形状とかの画像があるものが優先】


タイプされた質問を受けて阿摩那が即答した


【京一殿 了解しました。】


モニター内に堂々と鎮座する阿摩那は

器用にも少しだけ前足を交互に上げて足ふみしながら

時々小首をかしげるポーズをしていた。


(始まった 始まった)

(この仕草をするときは

検索条件から必要な情報だけを精査し

最適化表示するための待機状態なんだよな)


(AIがそんなことするかとは思うが……

この仕草が妙に小気味いいから

結果が出るまで退屈しないで済む)


そんなこと思いながら待つこと数秒後

検索結果が箇条書きにタイプされた。


【こちらが指定条件に該当するソースの一覧です

1.モヤ山(青森県)

2.大石神(青森県)

3.黒又山及び三内丸山遺跡(秋田県)

4.五葉山(岩手県)

5.千貫森(福島県)

6.皆神山(長野県)

7.尖 山(富山県)

8.東谷山(愛知県)

9.三輪山(奈良健)

10.葦嶽山(広島県)

以上9県10か所が該当します。】


「なるほど……意外とあるな……10か所か」


「だけど・・・これなんか変だな」


リストの羅列に合点がいかい京一は、

阿摩那に新たな質問を投げかけた


【阿摩那 リストの抽出根拠・出典元は? 】


【抽出根拠・出典元を回答します。

本リストは

以下の文献・概念群との一致度から抽出


・酒井勝軍による日本ピラミッド論

 (葦嶽山を世界最古のピラミッドとする説)

 

・竹内文書に記された古代構造論

 (日本がピラミッド文化の起源とする記述)

 

・巨石の法則的配置に関する報告

 (幾何学的配置=グリッド論との一致)

 

・世界古代遺構を扱う宇宙考古学の文献群

 (エーリッヒ・フォン・デニケンらの研究)

・古代遺構の直線配置を扱うレイライン概念

 (アルフレッド・ワトキンス

 『The Old Straight Track』)


【以上の概念群との一致度により、

9県10か所が該当地点として抽出しました。】


京一は、阿摩那のログをメモ帳へ貼り付け終えると、

背もたれに深く体を沈めた。

腕を組み、視線だけ画面を見据えていた。


(整合性は……確かに取れている。

 だけど……何だ?

 拾われている要素に、一貫性がない気がする) 


「だったら……こうすればどうだ」


京一は、背もたれから体を起こし、

マウスを適当に滑らせながら画像を切り替えた。


「まずは東谷山か……どれどれ」


画面に映った山影をしばらく眺め、

すぐに首を横に振った。


「……これは削除していい。次」


別の画像へ移る。

稜線の角度、裾の張り出し、山腹の均整──

どれも“それらしい”が、決定的な何かが欠けている。


(山の稜線だけで判断すると……

 墳丘との区別が難しいな)


腕を組んだまま、京一は画面に顔を近づけた。

靄山のように、左右対称の三笠型を示す山もあれば、

ただの円錐形にしか見えない山もある。

記事にも「左右対称の美しい三笠型の山容」

と書かれていたのを思い出す。


(……同じ“ピラミッド説”でも、

 形の質が全然違うじゃないか)


マウスを止めたまま、京一は息を吐いた。


(だとすると……該当条件をもっと的確に

山頂を中心に左右対称、稜線の角度は直線的で鋭い

  これでもっと絞り込める)


画面の端に映る靄山(もややま)の写真が目に入る。

左右対称の三笠型、直線的な稜線、

山頂から裾へ向かう均整の取れた角度──

記事にも書かれていた特徴が、

京一の頭の中でゆっくりと形を成し始めた。


「う~~ん…靄山(もややま)ね~~~

 それらしいと思えなくもないが削除

 あと・・・・三輪山も削除でいい」


2.大石神(青森県)

3.黒又山及び三内丸山遺跡(秋田県)

4.五葉山(岩手県)

5.千貫森(福島県)

6.皆神山(長野県)

7.尖 山(富山県)

10.葦嶽山(広島県)


京一はメモ帳に残したリストから

除外場所を二重取り消し線で上書きしていった

「おっと、五葉山もあったか…」


京一は五葉山の画像や鳥観図を検索し、

画面に並べてしばらく見比べた。


稜線の角度、裾の張り出し、山腹の均整──

それらが“条件”と照らし合わせていくうちに、

京一は核心とは遠くても合点がいったようだった。


(……リストには一貫性がない

 山岳信仰、墳丘、オカルト要素が混在している

 根拠が浅く曖昧……触れたくなかったが……)


(酒井勝軍か……厄介な物を残したものだ……

 捉えどころはいいが偏向が過ぎたのだろう)


