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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第二章 ロンド遊撃隊『クーピーズ』

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六十一話 クーピーズ、出発する

 

 ロンド遊撃隊に入隊して、一ヶ月。

 最初のうちは雑用や訓練だけだったが、ようやくいくつかの任務を任せられるようになってきた。


「今度の任務は、ゴブリン退治だ。最近、繁殖期に入ったようで、街道まで降りてきて、人々を襲っている」


 入隊した時のように、新人五人でロンドの前に並んでいた。


「今回、クレアとボクは別件の任務を受けている。君達五人だけで、この任務に当たってほしい」


 ロンド隊長や、クレアさんなしの任務は初めてだった。

 僕達が信用されてきたということだろう。


「リーダーは副隊長のレッドだ。作戦及び、サブリーダーの人選も君に任せる」

「了解しました。早速、準備に取り掛かります」


 簡単な任務だが、油断するわけにはいかない。

 ここでポイントを稼ぎ、ロンド亡き後の隊長の座を盤石(ばんじゃく)の体制にしなければならなかった。



「出現した街道から、奴らの住処は、ドボチ山の可能性が高い」


 ロンド隊長とクレアさんが作戦室から退出し、五人だけになる。

 今回のリーダーということで、ロンド隊長が座っていた隊長の椅子に座ってみる。

 うん、気分がいい。早く、僕の椅子にしたいものだ。


「まずは街道まで行って、そこから二手に分かれて行動する。三人で住処を探し出し、ゴブリンの巣を焼き払う。何匹かは逃げ出して、街道に降りてくると思うので、残った二人は、その殲滅にあたってくれ」

「班分けとサブリーダーはどうするの?」


 ハクの質問に、すぐには答えない。

 実力からいうと、加速魔法をかけたハクが一番強く、彼女をサブリーダーにしたいところだが、そうなると僕と一緒の組にしなければならない。

 サブリーダーは、別れた二人の方に入れたほうがいい。


「そうだな。山に登る班はボクとハク、そしてポールの三人だ。シャラはサブリーダーとしてベンと街道に残ってくれ」


 サブリーダーに任命されたシャラが、ハクの方を見て、ふふんと笑う。

 あれから一ヶ月も経つのに、まだシャラはハクに負けたことを根に持っている。


「お互いの班に、なにかあれば信号魔法を打ち上げて、知らせよう。青は任務達成、黄は異変あり、赤は緊急事態だ。赤の場合は、ただちに駆けつけ合流して対処する」


 まあ、ゴブリン如きでは、万が一も起きないと思うが念のためだ。


「それでは各自、準備をして、一時間後、ガレアの門に再集合だ」

「「「「了解しました、リーダー」」」」


 四人が声を重ねて敬礼する。

 おお、やっぱりリーダーは、すごく気持ちいい。

 復讐を抜きにしても、早く隊長になってみたい、 ちょっとそんなふうに思ってしまった。



 一時間後、ガレアの門に五人が集まる。

 ロンド遊撃隊は、隠密部隊の為、街の人たちには兵士ということを明かさない。

 ガレア兵の中でも、一部の者しか僕達の存在を知らない。

 装備を荷車に詰めて、行商人のふりをして門番に門を開けてもらう。


「気をつけてな、しっかりやれよ」


 門をくぐる時に、耳元で門番が(ささや)いた。

 よく見たら今日の門番は、入団試験の時、試験官を務めていた男だった。


「さあ、行こう」


 赤、白、紫、青、茶の五つの髪色が昼の太陽に照らされる。

 いつのまにか、僕ら五人は、こう呼ばれるようになっていた。


「ロンド遊撃隊『クーピーズ』出発だ」


 新人五人による初めての任務が始まった。

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