第6話
頭に浮かんだアイデアを文章にするのってかなり難しいですね。
「流零、見てくれ!こんなに食べられる野草が採れたぞ!」
「おう!こっちも薪に使えそうな枯れ木は集まったぜ!」
流零と藍が町を出発してから一年程の月日が流れ、二人は互いの信頼関係を深めながら順調に旅を続けていた。
二人は今、森の近くで野宿をするための準備をしていた。まだ日は出ているが次の町までは遠いため、今日はここで一晩過ごすことにしたのだ。
「よし、後は肉か魚でもあれば晩飯は十分だな」
「そういえば野草を採っていた時、川の水が流れる音が聞こえたな。そこに行けば魚がいるかもしれないぞ」
拾った枯れ木や枯れ枝をドサリと地面に置いた流零に藍は自分が得た情報を伝える。
「そうか、なら俺が行ってくるぜ」
「私が行こうか?大まかな場所なら分かるが」
藍は大体の場所を把握しているので自分が行くと申し出る。
「いや、お前はここで荷物を見張っててくれ。方向さえ教えてくれりゃ、後は自分で見つける。なに、すぐに戻ってくるからよ」
「それじゃあお前に任せようかな。方向はあっちだ。よろしく頼むぞ」
「ああ、任せな」
自分一人で大丈夫だという流零は自信たっぷりな笑みを浮かべると、藍が指差した方向へ走って行った。
「到着っと。ほう、小さめだがなかなか綺麗な川じゃねえか」
読み通り川にたどり着いた流零。その川の水は流零が思わず口に出すほど澄んでいた。よく見ると川魚もちらほらと泳いでいる。
「さて、今日の晩飯を捕まえるとすっか」
そう言った流零はおもむろに、近くに落ちていた長さ80cm程度の棒切れを手に取る。
「長さはこんなもんか、後は先をちょいと削ればいいな」
流零は自分の爪で棒切れの先端を削り、尖らせる。普通の人ならそうそう出来るものではないが、流零は普通ではないから仕方ないだろう。
「これでよし。いくぜ!」
尖らせた棒を構えると、水中に見える魚目掛けて棒を投げる。
投げられた棒は見事に魚の胴体を貫いた。それを確認した流零は川に入り、魚が刺さっている棒を手に取る。
「この調子ならすぐに晩飯の分を集められそうだな」
軽く笑みを浮かべながら言うと流零は再び捕獲作業を始める。
「こんぐらいありゃ大丈夫だな」
捕獲を始めてから少しの時間を経て、本日の成果である棒に刺さっている六匹の魚を見ながら満足そうに流零は呟く。
「藍も待ってるし、そろそろ戻るか……っ!」
魚を持って藍のところに戻ろうとした流零は、何かに気付いたように立ち止まって後ろを振り向いた。
「大きな妖力を感じる。ここからはそう遠くねえ、行ってみるか」
突然強大な妖怪の存在を感じ取った流零は魚を置くと妖力を感じる方向へ走って行った。
「こんなところに花畑があったとはな。しかもかなりのデカさだぜ、こいつはよ」
妖力を感じた場所に到着した流零の目に飛び込んできたのは広大なひまわりの花畑だった。
花畑の広さに驚く流零。今度は違う物が目に入ってくる。
「こいつはひでえな。多分妖怪だったんだろうが、最早原型を留めてねえぜ」
流零が見た物……それは全長2mはあるだろう大きさの毛深い物体だった。頭は潰れ、片足は無く、腕はあらぬ方向に曲がっており、常人ならば見るに堪えない有り様だった。
「この花畑に何か御用かしら、侵入者さん」
突如背後から聞こえた声に流零が振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。
緑色のショートヘアーに洋風の服を身に付け、手には日傘のような物を持っている。
今の時代に合わないような見た目の女性は、流零に向けて微笑みを浮かべている。
「別に用はねえよ。ただデカい妖力を感じたから好奇心で来てみただけだ」
素っ気なく答える流零だが内心はかなり警戒していた。女性からは殺気が放たれているのだ。
(死んだ妖怪に気を取られていたとはいえ、俺の背後を取るなんて油断ならねえ奴だ。全力の諏訪子といい勝負できんじゃねえか?)
以前諏訪子と戦った時は互いに相手を殺さないように手加減していたのだが、今回は相手がこちらを殺す気で来るだろう。
「あら、そうなの。てっきりそこに転がってる奴みたいに花畑を荒らしに来たかと思ったわ」
どうやら死んだ妖怪は花畑を荒らしたために彼女の怒りを買い、こんなことになったようだ。
「とりあえずそういう訳だから、俺は帰らせてもらうぜ」
「待ちなさい。ただで帰らせる訳にはいかないわ」
帰ろうとする流零は女性に止められてしまう。
「なんだよ、俺は別に花畑を荒らしちゃいないぜ」
「ええ、そうね。だけど貴方強いでしょう?なんとなく分かるのよ。だから、私と戦いなさい!」
女性は手にしている傘を流零に向けて、自分と戦うように要求してきた。
「強い奴と戦うのが好きってか?面白え、その喧嘩買ってやろうじゃねえか」
流零は獰猛な笑みを浮かべて女性に返答する。
「ここでは花畑に被害が出るわ。付いて来なさい」
女性に連れられ花畑から離れた場所にやって来た流零。互いににらみ合いをする中、女性が口を開く。
「自己紹介がまだだったわね。私は風見幽香。妖怪よ。貴方は?」
「俺は流零。半人半龍だ」
「変わった種族ね。面白くなってきたわ」
自己紹介が終わると雰囲気が一変する。流零は煌龍を、幽香は傘を構えてほぼ同時に駆け出した。
「「いくぜ(わよ)!」」
二人の力が激突する!!