京一はマウスをゆっくりと動かし、

千貫森(福島県)の画像検索へ切り替えた。


画面いっぱいに並んだ山影を見た瞬間、

京一の眉がわずかに動いた。


(……これは……

 “ただの山”じゃないな)


稜線は丸みを帯びているのに、

山頂から裾へ向かう角度は妙に均整している。

自然の侵食だけでは説明しづらい“形の癖”がある。


(ここまでで一度リストを見直してみるか)


2.大石神(青森県)

3.黒又山及び三内丸山遺跡(秋田県)

5.千貫森(福島県)

6.皆神山(長野県)

7.尖 山(富山県)

10.葦嶽山(広島県)


京一は削ったリストを眺めながら、

ゆっくりと腕を組んだ。


(人口構造物といっても……建造当時ならいざ知らず、

 四季のある日本では自然浸食で稜線判断が頼りになる。

 現在のように地中レーダーがあれば別だが……)


画面の端では、千貫森の丸みを帯びた稜線が静かに揺れている。

山頂から裾へ向かう角度は妙に均整していて、

自然の侵食だけでは説明しづらい“形の癖”がある。


「ま〜〜それだって容易に許可も下りなければ、

 余程の根拠と理由がないと投入しないだろう」


京一は小さく息を吐いた。

地中レーダーを使うには、行政の許可、文化財保護法、

地権者の同意──

どれも簡単には通らない。


(……だからこそ、形と配置で“推測”するしかない……か)


削った四つを除いた残り六つの山名が、

メモ帳の画面で静かに並んでいる。


画面には千貫森の画像がピックアップされていた。

丸みを帯びた稜線なのに、

山頂から裾へ向かう角度は妙に均整している。

自然の侵食だけでは説明しづらい“形の癖”。


(エジプトの三大ピラミッドも、

 形そのものより“配置”が意味を持っていた。

 なら……この六つも……)


京一は背もたれから体を起こし、

地図アプリのアイコンへマウスを滑らせた。


(方角、距離、位置関係……

 もしこれらが“形の条件”と同じくらい揃っていたら……

 阿摩那が抽出した理由が説明できる)


クリック音が静かに響いた。


京一は何かひらめいたのか

いきなりレタッチソフトを駆使し始めた。

短時間で地図を描き、

残った6地点を地図に落とし込んでいった。


「まあこんなもんだろう……

 だから 位置が判れば線が描ける

 ほらな……」


作画を終えた画像を眺めて、京一はニヤニヤと笑った

挿絵(By みてみん)

地図の上に並んだ六つの赤い点は、

誰が見ても“線に見える”配置を成していた。


(……こういう線引きは、誰でも思い至れば描ける。

 アイデアや構想に独自性を主張するのは

贔屓目に観ても範疇を超えている。

 そもそもアイデアにロイヤリティなんて発生しない)


(オカルト・都市伝説界隈は、

思い違いで主張を通す人が出るらしい。

 意匠性があるとすれば……せいぜい文体くらいだ)


京一は地図の六つの点を見つめながら、

静かに息を吐いた。


(変なノイズは取っ払い、

具体的にプロットして……ラインを描いた・・・が

  まだ何か…こう……腑に落ちない)


再び背もたれに体を沈めながら、

素行を巡らせて始めていたが

心の言葉が次第に漏れ出していた。


「黒又山……大石神……千貫森……」

再びモニターと対峙すると

京一の呟きと同時に

該当する地点の画僧を検索し始めた。


(明らかにラインから外れた黒又山と大石神か…

 見落としがあって別のラインが描けるのか?)

「考えても時間の無駄だから後回しだな

それよりも……皆神山に 尖り山か」 


足元に伏せ寝していたVALLが

京一の言葉尻に反応していきなり膝の上に載ってきた

 

「……おい、どうした」


VALLはモニターに向き

しきりに愛想鳴きを立てたかと思えば

京一の膝の上で丸まってしまった。


(阿摩那様 阿摩那様 あそこで!あそこ!)


「VALL邪魔しないでくれ

 降りるんだ」


京一は作業中に割って入VALLを

床の下ろそうと引きが明かそうとしたが

爪を立てるほど強く抵抗した。


「い・痛い! なんだ! VALL降りろ」


力任せの下ろすほど強く抵抗し

挙句の果てには愛くるしいいほどの視線を向けた


(そいえば もうひとつ面白いというか…

 PCを使うとき

文相を綴ったりブラウザや付属AIを使わず

  阿摩那を介し検索始めるとVALLが寄ってくる)

  キーボード操作音の微妙な違いを聴き分けている?

