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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第二章 ロンド遊撃隊『クーピーズ』

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六十六話 ハク、駆けつける

 

 後方で巨大な爆発が起こった。

 振り返ると、さっきまでワタシたちがいた地点に大きなキノコ雲が立ち昇っている。


「おいっ! ハクっ! あの爆発、リーダーやられたんじゃねえかっ!?」


 レッドが強力な魔法を使うことを知らないポールが動揺している。


「大丈夫、たぶん、でかいゴブリンが自爆しただけ。ワタシたちは、シャラとベンに合流しましょう」

「ほ、ほんとかよっ。いや、自爆だったとしても、やばくないか、あれ」


 確かに異様なまでに大きな爆発だった。

 あんな規模の魔法はいままで見たことがない。

 入団試験の時、本気で戦ってくれたと思っていたが、まだあそこまでの切り札を残していたのか。

 少し悔しくて、少し焦る。


 もっと強くならないと、いずれ置いていかれるかもしれない。


 そんな考えが頭をよぎり、首を振って搔き消した。


「急ごう、下の二人のほうが心配」

「わ、わかった。信じてるぞ、リーダーっ」


 レッドがかけてくれた加速魔法が効いてる間に、すべて終わらせる。

 木々の間を抜けながら、高速で山を下っていく。

 途中、ゴブリンとは一匹も遭遇しなかった。



「バカな、どういうことだっ」


 街道に降りると、信じられない光景が目の前に広がっていた。

 山の中でいたゴブリンよりも多くのゴブリンが所狭しと溢れていたのだ。


「なんでだっ! 山からは一匹も降りてねえっ! なんでこんなにいやがるんだっ!」

「……元々、山にいたゴブリンじゃないようね」


 レッドは魔法で作り出されたゴブリンと言っていた。

 だとすれば、近くにそれを作り出した黒幕が存在するはずだ。

 山のほうでは探知出来なかった分、こちらにいる可能性が高い。


「シャラとベンはっ? どこにいるっ?」


 シャラとベンが見当たらない。

 二人の気配はまるで感じられなかった。

 嫌な予感の中で、ゴブリンがぐるりと、円になって集まっている場所を見る。

 千切れたベンの腕らしきものが、そこに落ちていた。


「うわぁああああァアアアアッ!!」


 それを見たポールがなんの考えもなしに、衝動的に飛び出していく。

 ゴブリンとポールの戦闘が始まる中、ワタシは、そっ、と木の影に隠れて、気配を探る。

 恐らく、ゴブリンを生み出す黒幕を見つけないと、戦いは永遠に終わらないだろう。


「なめんなよっ、とっておきだっ!!」


 ポールが詠唱して、自分の身体に炎を纏う。

 シャラがいなければ鎮火できず、自らも大ダメージを負ってしまう玉砕覚悟の最終手段だ。


「うおおぉぉっ! 燃え上がれっ、どちくしょうっ!!」


 ポールがゴブリンの群れに突っ込んでいく中、一つの違和感に気がつく。

 山のゴブリンと同じく、ポールにまるで怯えず、向かっていくゴブリンの中で、一匹だけ動かないゴブリンを発見した。


「……お前か」


 桁違いの魔力が、そのゴブリンから流れていた。

 気づかれないように背後に回り込み、近づいていく。

 一瞬で喉を潰せば、何もできないはずだ。


 いくぞ、と思った時だった。

 ゴブリンがワタシの方に振り返ってニヤッと笑う。

 人差し指と中指を立てて、くいっ、と上にあげる。


 その瞬間、ワタシの背後に無数のゴブリンが、地面から湧き出るように、突然現れた。

 加速する前に、ゴブリンどもが雪崩のように襲いかかってくる。

 手足を掴まれ、拘束され、服をビリビリに引き裂かれた。


「レッドっ!!」


 ワタシはか弱い女性のように彼の名を叫んでしまった。


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