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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第二章 ロンド遊撃隊『クーピーズ』

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六十二話 クーピーズ、遭遇する

 

 目的地であるドボチ山街道までの道のりは、何事もなく無事に到達できた。

 荷車から荷物を降ろし、各自、遊撃隊の装備に着替える。


「いつも思うんだけど、この装備ちょっと恥ずかしくないか?」


 ポールは、着替えるたびにいつもそう言っていた。

 ロンド遊撃隊『クーピーズ』の装備は、他のガレア兵士と違い、各個人で色分けされている。

 それは自分達の髪色と同じ色の鎧だった。


「お前らはまだマシだよ。赤や青や白や茶色はそこまで目立たない。でも紫はないだろ」

「そうかい、オイラは茶色も地味で嫌だげど。なんなら交換するだ?」

「あら、いいじゃない。試験をトイレで失格したポールにピッタリの色よ」

「烈火のポール様に喧嘩売ってんのか? シャラ」

「別に、ただ事実を言っただけよ。ウンチのポール様」

「あわわわ、やめるだ、二人とも。仲良くしてくんろっ」


 三人がいつものようにふざけている間に、ハクと二人で地形を確認する。


「ゴブリンどもが降りてくるとしたら、あそことあそこが怪しいな。シャラとベンの二人は、それぞれ一人ずつ、離れた場所で待ち構えたほうがいいかな?」

「いや、まとめて降りてくる場合を考えて、固まっていたほうがいいと思う。こちらでうまく、街道に降りる場所を誘導させよう」

「わかった。ゴブリンの住処(すみか)を特定した後、ポールに発火させる地点を検討する」


 ハクは戦闘能力だけでなく、作戦を立てる時にも、よいアドバイスをしてくれる。このままずっと味方でいてくれたら、頼れるパートナーとして申し分ない。


「ウンチとか言うやつがウンチなんだよっ、このウンチっ」

「まさか、ウンチにウンチと呼ばれる日が来るとはね。世も末だわ」

「やめてくんろっ、もうオイラがウンチでいいから喧嘩をやめてくんろっ」


 うん、後の三人は特にいらない。

 そう強く思った。



 ようやく三人の騒動が収まり、二手に分かれる。


「まったく、シャラのやつ。あんなおてんばだと、嫁の貰い手なくなるぜ」


 ブツブツいいながらポールが先頭で山道を進む。


「そろそろ、ゴブリンの住処が近いはずだ。静かに歩いてくれ、ポール」

「はんっ、ゴブリン如きに慎重だな。あんな奴ら、何匹こようがオレ様の敵じゃないぜ」


 確かに、ゴブリンは魔物の中では、かなり雑魚のほうで、このメンバーで遅れを取るとは思えない。

 だが、任務はただの勝利ではなく、一匹残らず殲滅することだ。

 こちらの気配を察して逃げられてはたまらない。


「三度目は言わせるなよ、ポール。静かに歩け。目的を履き違えるな」

「……ちっ、わかったよ。無表情で怒るなよ。すっげぇ、怖いぜ」


 残念だがゴーレムの表情は、笑う、泣く、喜ぶの三パターンしか用意してない。

 怒るは、難しいのでその中には含まれてなかった。


「レッド、ちょっと遅かったみたい。囲まれてるよ」


 風魔法の探知よりも早く、ハクはゴブリンの気配を掴んだようだ。


「数は、どれくらいだ? ハク」

「……数えきれない。たぶん、50以上はいる。異常な数よ」


 どうやらただゴブリンが繁殖しただけではないようだ。

 この任務は、もしかしたら大きな事件に繋がっているかもしれない。


「問題ない。予定通り、すべて殲滅する」


 こちらに気づかれたことがわかったのか、ゴブリン達が木々の影から次々と姿を現す。

 事件は大きければ大きいほど、出世に繋がっていく。


 望むところだ、ゴブリンども。


 僕は、無表情なゴーレムの中で、にっ、と笑った。



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