六十九話 クーピーズ、協力する
「オイラたちの魔力を使うだが?」
「どういうことだ、リーダー」
「無理よ。ろくな魔法が使えないわ」
ベン、ポール、シャラの三人が、納得のいかない顔で僕に言う。
「大丈夫だ。三つの属性を混ぜれば、少量の魔力で強力な魔法を発生させることができる」
詳しく説明している時間はほとんどなかった。
ゴブリンどもがいつ襲ってくるかわからない。
「こいつ、起こして止めさせる?」
ハクが気絶したドルタの頭を軽く蹴るが反応がない。
「無理だ。ベンが首を折っただけじゃなく、魔力切れを起こしている。しばらくは目覚めない」
「だったらどうして連れてきたの?」
「コイツの目的や他に仲間がいないかを知りたいんだ。もし単独……あっ」
ハクのほうを見たときに手の隙間から、おっぱいの谷間が見え、思わず声を上げてしまう。
「また見た?」
「ううんっ、み、見てないよっ」
こんなに時間がない時でも、ついつい見てしまうとは。
おっぱい恐るべし。
「い、今はそれどころじゃないっ。ベン、これと同じものを地魔法で作ってくれ」
「な、なんだべ、これはっ?」
「説明している暇はないんだ。地中に混ざっているから、これだけを抽出してくれ」
さっき山で作り出した残りカスをベンに見せる。
ウランと呼ばれるその物質は、微量ながら地殻中に、広く分布している。
山で実験していた時に、地殻におけるウランの濃度は、地殻1g中に2.4μg程度であると判明していた。
「ポールはそれを起爆するための火薬を火魔法で作ってっ」
「お、おうっ!」
単純なポールは、そのまま返事をしてくれる。
「シャラは水魔法の氷でその二つを内蔵させる球状の外壁を構成してくれっ」
「無理よっ、火魔法と水魔法は、合成できないわっ!」
「大丈夫っ、合成は俺がやるっ! イメージだけでいいんだっ! 細かい設定は任せてくれっ!」
「本当に大丈夫なんでしょうねっ!」
シャラは文句を言いながら、それでも詠唱してくれた。
三人の魔法を掛け合わせるために、気づかれないよう無詠唱で、僕も三つの属性魔法を使う。
繋ぎの役割を果たした僕の魔力と三人の魔力が合成し、山でジャイアントゴブリンに喰らわした核魔法より、さらに強力な「核」が完成する。
これで僕一人だけでなく、みんなの力を合わせて強力な魔法を使ったことになる。
「レッド、ゴブリンがっ!」
ハクが動き出したゴブリンどもを指差した。
「ぶっとべ、ゴブリンども」
風魔法を使って、核魔法をなるべく遠くに解き放つ。
それと同時に残った魔力をつぎ込んで、無詠唱で光魔法を発動させる。
クーピーズのみんなを爆発から守るために、ドーム状の見えない光の壁を作り出した。
放たれた核魔法が、あたり一帯、すべてを吹き飛ばす。
街道が真っ白な光に包まれ、爆音と共に、ゴブリンどもが消滅する。
想像以上の爆発に、光の壁が融解し、崩壊していく。
もう一度、同じ魔法で壁を強化するが、それでも壁は崩れ出し、何度も何度も魔法を唱える。
まずい、魔力が枯渇するっ!
ふらっ、と意識が遠のいていく。
「レッドっ!」
呼びかけるハクのほうを振り向くと、おっぱいがモロに見えた。
信じられないような力が湧いてきて、僕は最後に最高の光の壁を作り出す。
そして、パソコンの電源を落とした時のように、僕の意識はプツリと途切れた。




