三十三話 ハナさん、突撃する
ひと月ぶりに訪れたガレアの街は、特別警戒態勢がひかれていた。
以前は門番は一人しか立っていなかったが、今は五人の兵士が並んでいる。
「おい、止まれ。ここで入門証を見せるんだ。それとフードを取って顔をよく見せろ」
門からかなり離れた所で検問が行われていた。
「これでいいか」
「なっ、お前はっ!?」
入門証を見た兵士の顔が歪む。
私はフード付きの服を脱ぎ捨てた。
ライダースーツとゴーレム人形アカ二号が姿を見せる。
「フ、フラ・ワーっ!! 転生子のフラ・ワーと赤子が、現れたぞっ!!」
「早く逃げたほうがいいぞ」
今まで貯めた通貨を全部使った。
アカの一年分の食料と生活用品を買った後、残った分でありったけの武器を注文した。
「今の私は、某有名ゾンビゲームのクリア後に貰える隠し武器すら持っている」
「な、何を言っているっ! ふざけおってっ!」
兵士が逃げずに合図を送る。
門の上から弓を構えた兵士が大勢現れた。
前に街を脱出した時より、倍近くいる。
「かえって好都合だ」
革鞄からロケットランチャーを取り出して構える。
「また別世界の武器かっ! 今度は前のようにはいかんぞっ! これだけの人数を一気には片付けれまいっ!」
「ああ、あんた、この前光の矢を放った奴か。よかったな、生き残ったんだ」
ロケットランチャーの撃針を起こし引金を引く。
「でも、今度は助からないよ」
通常の五倍の火薬を積んだ弾頭は、目の前の兵士を吹っ飛ばしながら、門にぶち当たる。
その爆発は予想以上だった。
幾度の戦争でも破られることのなかったガレアの門が跡形もなく粉砕される。
門番の兵士達や、門の上にいた弓兵達はどうなったかすらわからない。
原形を留めている者など一人もいなかった。
正面から堂々とガレアの街に乗り込んでいく。
どこまで出来るかは、わからない。
だが、ガレアの街を支配する者がアカを殺そうとするなら、私はこの街ごと滅ぼさないといけない。
ガレア家はきっと、どこへ逃げても追いかけてくるだろう。
街の中心部へと歩いていく。
アカは今頃、手紙を見た頃だろうか。
きっと泣いてるに違いない。
ごめんな、アカ。
けど、私にはこうする事しか出来ないんだ。
私が乗り込んで来たのが、知れ渡り兵士達が続々と集まってくる。
ガレアの街が他の国に戦争を仕掛けるという噂は、どうやら本当だったようだ。
遠目で見ても、明らかにレベルの違う兵士が数人混ざっている。
「映画なら一人でも勝ったりするんだけどな」
『アウアウアー』
アカ二号のお腹を押して、気合いを入れた。
もしかしたら、なんとかなるんじゃないか、そう思えてくる。
「さあ、いこうか、アカ」
うんっ、というアカの返事が聞こえた気がした。




