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第5話

今回は何が書きたかったんだろうという感じが否めませんが、どうぞ。

化けガニの一件の後始末を終えてから五日。旅の準備を整えるため流零と耳と尻尾を隠し人間に化けた藍は、町中を歩いていた。



「それにしても、たくさんお礼貰っちまったから逆に悪い気がしてきたぜ」


「だが、お礼を受け取らないのも失礼だろう?それにお前のおかげで新しい服をただで貰えたから、私としては嬉しい限りなんだが」



あの後化けガニを退治したことを報告し、確認してもらった流零。すると町全体からお礼の嵐で凄いことになったのだ。


さすがの流零もそのことでお礼を貰いすぎたと思ったようだ。


そんな流零に微笑みながら言葉を返す藍。その足取りは化けガニに襲われた時とは違い、しっかりとしたものである。

この五日の内に完全復活する回復力の高さは、流石大妖怪といったところだ。



「確かにそうだけどよ……おい、腹減ってねえか?あっちの方に美味い飯出してくれる店があるんだけどよ」


「そういえば少し小腹が空いてきたな。では案内を頼む」



流零の提案に乗った藍は流零の後について店まで歩いていく。


たどり着いた店は流が化けガニの話を聞いたあの店だった。二人は止まることなく店に入っていく。



「いらっしゃいま……ああ!先日はどうもありがとうございました!おかげさまで町にはまた活気が戻って来ましたよ!」


「いいってことよ。俺が勝手にやったことだからな」



感謝の言葉を言う店主に流零は短く答える。



「おや?そちらの女性は確か化けガニに襲われていたという……」


「ああ、旅の準備がてら町を案内してたんだよ」


「ど、どうも」



店主が藍に気付く。藍が妖怪ということは伏せて報告してあるので、流零以外は知らない。



「それより店主。前に頼んだ奴を二人前よろしくな」


「はい!腕によりをかけて作らせていただきます!」




−−−−−−−−−−−





「ごちそうさん、美味かったぜ」


「ごちそうさまでした」


「ありがとうございました!またいらして下さい!」


食事を終えた二人はこの後町で一通り買い出しをしてから、宿に帰っていった。





時間は経ちその日の夜、流零は自分の部屋で寝ようとしていた。


静寂を破るように戸を叩く音と声が聞こえてくる。



「流零、私だ。こんな遅くにすまないが入ってもいいか?」


「ああ、いいぜ」



部屋に入って来たのは藍だった。



「まだ起きてたのか?明日にはもうこの町を出るってのによ」


「恥ずかしい話なんだが……その……えと……怖い夢を見たんだ」



藍が出発前の夜だというのに起きていた理由はなんとも子どもっぽいものだった。



「へっ、ガキじゃあるまいし。大妖怪が情けねえぞ」


「うう、だけど本当に怖かったんだ!」



笑いと呆れ混じりに言う流零に藍は子どもみたいな様子で答える。



「わかったわかった、それで一体どんな夢だったんだ?」


「……お前が居なくなってまた一人ぼっちになる夢だ」


「お前な、それこそ本当にガキかっての」



夢の内容を聞いて呆れ度が増した様子の流零。



「子どもみたいだということは私も分かっている!けど、私にはそれが怖いんだ!」


「藍……お前」



感情をむき出しにする藍を見て流零は真剣な表情になる。



「初めて妖怪である私を受け入れてくれた存在であるお前が居なくなってしまったら、私はまた孤独になる。もう、一人になるのは嫌なんだ」


自分の気持ちを吐き出す藍。流零はそんな彼女に真剣な眼差しを向けて話し出す。



「大丈夫だ。俺は勝手に居なくなったりしねえ。お前に付いてきていいと言ったのは俺だからな。親父も言ってたぜ、『自分の言葉には責任を持て』ってな。だから安心して寝てな」


「流零……ありがとう」



力強くも優しく言い聞かせる流零。藍は目に涙を浮かべながらも笑顔を見せる。



「さあ、明日は早えからそろそろ寝るぞ。藍、お前も部屋に戻りな」


「嫌だ」


「は?」



明日の出発に備えて寝ようとする流零は藍に自分の部屋に戻るよう言うが、何故か拒否する。



「流零と一緒に寝る」


「ちょっと待て、何でそうなる」


「今日は一人で寝たくないんだ」



淡々と喋りながらも頬が赤く染まっている藍。



「だからって会って間もない男と一緒に寝る奴があるか!」


「とにかく!一緒に寝るといったら寝る!」


「こら!布団に入ってくんじゃねえ!畜生!どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁ!!」



この後流零が理性を押さえるのに必死で眠れず、寝不足になったのは言うまでもない。

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