七十話 ロンド、調査する
報告書を見て頭を抱えていた。
簡単なゴブリン退治を新人五人に任せたはずが、事態はとんでもない大事件に発展した。
ドボチ山付近の街道は謎の巨大爆発により壊滅。
ゴブリンは野生のものでなく、闇魔法による召喚と判明。
クーピーズ全員で対処するも、闇魔法使いはゴブリン共々、爆発により自爆した為、その正体は不明。
報告書を机に置いてレッドに質問する。
「爆発は、ドボチ山と街道と二回確認されているが、どちらも敵側が放ったもので間違いないんだね」
「はい、間違いないです」
レッドが無表情で淡々と答える。
「一回目は、巨大化したゴブリンが自爆したもの、二回目はゴブリンを召喚した闇魔法使いが自爆したものです」
「爆発は魔法によるものだと思うか?」
「わかりません。あまりに大規模な爆発で、避難するのに必死でした」
「闇魔法使いにトドメを刺したのは?」
「ベンです。ゴブリンにやられた振りをして、地中から接近して、首の骨を折りました」
すでに他の四人に聞いている情報と全く同じだ。
嘘を言っているようには思えない。
だが、あまりにも情報が一致し過ぎていて、逆に怪しく感じる。
五人で口裏を合わせている可能性を拭えない。
入団試験で、狙撃されたことを思い出していた。
今回の爆発は、これまでに確認されたことがないような大規模なものだった。
これは狙撃と同じく、転生子が関係している可能性が高い。
闇魔法使いによるものでなく、新人五人の誰かがやったものだとしたら、その者は限りなくクロに近いだろう。
「わかった。御苦労だったね。下がっていいよ、レッド」
「はっ」
一礼してレッドが部屋から出る。
「……どうだ? クレア」
「五人の中で一番表情が変わらなかったわ。あれで虚偽の報告をしていたら、大したものです」
光魔法で姿を消し、新人五人を観察していたクレアが、魔法を解除して、目の前に現れる。
「一番怪しいのは?」
「一番動揺が見えたのはポールですね。でも、あまりに素直過ぎて、逆にないと思っています。ポールが転生子に関係していたらとっくに正体はわかっているでしょう」
「うん、ボクも同意見だ」
転生子事件、狙撃事件、ゴブリン召喚事件、ガレアの街を揺るがすかもしれない事件がわずか半年の間に立て続けに起こっている。
「例の子供は、あとどれくらいで生まれる?」
「あと五ヶ月です。警備は以前の倍に増やしています」
「……警備、か」
実際は、警備するというよりも、再び転生子が産まれた時、速やかに抹殺する為の暗殺部隊だ。
これ以上問題を増やすわけにはいかない。
まさか、二度続けてガレア家に転生子が産まれることはないと思うが、念には念を入れている。
「クレア、しばらくあの五人を秘密裏に監視してくれないか?」
不安要素はすべて取り除く。
誰にもボクの目的を邪魔させるわけにはいかない。
クレアは無言でうなづき、再びその姿を消し去った。




