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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第二章 ロンド遊撃隊『クーピーズ』

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六十七話 ハク、拘束される

 

「まて、お預けだ」


 魔力の高いゴブリンが、手を前に出して制止する。

 ワタシを襲っていたゴブリンどもが、ピタリと行動を止めた。

 手足は掴まれたままだ。

 スピードに特化し、力のないワタシにはゴブリンの拘束を解くことが出来ない。


「さっきの二人は、あっと言う間に食べてしまったからな。コイツらからは色々と聞き出したい」


 そう言ったボス的なゴブリンは、マスクを脱ぐように、アゴからゴブリンの顔を剥がしていく。

 黒髪の男が、その正体を現した。


「子供?」

「失礼だな。これでも成人している。身長は低いがね」


 童顔のチビのおっさんが、衣服が破れたワタシの肌をジロジロと見る。


「君こそ、子供かね。ずいぶん小さいみたいだけど」

「ゲスがっ」


 今すぐにでもぶっ飛ばしてやりたいが、身体はまるで動かない。

 丸出しのおっぱいを見られる不快感に顔を歪める。


「ハクっ、ちくしょうっ、キリがねえっ!」


 無数のゴブリンどもと戦うポールの魔力が尽きかけていた。

 いくら倒しても、チビのおっさんが次々にゴブリンを召喚している。


「闇魔法の召喚かっ。お前の目的は一体なんなんだ?」

「君が質問できる立場にあると思うのか? 逆にこちらが質問だ。ここに来たのは、四人だけかな? それともまだ他にいるのかね?」


 どうやら、五人でここに来たのを、見られたわけじゃないようだ。


「ワタシたちだけだ。他にはいないっ」

「嘘だな。山での爆発はかなりの魔力を探知した。紫の火魔法使いと君のものではない。あと一人、まだいるんだね」

「……」

「残念だよ。嘘をつかなければ生かしてあげても良かったのに」


 チビのおっさんが、右腕を高くあげる。


「食べてよし」


 その手を下に振り下ろそうとした時だった。


 がっ、と後ろから大きな腕が、チビのおっさんを羽交い締めにした。


「ベンっ!!」

「バカなっ、どうしてっ!? 腕しか残っていなかったはずだっ!!」


 ベンが生きていたのは、わかっていた。

 地面にある腕に魔力が残っていたからだ。

 得意の地魔法で、腕以外の部分を地中に埋めて、ずっとチャンスを伺っていたのだろう。


「ハクのおかげで、ゴブリンを操ってるのが誰だがわかっただっ」

「ありえないっ、二人が食べられているのを見たぞっ!」

「あれは、土のゴーレムだ。なんでも美味しく食べるゴブリンが仇になっただなっ!」


 ベンの大活躍で、黒幕を拘束する。

 同じように地中から、シャラも這い出てきた。

 形勢は完全に逆転した。


「さあ、召喚を解除するだっ! さもないと首をへし折るだっ!」

「……残念だが、それはできない」


 チビのおっさんから膨大な魔力が流れていた。


「ベンっ、早くっ、トドメをっ!」


 誰かの命を奪ったことがないベンは、一瞬、トドメを刺すことを躊躇してしまった。

 チビのおっさんがさらにゴブリンを召喚するために、詠唱する。


「やめるだっ! すぐに止めるだっ!」

「無駄だ。ワシが死んでもゴブリンは消えないっ」


 グギンっ、いう音と共にチビのおっさんの首がへし折れる。

 だが、それでも召喚は止まらずに、街道を埋め尽くすようなゴブリンの群れが出現した。


「……滅びろ。ガレアの兵士ども」


 チビのおっさんが呪いの言葉を吐き、地面に崩れ落ちる。

 みんなの魔力は尽きかけており、ワタシの加速魔法も効力を失っていた。

 ゴブリンの群れに囲まれた絶対絶命の中、それでもワタシは少しも動揺していない。


 一直線に山から飛んでくる、彼の気配に気がついていた。


「待たせたな、みんな」


 作り物の赤い髪をたなびかせ、空からレッドが颯爽(さっそう)と現れた。


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