三十四話 アカさん、手紙を見る
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アカへ
手紙を書くのは初めてで、なんて書いたらいいか正直わからん。
まあ、私が勝手に話してると思って、読んでくれ。
直接話したりするのは、面倒臭いし、照れ臭い。
まず、引っ越しの準備をすると言っていたが、あれは嘘だ。
まったくしていない。
ガレア家は、思っているより強大だ。
アカが生きているとバレてしまったからには、その命を奪う為、どこへ逃げても探しだし、殺そうとするだろう。
だから、この一ヶ月、私はガレア家と戦う準備をしてきた。
めっちゃいっぱい武器とか買った。
ちゃんとアカの借金に加えておく。
これから、ガレア家を潰しに行ってくるけど、あまり心配するな。
私の強さは知ってるだろ?
朝飯前ってやつだ。
朝御飯食べたけど。
まあ、圧勝してすぐに帰ってくるつもりだが、万が一ということもある。
そうなったら仕方ないから、私に返すはずだったアカの借金はチャラにしてやるよ。
そのかわり、私が帰って来なくても、復讐とか考えずに楽しく人生を送ってくれ。
歯が生えたら毎日ちゃんと磨けよ。
お風呂も嫌がらず入れよ。
魔法は無茶して使うなよ。魔力切れには気をつけろ。
あとは、もういいか。
私が言えることなんて、そんなもんだ。
アカはもう十分一人でやっていける。
パソコンとスキルのウィッキーペディアを使って、うまくやれよ。
なんだか、お別れみたいになっちまったが、あくまで、もしもの時だからな。
帰ってきたら、風魔法をみっちり仕込んでやる。
私がヨボヨボのおばあちゃんになったら、今度はアカが私のオムツを替えるんだからな。
覚悟しておけよ。
昨日は楽しかった。
また一歳の誕生日も祝ってやる。
じゃあ、いってきます。またな、アカ。
ハナより
PS
扉は三日後、自動で開く。
パスワードは873だ。
食料は一年分くらいなので、その後は自分でなんとかするように。
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何度も何度もハナさんの手紙を読み返す。
もうハナさんが帰ってこないことが、僕にはわかった。
ハナさんは死ぬことを覚悟して街にいったんだ。
どうしてハナさんは、僕の為にそんなことをしたんだろう。
ウィッキーペディアは、それに答えてくれない。
「いつ裏切られるかわからないからな。私は自分しか信じない」
出会った時、そう言っていたハナさんを思い出す。
ハナさんはきっと僕を信じてくれたんだ。
生まれて初めて、裏切らない仲間として。
泣きながら、また手紙を見る。
僕にはもう他に何もできない。
『そのかわり、私が帰って来なくても、復讐とか考えずに楽しく人生を送ってくれ』
僕はハナさんとの約束を守れそうになかった。