 もしそうなら変なところで耳悟い 変わった犬だよ)

京一がぶつぶつ呟いていた。


(阿摩那様 あそこです我らがいたのは……)


画面には縮小チャット欄がタスク上に見えていた。

それでも吽雲璃の心話に阿摩那が応えた。


(吽雲璃と あそこと申したか で どこじゃ?)


(ですから あそこと申しました)


(だからあそことは何処?)


(今 京一殿が作られた…おそらく地図です

地図を見てください)


(地図なら、

先ほど…ぅんㇺ!マウスとやらをつかっておったが?)

(ここで ネズミのことは関係ありません!

 地図を見てくださいませ)


(マウスをネズミと申し…… 地図を見ろと……

 少し落ちつかぬか吽雲璃)


阿摩那に諭され一呼吸置いた。


(兄様 いえ阿摩那さま 申し訳ありません

すっかり取り乱しておりました)


阿摩那はゆっくりと息を吐いた。


(そうか……慌てることはない、

あの時は……そうであった

一度は共に姿を現すも、其方を見失しのうた

だがな……何やら強い流れに負けた挙句……

…あそこといわれても思い浮かばぬ…すまぬ)

 

(そんなことが……重ね、重ねの無礼をお詫びいたします。

じつは、兄様とはぐれた後、わたくしは見ましした…あの時…

いきなり外の飛び出して見下ろした山の頂……

それと同じ場所 

京一殿が探していた場所の中にありました)


阿摩那は吽雲璃の刹那にしばらく沈黙した。

言の深層に触れそうな微かな思いを巡らせていせた。


(……其方は覚えておるのか、吽雲璃)


(はい……兄様。

 わたくしは……あの頂を、確かに見ました)


VALLは京一の膝の上で固まり、

画面の一点をじっと見つめている。


(して……そこは何処じゃ)


(ですから それは地図に京一殿が……)


(ふむ……葦嶽山か?)


(いいえそのような名ではありません)


(そうか……では千貫森であろう)


(それも違います)


吽雲璃は小さくため息をついた

しばらくの沈黙のあと阿摩那が切り出した。


(では皆神山であるな)


(違います……惜しい)

吽雲璃には京一が描いた地図が見ている。

阿摩那は京一が作業している間は、

チャット欄に触れない限り姿を現せられないでいた。


阿摩那自身が入力したリストは把握できるものの

名前と場所が一致しないイライラが募っていた。


(では黒又山だな)

阿摩那は溜まりかねて適当に挙げてしまった。


(惜しいと申したのに 逸れるのですかこの駄犬!)


吽雲璃は思考をあきらめ適当を放った阿摩那を罵った。


阿摩那は一瞬、言葉を失った。


(……駄犬とは……其方、言うようになったな)


吽雲璃は不機嫌な気を一瞬放った。


(兄様が適当を申すからです!

 わたくしは確かに見たのです。

 あの頂は……皆神山でも黒又山でもありません)


阿摩那は静かに息を吸った。


(……では、残るは二つか)

(尖り山か大石神……ふむ)


阿摩那は吽雲璃叱責を買ったのをいいことに

大博打とも執れるほどに堂々と放った。


(わかったぞ 大石神だな)


(この大馬鹿居候 地図を見てください)


(それが無体というものだぞ 吽雲璃)

(京一殿の用向き無しに姿は晒せぬ)


(確かに…でも兄様! よくお聞きなさいまし

わたくしが地図を見てくださいと申したのですから

兄様の 偉そうな言い切りは──まさに“的外れ”です)


吽雲璃の窘めも上の空、

阿摩那はやっと合点がいったことに喜んだ


(そうかそうか 残ったのは尖り山だな そうであろう)


あきれ果てた吽雲璃は処構わず愚痴を放ち始めた

(自慢しなくても 残ったのが正解は必然…

 それをさぞかし大げさに……全く……ちっさ!)


箍が外れたのか阿摩那は得意げに姿を現してしまった。


(吽雲璃は地図を言っておったな)


阿摩那が地図の上層に透過し、

足で“ぽん”と一点を指してしまった。


VALLは鼻を小さく鳴らすと、

京一の膝から降りると足元で一回りした。


VALLの毛並みが総毛立つほどに、

吽雲璃の強い気が湧き出ていた。


拠り所なく気を張り続けた吽雲璃は、

床に伏せたVALLの体を通し、

短く、低く……

遠吠えともつかぬ一声を奏でた。


(あの大馬鹿駄犬! 

あれほど……あれほど念を押したのに……

あ・終わりです!

瑞樹殿…サクヤ様~申し訳ありません!)


嘆きの思念が、

部屋の空気を深くそして重く沈めていった。


京一は足元で伏せたVALLを見ているだけだった。


お待たせしました 第10章 突入しました

武神家の書斎は波乱の気配 この先は?

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